舞踏少年裏話そのさん〜速水

 舞踏少年裏話第三回。ようやく速水です。自分的にはこいつのことを語るために裏話をし始めたと言ったら言いすぎですが、とにかくとってもこだわりがあるキャラクターです。
 ただ、最初に申し上げておきたいのですが、自分はアンチ速舞です。
 本当はそう単純に言い切れないところもあるのですが、どちらにしろ速舞大スキー、速舞をけなす人間は許せんという方はこの先読まない方がいいと思います。本気で暴言放言罵詈雑言吐いておりますので。
 あと速水をけなす奴は殺す! とか思ってらっしゃる方も。自分は自分なりに速水を愛しているのですが、一般的な速水スキーの方々とはかなり隔たった愛しかたをしておりますゆえ。

 最初に申し上げておきますが、自分はどうも、公式の速水(及び速舞)が苦手なようなのです。白も黒も青も魔王も。自分それほど公式設定詳しいわけじゃないですけど、少なくとも自分が今まで読んだことのある範囲での公式速水はすべからくキライです。はっきり言って。
 最初は好きだったんですよ、公式の速水も速舞も。ゲームでもファーストマーチは速舞でしたしね。あそこまで運命的な設定されてるのってやっぱりカッコイイし、ちょっとばかしイっちゃってる悪役系キャラって自分好きですし。
 でも、裏設定を何度も読んで、そしてそれを反映させた速舞二次創作を読みふけったりして(速舞はガンパレ二次創作では他と比較するのが馬鹿馬鹿しくなるくらい最大手ですからね)いるうちに、大っ嫌いになりました。
 なんというか……その手の速舞を読んでいるうちに、なんかだんだん腹立ってきちゃったんですよ。
 速舞の多くに共通することは、速水が舞を世界の何より愛しており、舞のいない世界などなんの価値もないだの舞以外の存在などカス同然、と思っていること。つまり速水が舞しか見えてない、っていうことです。
 好きな人にはそれがたまらないのでしょうが――自分にはそこがすんげームカつきました。
 だって、舞以外なんにもいらない、舞が存在していなければ意味がないって考えているってことは、速水が5121小隊にやってきて、小隊のみんなと共に過ごしてきた日々が、なんの意味も持たなかったっていうことになるじゃないですか。
 舞と速水が惹かれあうことは運命として決定されてるんだから、いわば決定事項。既定事項。ごく当たり前のこと。それだけしかないというならば、速水は本来の歴史から少しも抜け出せていないってことになります。
 ならなんのためにガンパレというゲームが存在するんですか。あの二ヶ月間はなんのためにあったんですか。二ヶ月小隊の仲間と一緒に過ごしてきた日々は、速水の精神になんの影響も与えられなかったというのですか。
 その通りで速水というキャラはそういうキャラクターなのだとすると、速水というキャラクターに対する感想は『あんたもう死んでいい』というものになります。そんな人間に心から生きていてほしいとは自分は思えない。
 自分はただでさえ他人の好意に鈍感だったり無視したりするキャラクターは嫌いなのに、生死を共にして助けたり助けられたりした戦友をただ一人のために利用するものにしか考えられないっていうキャラというのはもう人間としての評価は最低レベル。人間のクズ筆頭です。
 そもそもただ一人の人間しか見えていないっていう視野狭窄ぶりが人としてどうかと思うんですよ。二人きりで生きてるんじゃないんですからね。世界は二人のために? ふざけちゃいけません。世界はそれぞれの人間にそれぞれのために用意されているんです。それを侵すようなことは絶対にしちゃいけない。
 だから自分は舞しか見えていない速水というのは、大っ嫌いなのです。人間的にも、キャラ的にも。
 ……つーかですね、ぶっちゃけ。滝川が眼中にも入ってない速水なんぞ自分にとってはなんの価値もないのですよ!
 偉そうなこと言っといていきなり卑小な人間っぷり晒してすいません! でも自分はどうしても滝川ファンなんです!
 舞しか見えてない速水が人間としてどうかと思うのもガンパレの存在する意義がなくなっちゃうと思うのも本当ですけど、それ以上に速水が滝川を意識しないというのが勘弁ならんのですよ!
 すいませんすいませんこんな奴で……。
 てか、ぶっちゃけ自分速滝だし……。
 もちろん一番のカプは滝舞ですよ? でもそれとは別の、自分のオタク魂の根源にあるホモスキーな部分が速滝にぎゅんぎゅんときめいてしまうのです。ガンパレホモでは自分は速滝〜。一番本持ってるのもこのカプ。滝舞とは別の部分で愛しちゃってるのですよ。
 だから自分は滝川を意識してる速水は大好きなんです。

 で、それを前振りとして、ようやく舞踏少年内の速水についての速水の話に移ります。
 速水はすんげー書きやすいです。めちゃくちゃよく動いてくれる。行動原理がわかりやすいから。もしかしたら一番書くの楽かもしれない。
『速水がなに考えてるかわけわからん!』って方はいらっしゃいますか? こいつの思考ってある意味めちゃくちゃ単純なんですけどね。
 まずですね。舞踏少年の速水は、滝川が好きです。めちゃくちゃ。
 それも尋常な好きではありません、舞と張るぐらい好きなんです。ただ、舞とはまったく別、というか正反対のベクトルで滝川のことが好きなので、話がややこしくなるわけですね。
 速水の舞に対する気持ちは普通の速舞と似たようなもんです。自分を変えてくれる存在。新しい世界へ続く扉。文中でも言ってましたが、世界で一番愛してる存在。
 で、滝川に対する気持ちなんですが。会った初日にサンドイッチと牛乳おごられて、そのあともなにかとまとわりついてこられて、速水は鬱陶しいなと思います。役に立たないから適当に相手しようと思います。でも、心の中の速水自身も忘れてしまった部分がかすかに反応するんです。
 無条件な優しさ。ただ偶然隣にいたからというだけの理由で与えられる、意味のないといえばとても意味のない親切。
 だけどそういう本当に他意のない、裏のないささやかな想いに、速水のとっくのとうに切り捨てて、忘れてしまった甘い部分が疼くんです。人を利用したり利用されたりするんじゃなく、普通に単純に、優しくして優しくされて、という速水からは奪われてしまったコミュニケーションで。
 言ってしまえば電撃の小説にあった、『失ったもの、懐かしいもの』を呼び起こさせる存在なんです。速水にとって、滝川は。
 けど速水は情緒障害者なのでそれに気づきません。滝川に優しくされるたびに、なにか心に響くものはあるんだけど、自覚できないんです。
 そして自覚症状のないまま滝川が訓練を始めるのを見て、速水の中にふと、目覚めるものがあるのです。
 つまり、滝川が、自分に単純に甘っちょろく優しくしてくれた滝川が、いなくなってしまうのではないかということ。
 滝川が戦う兵士になって自分に与えてくれた無条件な優しさを失ってしまうのではないかということに速水は強烈な不安を感じるのですが、速水はそれを感情として表現することができません(情緒障害者だから)。不安で、どうしたらいいのかわからなくて、その感情は速水の中でわけのわからない攻撃衝動へと変わります。でもそれを自分自身自覚できず、ただ滝川を大切に思う部分が自分に対する攻撃衝動という形でブレーキをかけるのです。
 その後舞と滝川が恋人関係になったことで嫉妬のため速水は滝川を攻撃しますが、その中には滝川が芝村になってしまうのではないかという危惧とか舞に滝川を取られる恐怖もあったりするんですね。
 そしてもののはずみで滝川を殺そうとして、やってしまってからショックを受け、舞が滝川を好きだと表明したことにさらなるショックを受けます。それにより舞も滝川も自分のものにすることはできないと知るからです。
 そして緩慢な自殺へと向かうのですが、そこで滝川にスキだと言われて泣かれ。滝川が舞のものになっても、どんなに変わってしまっても、最初に自分に優しくしてくれたあの滝川は滝川の中のどこかにいるのだと、信じられるようになるのです。
 ここでようやく速水は自分の気持ちを認められるのです、ってはー長かった。
 その後、しばらくはいまさら親しげにするわけにもいかなくて無視したりもしますが、基本的に速水は滝川と舞双方のために行動します。時々暴走しますが。
 ラスト近く、滝川がもうどうしようもなく辛そうなのを見て、覚悟を決めて内心を打ち明けるのですが、実際迂遠な行動を取ったもんですよね。
 はー本当に長かった……お付き合いいただいた方どうもありがとうございます。速水ファンの方速舞ファンの方には申し訳ありません……でも、警告はしましたよ?

戻る   次へ
TALK topへ