夜半、月は姿を隠し、ことさらに夜は暗かった。部屋の灯明の芯が油を吸い、音を立てて燃える。
「だめ……」
甘い声が、かすかに漏れ聞こえてくる。艶かしい声だ。
「いけません……もう」
甘い、蕩けそうな声は三蔵づきの稚児の声だ。黒髪の悟能の声。
風呂場からだ。
風呂は質素なものだが、浴槽は香木を使っているし、快適だ。洗い場もついている。
「あっあああッ」
甘い声は抑えようがないらしい。風呂場から私室にまで漏れ聞こえてくる。
風呂場とドアを隔てた三蔵の寝室には、床にバケツが置かれていた。青いプラスチック製のバケツの中で、黒い小さな出目金と、金色のうろこをした金魚がのびのびと泳いでいる。たっぷりふちまである水は、慶雲院の中庭の池の水だ。悟能が三蔵と汲んできたのだ。今晩一夜はこれで金魚ももつだろうと思っている。
居間の空気にはかすかに香ばしいソースの匂いが残っている。焼きそばやたこ焼きの匂いだ。薄い透明なパックに入れられたのを、先ほどまで、三蔵と悟能は他愛のない会話をしながら、そう、金魚の話なんかしながら食べていたのだ。
精進料理に慣れた舌には、相当その味は刺激的だった。悟能は目を丸くしながら食べていた。甘辛いソースが食欲をそそり、つるつると喉を通ってしまう。
「おいしいですね」
青海苔がまた、香ばしかった。指についたソースまで悟能は舐めた。
「そうか? まぁ、お前が気に入ったならよかった」
三蔵と悟能はそんなのどかな会話をしながら、焼きそばや、湯気を立てているたこ焼きをたいらげた。
「三蔵様、そんなにかけて。マヨネーズお好きなんですか?」
「あ? たこ焼きにはマヨネーズだろうが。これが無くてどうすんだ」
ふたりで笑いあいながらおやつとも夜食ともつかぬ食事をした。寺でのこととも思えない。
そしてそんな幸福な夜が深々と過ぎていった。
が、
しかし、
夜半も過ぎた頃、
「……そろそろ、風呂に入るか」
鬼畜坊主はさりげなく言った。
そう、三蔵様は夕方、自分の言った言葉を忘れてなどいなかった。
「…………! 」
悟能は顔を真っ赤にした。ふたりで微笑みながら食事をしていて、悟能はお茶でも淹れようとして立ち上がったときだった。
「さ、三蔵さま」
真っ赤になって、顔をそっと横へ向ける。恥ずかしくて三蔵のことを直視できない。
「悟能」
三蔵は稚児を引き寄せた。可愛い顔も姿も仕草も全てが男の欲望を煽ってあまりがあった。
「さ、三蔵さま、今、お茶を……」
しかし、悟能は、みなまで言えなかった。綺麗な天人のごとく整ったお上人様に、唇を重ねられ、そのまま抱き寄せられたのだ。
「風呂に入るぞ」
三蔵は稚児の首筋を舐め上げた。
「俺の背中を流すんだよな」
その冷たいまでに整った美貌で、美少年に約束を守るように迫った。きらきらとした紫水晶のような瞳が嗜虐的に光る。
「う……」
悟能はうなずくしかなかった。
最高僧様に腕を引かれ引きずられ、そのまま押し込まれるようにして浴室に入った。
どうしようもなかった。
悟能は稚児だ。目上の、いとやんごとなき際におられるような最高僧様に逆らえるわけがなかった。
そう今、悟能はそんなわけで、とうとう三蔵と一緒に風呂場にいるのだった。
「あッ」
悟能は肩や胸に口づけられながら、着物を脱がされていた。あらわになってゆく白い肌に三蔵の唇が落ちる。
「だめ……だめで……」
美少年は感じやすかった。ちょっと触れられただけで、その悩ましい眉を寄せて喘ぐ。
床に水色の水干が音を立てて落ち、三蔵がその腕に稚児を抱きしめた。
「俺のことは脱がせてくれねぇのか」
「う……」
三蔵の簡易な僧衣を脱がそうと震える指を走らせる。三蔵の帯になんとか手をかける。ほどこうとしても指が震えて上手くとれない。
「遅せぇ」
短気な三蔵様が、自分から帯を解いた。はらりと白い僧衣が肌蹴て床に落ちた。その下はぴったりとした首まである黒いタートルネックのノースリーブだ。
「悟能」
そのまま、三蔵は稚児へ口づけた。可愛くてしょうがなかった。律儀に悟能は言われたとおり、三蔵の服をなんとかしようと指を走らせていたが、口蓋を三蔵の舌で舐められ、深く舌を絡め取られて、喘いで黒いタートルネックをわしづかみにした。
「あああッ」
既に水干も、その下の下着も何かもかも床に落とされた後だった。悟能はくちづけられ、食まれるように愛されていた。
……胸のピンク色をした屹立にまで、唇を落とされる。ちゅっと音を立てて、可憐な乳首が舌で吸われた。
「さんぞ……さま……」
がくがくと悟能はふるえている。
三蔵はもう一度、最愛の稚児をきつく抱きしめると、自分の着ていた最後の一枚、黒いタートルネックを自分で邪魔だとばかりに脱ぎ捨てた。
それから。
――――それから、
「……風呂の用意、してなかったな」
「も、申し訳ありません」
初心な悟能がまさか、あのようなことを言われて自分から風呂など用意しているはずもなかった。
三蔵は、それでも機嫌を悪くせず、自分で蛇口をひねって湯を溜める用意をした。
「まぁいい。風呂の湯が溜まるまで、お前を洗ってやる」
檜の椅子に腰をかけて、稚児をその膝へ抱き寄せる。
「……や……」
悟能は、洗い用の手ぬぐいをつかんだ三蔵の腕をなんとか押さえた。
「なんだ。この手は。邪魔だ」
最高僧様が左側の眉を跳ね上げる。
「さんぞ……さま。明るすぎます」
浴室は煌々と明かりがついていた。お互いの裸体があからさますぎる。こんなことは、寝室で抱かれるときでもなかったことだ。
抱かれるときは、いつも灯りは最小限まで落とされていた。薄暗闇で悟能はその身体を開かされていたのだ。それなのに、昼間のように風呂場は明るかった。身の置き場がないほど恥ずかしかった。
「うるさい」
「僕のやくそく……は、さんぞ……さまを」
あえぎあえぎ可憐な稚児が言葉を綴ろうとする。その初心な様子を見て、三蔵はようやく理解した。
「ああ、そうか。お前、俺の背中を流してくれるんだったな」
ようやく法師様は思い出したらしい。確かに稚児は 『お背中をお流しします』 と約束したのだ。
三蔵は背を向けた。
「わかった。早くしろ」
金の髪の男はその精悍な背中を向けた。しかし次の瞬間、
「…………あ」
悟能は洗おうと手ぬぐいをつかんだ手を、止めた。
三蔵の背中。白い背中。
傷が走っていた。
もの凄い傷。
傷跡。
「さんぞう……さま」
いつも、抱かれるときは薄い暗がりだったので、ここまで目の当たりにしたことはなかった。
三蔵の背中は傷だらけだった。相当深手だったろうと思われるような古傷だらけなのだ。
「ん? ああ、お前、何見てんだ」
「も、申し訳ございません」
悟能が視線をそらす。無作法なことをしてしまった。
「なんだ。見慣れてるだろ。俺の背中なんざ」
しかし、ここまで明るい中、正面から見たことはなかった。
「フン。昔の傷だ。仕方ねぇだろ。ガキの頃から殺し合いしてんだ」
三蔵がその酷薄なまでに整った唇をつりあげて笑みの形にゆがめる。
「ココは、俺がガキの頃……そうだな。てめぇくらいの年のときに俺のことを2、3人がかりで追いかけてきやがった……この俺を犯そうとしたヤツを殺したときの傷だ」
肩甲骨の下あたりに走る刀傷を三蔵は後ろに回した手で示しながら言った。
「!」
悟能は震える手で、三蔵の傷にそっと手をあてた。
「ったく世の中、変態がいるもんだよな。冗談じゃねぇ」
三蔵は口をゆがめて吐き捨てるように言った。
「気色悪かった。俺の足首なんざつかみやがって。思わず一回そいつの頭を撃って、確かに死んでるってのに、そいつの頭めがけて何回も撃ちまくっちまった。弾の無駄だってのに」
三蔵は舌打ちをした。浴室に高い音が響く。ガキだったな、とひとりで呟いてる。何度もその様子をその後、夢で見て、その度に自分の悲鳴とともに目を覚ましていた。ひどい悪夢だ。
べっとりと足首に食い込んだ、死んだ男の手の感触。いまだに忘れることができない。思い出すと吐きそうだ。
「それからこっちは……俺から身ぐるみ剥ごうとしたヤツを殺したときの傷だ」
腰のあたりにある傷を指差す。
「ひでぇモンだ。どいつもこいつも」
死と隣あわせの旅を続けていた悲惨な少年時代。慶雲院へたどりつくまで、三蔵は全てが敵のような旅をしていた。守ってくれた師匠には死に別れ、長年親しんだ金山寺は焼かれ、三蔵法師の位を授けてくれた大僧正も死に――――。
誰も少年の三蔵を守ってくれるものはいなかった。
三蔵はひとりだった。ずっとひとりだったのだ。修羅の世界にずっと身をおいていた。身を守るためには相手を殺すしかなかった。
殺し、殺される死の饗宴。そんな悲惨な舞台でひたすら生きてきた。
ずっと安らぎなど無く、肉親の優しい手も知らず、唯一のよすがだった光明とも死に別れて、そう、そんな大切なひとも目の前で殺されて。いつも、いつも孤独でひとりだったのだ。
三蔵の心のどこかは、いまだに麻痺して死んだままだった。どこかが常に安らげなかった。背中や全身の傷は、見た目だけでなく、三蔵の心にも精神にも深い傷となっていまだに残っていたのだ。
夜になれば眠れない。ひとを殺すことによって亢進したアドレナリンが、眠るな、油断するなお前になど安寧の時などないと告げ、精神と心をズタズタに苛む。いまだに悟能がいなければそうだ。
自分には生きている価値などないのかもしれない。うっかりと心が弱るとそんな方へ思考が傾くような地獄を生きていた。生きるためには殺すしかない。そんな世界を生き抜いて生き抜いて。今まで生き抜いてきたのだ。
「……なんだお前」
三蔵は、黙ったままの背後の稚児を振り返った。
「…………」
少年は泣いていた。
悟能は泣いていた。ただ泣いていた。静かに泣いていた。
「……てめぇ」
三蔵は絶句した。
「なんでてめぇが泣くんだ」
「だって」
稚児はすすり泣きながら言った。
「だって三蔵様がかわいそうで」
三蔵はその紫暗の瞳を大きく見開きながら、言った。
「俺がかわいそうだ? 」
誇り高い意思を宿す瞳の輝きが、悟能を厳しく見据えた。それは獅子や龍に似た気高さだった。
「俺に同情してんのか、てめぇ」
同情など、まっぴらごめんだ。そんな気位の高さを滲ませた三蔵の言葉だった。しかし、悟能は、 そう、この可憐な稚児は、こくんと首を縦に振って三蔵の言葉を肯定した。
「……てめぇ」
他の人間に同情され、憐みをかけられたのなら、三蔵はその誇り高い精神にかけて、心の底から怒っただろう。この誇り高い玄奘三蔵法師様を憐れむ人間など、生かしてなどおかないに違いない。
しかし、何故だろうか、
この可愛い稚児に同情されるのはイヤではなかった。
それどころか、
「さんぞ……さま」
悟能は三蔵へおずおずと腕を伸ばした。その細い腕で三蔵を抱きしめようとする。
「僕がいますから」
悟能がその身体をすり寄せてきた。
「……………」
三蔵は何か、温かいものが身体の裡に満ちてくるのを感じた。芯から癒されるような、うっとりとした心地よさを感じる。
「フン」
法師様は鼻を鳴らした。
「てめぇなんかに同情されちゃ、おしまいだな」
優しく、悟能を抱き寄せ、その頭を優しく撫でた。
「大丈夫だ。泣くな俺はもう」
ひとりじゃない。
お前がいるから。
そう、もうひとりじゃない。
きつく、黒髪の稚児を抱きしめた。
もう、お前は他人で他人じゃない。お前は俺で俺はお前だ。別ちたがく、身体も心もくっついて、この現世も過去生も来世も、もう二度と離れないにちがいない。古い道の辻でみかけた朽ちかけた道祖神や歓喜天のように。
「俺にはお前がいる。お前は俺を裏切らない。そうだろ?」
三蔵はそう言って、悟能をただただ抱きしめた。ふたりで溶け合ってしまいたいかのように。悟能は、三蔵の言葉に無言でうなずき、その胸へと抱きついた。
「悟能、俺はお前を」
お前だけを
続きの言葉は浴室の壁に反響し、かすれて消えた。
抱き合う聖天、歓喜天、ガネーシャのように。
どうして、悟能がいると安らかに眠ることができるのか、三蔵は今こそ分かった気がした。
それは、
もう、最初の最初から、自分の本能はこの可憐な少年を選んでしまっていたのだ。
気が、つかなかっただけで。
「三蔵様」
悟能は、三蔵に回した腕の力をより強くしてしがみついた。闇に、暗い闇に、虚無に、暗黒に、無為に、タナトスに、三蔵をとられまいとするかのように。
いや、守るかのように。
三蔵は悟能の手をとり恭しく、くちづけた。
愛している。
言葉にすれば軽く、証明しようとすれば重い。言葉よ、お前は浮気な遊び女のようだ。この世界を支配する全ての因果律よ来たれ。この宇宙を支配する法則から見れば言葉など、微々たるものに過ぎぬ。
この我らを構成する原子、分子のひとつひとつ、そして、この世界を支配する全ての定理を超えてお前を愛している。
確かに、これは愛そのものだ。
角度を変えて、その端麗な唇を重ね合わせる。舌を絡めあわせた。できることなら、このままとけあってしまいたい。
自分より大切なひと、自分より大切な存在、世界の全て。
そんな存在に巡り合うことは奇跡だ。
自分のこの細胞を構成するDNAを残すことより、このひとが、そうこのひとが生きていることの方が大切だと神かけて言える。
愚かしい遺伝子側鎖よ、それほど自己保存が大切なのか。その全てを断ち切ろう。自分などどうでもいい。貴方より大切なものなどこの世になにもない。今こそ血を吐くように言える。
暗黒よ来たれ、もう何も恐れまい。
もう、死すらも怖くはない。
――――三蔵と悟能はずいぶんと長い間、抱き合っていた。
どのくらい、抱き合っていただろう。
抱き合ったまま、いつの間にか
「あ…………ッ」
風呂場のタイルの上で貫かれる。
「悟能……」
胡坐に組んだ上に座らされ、そのまま抱かれてしまっていた。
「あっあっ……」
止めることをすっかり忘れた浴槽から流れる湯がふたりの肌を濡らす。
「んんッ」
三蔵が白い楕円形の石鹸を手に取り、悟能を膝にのせたまま両の手で泡立てる。
「ひっ……」
泡のついた三蔵の手が、悟能の背を這った。
「んッんッん……ッ」
美少年の表情が歪んだ。官能の熾き火が三蔵の手が触れたところから野火のように広がってゆく。
「さんぞ……さま」
悩ましい目つきで三蔵を流し見た。泡に塗れた手は稚児の背中をすべり下り、その腰のあたりを撫で、そしてもっとその下へと這い回った。
「ああああッ」
ちょうど、結合しているところへ泡のついた指が這ってきた。そのままなぞり上げられる。
「ひっひィッ」
甘い甘い悲鳴が漏れる。三蔵に抱かれていることをことさら認識させられるような行為だ。
「ここでつながってる。おまえと」
快感が深すぎるせいか、悟能は肌をふるわせたまま、のけぞった。三蔵の前にその白い首筋をさらしている。三蔵は抱いたまま、その首筋をぺろりと舐めた。……可愛くてしょうがなかった。
「くぅッ……ああッ」
そのまま悟能の尻を手でもむようにする。つややかな肌が白い泡をまとった。石鹸でぬめる三蔵の手が悦くてしょうがない。悟能は甘く啼いた。
「くぅッ」
快感の深さに悟能の尻が逃げようと浮き気味になった。それを逃さないと三蔵が下からつきあげる。
「だめ……だめぇ」
貫きを深くされて、稚児はその綺麗な緑の瞳を見開いた。がくがくと脚を、腰をふるわせる。三蔵を飲み込んだ尻たぶがきゅうっとつぼんで痙攣する。
「すげぇ締まる」
三蔵が眉根を寄せた。悟能のしなやかな粘膜の締め付けを味わっている。なだめるように手で腰のあたり、背と尻をつなぐあたりを手でさする。きつい情交だと幼い身体はついていけなくなってしまう。悟能の勃ちあがった前も、三蔵の肌に触れて擦り上げられている。強烈な快感だろう。
「悟能」
三蔵がむきあったまま、悟能の耳を舐めた。名前を呼ぶ声が湿ってくぐもった。
「悟能……」
薄紅い舌が少年の耳を這う。
「ああああッ」
悟能の尻の痙攣がひどくなった。そのまま
「…………ッ」
白い体液を屹立から吐き出した。
「あああッああ……」
身悶えしながら、悟能は達した。どうしていいかわからないほど快楽が深いらしい。精液を何度も吐き出してぐったりとしている。
「まだ、尻しかヤってねぇ」
三蔵がやさしく抱きしめる。
「尻だけでイッたのか」
「ああっ……」
悟能の瞳から生理的な涙が流れ落ちる。
「いやらしいやつだ。敏感すぎんじゃねぇのか」
タイルの上を浴槽の湯と、三蔵の立てた白い泡が流れていく。隅にある排水溝へと流れ落ちる音が立った。
「このくらいでこんなになっちまうんじゃ、こっちさわったらどうなるんだ」
三蔵の泡だらけの手が、前にまわされた。達したばかりの屹立を握りこまれる。
「…………ゆるして…………ゆるし」
びくんと悟能の身体全体が跳ねた。びくびくと痙攣した。
「…………ッ」
達した身体を貫いていた、三蔵の顔が歪む。めちゃくちゃに絞りあげられた。
「すげぇ。イッた孔が痙攣して、抜きかけるとぶるぶるしやがる」
「ああッ」
悟能が尻をよじりまわすような動きをする。しかし、逃げることなどできるわけがない。逃げたくて、腰を揺らしても、三蔵様を悦ばせるだけだ。
「変になっちゃう……身体がもう……だめ……もう、ゆるして」
「何を許すんだ。……このまま抱いてやる」
低音の淫らな声を、耳へそそがれる。悟能は身体をふるわせた。
「ああッ……」
三蔵は抜きかけたそれをふたたび深く打ち込んだ。
「……ひっひぃッ」
悲鳴に近い声が浴室に響く。三蔵はふたたび、石鹸を手にとると泡を立てた。
「綺麗に洗えてねぇ」
泡塗れの指を、目の前で触ってもいないのに硬くとがったピンク色の乳首へと這わせる。
「ああああああああッ」
悟能がそれこそ目をむいた。肉筒を太い怒張で蹂躙され、尻を犯され、片手で屹立をしごき上げられた上に、胸にまで愛撫の手が這ってきたのだ。
同時に襲う危険なくらいの快感に神経が焼き切れそうになる。
「だめッだめぇッ……もうだめぇッ」
「三蔵×悟能(22)」に続く