砂上の蜃気楼(13)


「ビ、ビビッた。すげぇ声」
 ぬぷ、ぬちゅ、ぬぷと淫靡な音を立てて悟浄は八戒を穿っていた。
「あ、ああ……ッ」
 八戒の目は焦点を失っている。散々我慢させられていた躰は、悟浄の怒張を受け入れた途端に高みへと達してしまった。とっくに限界だったのだ。つつしみも忘れはて、咆哮するような声を上げて続けざまに達してしまった。
 しかし、その前は残酷にも縛められていて、吐き出すことができない。
「うっわ。八戒のぬるぬるでパンパン」
 悟浄が八戒の袋と屹立に指を触れた。極限を向かえている性器は作った淫液を吐き出すこともできずに震えている。そんな無残な屹立に、黒衣の男が香り高い油をひとしずく垂らした。薔薇の香油だ。
「ひぃ……っ」
 眉を寄せて八戒が海老反る。後ろに悟浄を受け入れ、前の屹立を男にもてあそばれる。芳醇な香油は、八戒の体液と混じって卑猥な音を男の手のひらの中で立てた。
 ぬちゅ、ぬちゅっ、ぬちょ……。
「あ、ああっ……あああっ……ッあ! 」
 香油で扱かれるのと同時に、悟浄に腰で捏ねるように抉られて、八戒がよがり狂う。横から痙攣するその痩躯を押さえつけていた三蔵だったが、すっかり紐で縛られ張り詰め過ぎて赤くなってしまった性器の先端へ戯れに指を伸ばした。生々しい体液と芳しい香油の混じったものをすくいとり、そのまま八戒の胸の乳首をもてあそび始めた。
「――――――! 」
 口を閉じることもできず、八戒が絶叫した。腰奥から、ペニスの先端、そして赤く小さく尖った乳首までが電撃に似た快美が走り焼かれる。三蔵は執拗に胸をもてあそび、手を止めなかった。やがて、八戒は唇をわななかせ、うわごとめいたことを呟きはじめた。
「なん……でも……しま……す……おね……がい……あ、もう……また」
 ゆっくりと抜き差しする悟浄のモノがよほどたまらないのか、涎を口端から垂らしながら身も世もなくよがっていた。粘膜が熱を帯びて治まらない。熱く疼いてひたすら腰が蕩けた。八戒は変幻自在に暴れ回る悟浄の熱に、いまや散々泣かされていた。
「そんなに、河童はイイか。淫乱が」
 三蔵が薄笑いを浮かべる。
「う……」
 再び、躰の一点に熱の奔流が集中しはじめ、渦巻き意識を白く染めてゆく。
「はぁ……ッ」
 吐き出すことを許されず、性器を縛められたまま八戒は何度も達した。やわらかくもきつい肉壁が悟浄を引き絞り締め付ける。
「っ……」
 眉を寄せて、その感覚を味わう。立て続けに腰を揺すると、長い射精とともに八戒の中へ精液を注ぎ込んだ。
「次、代われ河童」
 放心している八戒へ、鬼畜坊主が入れ替わりに圧し掛かった。
「っあ……」
 何度も交代で犯される。それなのに、前は解放してもらえない。自分の男としての性は無視するような形で躰を蹂躙される。
 結局。
 その夜、八戒は前を一度も解くことを許されずに三人の男を代わる代わる受け入れた。粘膜が熱く蕩け、石榴のように赤くなるまで貫かれた。前から後ろから犯され、ひとりと背後から交わると、口元へふたり分のペニスを咥えることを求められた。二本のそれを交互にしゃぶった。肉筒は白い精液で溢れ、それを垂れ流しながら、ついには三本の肉棒を口へ突きつけられ奉仕を強要された。
「自分で挿れてみろ。できるな」
 三蔵にも屈辱的で卑猥な行為された。自分からオスを挿入することを覚えさせられた。上手くできないと尻を叩かれた。行為が終わると八戒の小作りな尻は真っ赤になった。あらゆる体位で三人の男達と交わり、八戒は意識を失った。忘我の狭間で悟浄や三蔵を求める卑猥な言葉を言わされた。いやらしい言葉を、男を喜ばせる言葉を散々その口に上らせ、何度も言ってみろと嘲笑われた。
「お願い……イッて、僕の淫らな孔……貴方の汁でいっぱいにして……下さい……」
 官能的な表情で男を誘う仕草を執拗にさせられた。脳髄の奥が痺れ、羞恥心が麻痺してくるのにつけ込まれる。三蔵と悟浄は八戒の耳元に淫ら事を囁き、それを復唱しろと強要した。
「言ってみろ。言わねぇとヤらねぇぞ」
「前、解いて欲しいんだろ。ホラ……八戒」
一晩中、三人がかりで輪姦され卑猥な言葉を舌に上らせるのに慣れさせられる。
「淫乱が。淫乱ですって自分で言ってみろ」
三蔵が胡座をかいた上に座らされ、その怒張を体内に受け入れてしがみつき、腰を揺らしながら呟く。
「は……。僕は……あッ……イイッ」
 生臭坊主が心地よさそうに口元を歪め、悟浄が熱いペニスを背へ擦り付けてくる。カラスを思わせる男がにやりと薄笑いを浮かべた。
「正直になってきたよね。ココロも……カラダもね」
 清廉だった八戒を、泥へ突き落とし肉欲で汚すのが愉快でたまらぬらしかった。すっかり、自分から蠢いて貪婪にオスを咥えこんでいる。そんな、乱れる肢体を楽しげに眺め三蔵と繋がっている恥知らずな孔へ手を伸ばし、そっと触れた。
「ひくひくして……そんなにイイんだ? ホントにスケベなコになったね。イケナイなァ」
「あ……」
 ようやく朝方、ペニスの縛めを解かれた。目の前が真っ赤に染まるほど我慢させられたソレは大量の精液を震えながら吐き出した。
「イイッ…あ……も……気持ちイイッ」
 腰が崩れ、倒れる八戒を左右で悟浄と三蔵が支える。熱い息を絡めあわせ、左右の男と飽きることなく交互に官能的なくちづけを交し合った。八戒はとうとうその夜、肉欲の前に膝を折った。
 華麗な天蓋の寝台に、カラスに似た黒衣の男の哄笑が響く。



「砂上の蜃気楼(14)」に続く