カップリングトークその2.ランページ×トランスミューテイト

 カップリングトークその2でございます。その2はこれもかな〜りマイナー、『ビーストウォーズメタルス』のランページ×トランスミューテイトでございます。
 このビーストウォーズメタルスというのは有名シリーズトランスフォーマーの一作でありまして、『ビーストウォーズ』の続編に当たります。本来ロボであるサイバトロンとデストロンが動物になってバトル(かなり語弊あり)! という元は米国のCGアニメなんですが……
 これがまあ日本製ではすんごいの。声優さんがアドリブのギャグを入れまくって……というか、むしろそのギャグがメイン! という感じの作品になってます。
 ストーリー展開自体は基本的にシリアスなんですが、その最中に声優さんたちがギャグを入れる入れる。もともと台本にあったのか全部アドリブなのかは知りませんが。ほとんど掛け合い漫才のノリです。
 例を挙げれば、チータスというキャラが飛行する度に『行くぞチータスジェットのかぎり〜!』と鉄腕アトムするわ、車モードにチェンジした仲間に乗って走れば『ケツ痛ェ!』だの『お客さーんどこまで行きます?』だの。敵ボスが『悪役は意味もなく笑いながら登場するものだ!』って言ったり、クモが『壁がスキーッ!』と言いながら壁を這いまわったり……そーいうのをシリアスなSFチックストーリーを進行させながらやっているのです。
 はっきり言ってこの作品、まともにトランスフォーマーシリーズが大好きな人たちからは大不評なんですが(シリアスに見るにはあまりに向かない作品です)でも自分は大好きです。だって面白いんだもん。
 とにかくギャグギャグギャグのオンパレードで本当に息つく暇もないほど笑わせていただきました。総集編なんかストーリー無視していいから凄かったもん。『クレヨンしんちゃんのお母さんの名前は……』『それなら知ってるぜ、みさえだー!』(と言っているこのキャラの声優さん藤原啓二(しんちゃんのお父さん))とクイズ出したり物真似大会が始まったり(高木渉さんが『元太(コナンね)やります!』と言って『反則! おしおき!』とかやられてたりした)、SFなんかかけらもなし、漫才としか言えん。
 番組が始まる前の『この後は〜』というキャッチあるでしょ? あれとかも『この後はポケットモンスター!』とか言ったり(東京12チャンの番組だったからね)『今週のビーストウォーズはグルメ温泉旅館情報、視聴率はいただきだ!』『違うでしょ!』とかギャグかましまくってましたよ。
 そんな大好きなビーストウォーズの中で、一番好きなのはタイガトロンと言う虎のロボだったんですが……それをも越えてNo1の座に輝いたのがわずか一回しか登場しなかった、トランスミューテイトなのです。
 このトランスミューテイト(以下ミューちゃんと表記)男なのか女なのかわからないんですが、声が池澤春奈さん(大好きっス!)なのでここは少女としておきましょう(ロボなんだけどね、どっちにしても)。
 彼女はビーストウォーズの舞台となる惑星に飛来してきたロボなんですが(他にもそういうふうに飛来してきた仲間は何人もいる)、その時のショックか中枢部に重大な支障があり、生きていくことすらむずかしいほどボロボロの状態で生まれてきます。人間にたとえれば半身不随みたいなもんです。
 仲間を増やしたいサイバトロン(善)もデストロン(悪)も彼女を仲間にしようと迎えにいくんですが、まともに喋ることもできず、自分の置かれている状況を把握することも難しい彼女の暴走によって双方いったん退きます。
 そこへ現れたのがランページ。デストロンに属する博多弁を操る(鹿児島弁だったかな? 九州地方の方言なのは間違いないんだけど)カニ型ロボ。
 彼は特殊プロジェクトで作られた強力な代わりに情操面で問題のあるロボで、デストロンに属しているのも自分のエネルギー核をデストロンのボスに握られているから。機会があれば仲間でも殺す、倫理観念のない奴なんです。
 そんな彼が、ミューちゃんと出会って、いったい彼女に何を感じたのか、彼女を自分の友達として認め、『わしが守っちゃるけんね。わしとおんしは親友じゃけぇ』とか言い出します。
 生命をいじられて作られた実験体である自分と、ボロボロの姿で生まれてきたミューちゃんに、なにか通じるものを感じたのかもしれません。
 ともかくランページはミューちゃんをサイバトロンからもデストロンからも守るべく孤軍奮闘するのですが、結局ミューちゃんはサイバトロンに奪取されてしまいます。
 怒り狂ったランページはサイバトロンに激烈な攻撃を加えます。一方その頃サイバトロンではミューちゃんを正常な状態に戻すことは不可能と言う結論が出ていました。それを知ってか知らずか、ランページがサイバトロンと戦っていることを感じ取ったミューちゃんは、ランページの元へと向かいます。
 ミューちゃんを返せとばかりにサイバトロンの一人を殺しかねない勢いで痛めつけるランページ。まさにとどめの一撃を加えんとしたその時、ミューちゃんが割って入り、ランページの攻撃をその身に受けます。
 駆け寄るランページに、ミューちゃんは息も絶え絶えになりながら言います。『ケンカ……シナイデ……ランページ……トモダチ……』と。
 そして息絶えるミューちゃん。ランページの絶叫が、辺りにこだましました……。
 どうですか切ないじゃないですかこのシチュエーション。ずっと一人で周りの全てを敵とみなして戦ってきたランページが、唯一守りたいと思えた存在。それがあっという間に、しかも自らの手によって消え去ってしまう。
 それになにより自分はミューちゃんが可愛くてならんのですよー、あのあからさまに不恰好な見た目も片言でしか喋れないところも透き通るような声もなにもかもが愛しい。ほとんど一目惚れでしたね。
 しかしまあ覚悟はしていましたがこれもマイナーでした。ビーストウォーズの同人誌はマイナージャンルとしてはまあまあの数あったのですが(でもどれもあの掛け合い漫才には否定的だった。ビーストはあれだから面白いと思うんだけどなあ……でも確かに漫才してる話の二次創作って書き辛いかも)、ミューちゃんをメインにした本と言うのはなかなか見つからなかった。ランページはわりと人気あったんですが、デプスチャージ(エイ型ロボ。ランページを仇と付け狙う)との絡みの方が多かった。
 まあ皆無というわけではなかったので良しとしましょうか。本放送から数年経ってから見つけたんだけどね。
 しかしこのカップリングって実写戦争ものとかでもやれそうなカップリングですよねぇ。妄想しちゃいましたよ。
 内戦の続く某国で、ランページは傭兵ゲリラ、ミューちゃんは地雷で片手片足を失った現地の子供。
 孤独だった傭兵の心は子供との交流の中で少しずつ開かれていく。しかし共に生きていこうと誓ったその日、ランページが留守にしている間に村が政府軍に攻め込まれ、ミューちゃんは帰らぬ人となってしまう。
 腕の中で息絶えたミューちゃんの体を背負い、一人ランページは政府軍に特攻するのだった……。
 んー、自分としてはかなりぴったりな気がしてるんですけど。どんなもんでしょ?

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