今夜、俺の部屋に来い(13)

 その夜、いつもよりも土楼の中は暗かった。

 外は昨日とは打って変わって凄まじい豪雨になった。気候が、乾季から雨季へと変わろうとしているのかもしれない。典型的な高地の天気で、雨は夜に降ることが多かった。
 土楼の上といわず、内部の円楼といわず、四合院づくりの寺院の中へまで容赦なく叩きつけるように雨は降り注ぎ、青い瓦屋根に白い飛沫が飛んだ。
 会話すら、聞こえなくなりそうだ。苦悩も、悲鳴も、溜め息も、全てを隠してしまうような。陰惨で激しい雨が降り続く。
 そんな、雨の夜、
果たして三蔵の部屋のドアは、ためらいがちに外から叩かれた。
「入れ」
 いつものように。そう、いつもの宵のように。
「三蔵」
 八戒は思わず、相手の名前を呼んだ。怜悧な、そのくせどこか甘さを含む涼しい声で。三蔵が待ちわびていた声だ。
 ドアが、そっと開く。
 土楼の廊下は、明るくない。厳しい自然環境を反映して、電気が潤沢でないのだ。勢い、ろうそくの明かりが未だに用いられている。そんな廊下の灯火に照らされて、黒髪が艶を放って輝く。綺麗な瞳。見つめ続けたら吸い込まれそうな深い緑色だ。
 降り注ぐ雨音を背景に、その登場はひどく劇的だった。身を包むのは、いつもと変わらぬ控えめな緑の服だ。白い肩布が、夜目にまぶしい。
「八戒」
 思わず、三蔵は従者の名前を呟いた。
 ためらいながら、近寄ってくる彼を、強引に腕で抱き寄せた。
「さん……! 」
 抵抗を押さえつけて肌の匂いを嗅ぐ。八戒の肌からは、ほのかに石鹸の匂いが立ち昇ってくる。
 三蔵の、何か心の奥底を狂わせる匂いだ。もともとの八戒の匂いと合わさってひどく艶かしかった。





 ランプの中でろうそくの明かりがほのかに揺れる。
「だめ……です」
 いつものように寝台へ引き倒し、その禁欲的なまでに着込んだ緑色の服を脱がせていった。抗う身体を無理やり押さえつけ、両手首をひとまとめにつかみ、そのまま、服を剥いでゆく。白い裸身が徐々に露になると、次第に石鹸の匂いが濃くなっていった。間違いない。ここに来るまでに八戒は湯を使ったのだ。
「だめです。もう貴方とは」
 言っていることとやっていることが、ちぐはぐだった。この美しい男は本音と建前が一致していない。男の寝所に来る前に念入りに湯に入る。それの意味するところはひとつだ。その癖、清楚に抗ってみせている。
「お前のここ、石鹸の匂いがする」
 三蔵が、秘められた場所にひっそりと生えた、その黒い柔毛へ息を吹きかけた。
「や……」
 濃厚な情事の場にそぐわない清々しい匂いが、脚の間から漏れてくる。三蔵は、黙って八戒の膝頭に手をかけた。この奥を開いて、何もかも繋いで早く一緒になってしまいたかった。どうせ、この男もそれを望んでいるのだ。それでなければ、こんなに丁寧に身体を清めてなど来るまい。今までの、孔という孔を愛されるような濃厚な性体験から学習したのだろう。
「八戒」
 抱きたい。
 三蔵は本能的な焦燥感に駆られていた。
「紗烙さんを裏切るつもりですか、貴方は」
 そんな三蔵に、八戒は思いもよらぬ言葉をぶつけてきた。
「何? 」
 紫水晶よりも美しいような瞳が、驚きに見開かれる。何を言われたか、とっさに分からなかった。
「だって、貴方、昨日紗烙さんの部屋に行きましたよね」
 黒髪の従者が、そっぽを見ながら呟く。傷ついた表情をして、剥ぎ取られそうだった服の、肩先のボタンをご丁寧にも嵌めなおしていた。
「てめぇが何、言ってんのか全然、分からねぇ」
 三蔵は唸るように言った。金色の高貴な肉食獣が、喉を鳴らすような声音だ。
「紗烙さんは貴方のことを自分の部屋に誘うくらい好きなのに」
 それを聞いて、今度こそ三蔵は、どこかがキレた。神経の何処かが、寸断される音を確かに脳の何処かで聞いた。自分の目の前にいる綺麗すぎる黒髪の男。自分の気も知らぬ、この鈍感な男を、もういちど寝台へと押さえつけた。本当に何もかもが見当外れで理不尽だった。

「ひ……」
 八戒の腹部の傷、ひきつれたケロイド状のそれを、三蔵が舌で執拗に舐めまわす。ふるふると勃ちあがって震えているピンク色の可憐な性器には触れてやらない。
「あ……」
 きれいについたしなやかな筋肉、それに沿わせるように舌を走らせた。横腹を舐めると、八戒はくぐもった声をあげた。
「紗烙さ……が、貴方……に 『私の部屋へ来てくれるか』 って……」
 八戒は切れ切れな声で言葉を綴った。
 紗烙は確かにそう言った。そして三蔵はついていったのだ。八戒は黙ってそれを見送った。八戒が三蔵を避ける理由はそれで十分なはずだった。それなのに、三蔵は怒っている。
「さては、てめぇ。誰かの部屋に来てくれって言われたら、俺がいつも……部屋でそいつとヤると思ってんのか? 」
 若干、呆れた口調で三蔵は言った。舌と肌の間で、透明な唾液が糸を引いている。ぬる、と舐め愛した。
「う……っ」
 ぴくん、と三蔵のくちづけを肌に受けるたびに、勃ちあがってしまった敏感な性器が震える。
「隊の……みなさ……も、貴方と紗烙さんが……お似合い……って」
「バカだな、お前」
 内股に舌を走らされて、八戒が背中を震わせた。きれいにたわむ曲線を見せて、寝台の上で仰け反った。
「僕は……貴方に不釣合いで……」
 低すぎる自己評価。それはいつからなのか。幼い八戒を孤児院へ捨てた母、子供のころから笑うことなどできなかった。卑屈にならざるを得ない。望まれなかった子供。それが自分であり花喃なのだ。
「俺がお前でいいってんだ。黙ってろ」
 最後まで八戒はしゃべれなかった。三蔵の大きな手に、一番敏感なところを握られた。
「本当にバカだなお前」
 手首をひねるようにして、三蔵に扱かれる。カリ首が、擦り上げられる感触に八戒は唇を噛み締めた。三蔵の指が触れるたびに、ひくひくと後ろの孔までわなないてしまう。
「僕……身を引こう……て思って」
 途切れ、途切れに甘い吐息まみれの声で八戒は言った。とろとろと透明な、涙みたいな体液を先端から滴らせて、身体をよじった。耐えられない。
「……このバカ」
 三蔵の手の動きが激しくなった。イカせるためだけの動きだ。八戒の口から追い詰められるような苦しげな、しかし甘美な喘ぎが立て続けに漏れる。
「あっ……あっあっ」
 幹に白い体液が集約してゆくのを感じる。そんな瞬間、三蔵はその手をつれなく離した。八戒のが、反り返るほど硬くなってしまっているのに、所在なくぶるぶる震えている。
「ああ……ひどい」
 もう少しで達してしまえそうだったのに。びくびくと震える細い身体を大きく割り広げ、今まで八戒の性器を弄んでいた三蔵の指は後ろの入り口を突いた。
「ひ……」
 いつの間にか、三蔵の指が入りこんでくる。オイルでも塗したのか、痛くはない。違和感も、今までの煮えるような焦燥感の前に感じる余裕もなかった。
「あ……! 」
 三蔵の指が入り口より少し深いところ、身体の前の方の粘膜側を押した。そのまま優しく擦りあげる。
「ここか」
 八戒はそこを押されたときに、びくんと四肢を震わせた。思わず、三蔵の裸の背へ腕を回してしがみつく。歯を噛み締めて叫びそうなのを耐えた。
「う……」
 何度も、何度も指で擦りあげられる。最初、ぼんやりだった快感は、ぞくぞくする耐え切れないものに化けた。
「ああっあっひっ」
 悲鳴になった。
「指、何本だか分かるか」
 唇をつまむようにくちづけながら、三蔵が問う。
「あ……」
 三蔵の指はナカでばらばらに蠢いている。それぞれの動きが気持ちよくてたまらない。思わず、きゅうきゅう締め付けてしまう。
「俺の指にすげぇ、媚びて……絡みついてくる」
 くちづけながら、囁かれてたまらない。その低音の声にも耳から犯されそうだ。
「あっあっあっあ」
 ぴくぴくと弛緩と収縮を繰り返す淫らな孔。そこに三蔵の綺麗な指を挿れられ、八戒は涎を垂らして喘いでいた。ぐるっと内部の粘膜を擦るように一周され、指を引き抜かれる。
「あうっああっあぅっ」
 八戒は首を振った。思わず引き抜かれる瞬間、八戒の下の口は、三蔵の指を追いかけるようにひくひくと窄まった。逃がさないとでもするように、三蔵の指を咥えようとわなないている。抜かれる感触に震えた。
「ああ……あ」
 艶かしいまなじりに、生理的な涙が浮いた。濃厚な愛撫に、しっとりとした汗を浮かべている。
「ここも、ここも石鹸の匂いがする」
 三蔵の低く笑う声がした。ひどく丁寧に洗ってきたらしい。なかまで石鹸の清い匂いがした。そのうち、三蔵の精液でたっぷりと塞がれてしまう場所だったが、今は清楚な匂いを漂わせている。
「あっ……あ……あ」
 仰向けに押さえつけられたまま、身体をわななかせている。指を抜かれた喪失感に狂ってしまいそうだった。そっと三蔵が宥めるようにくちづける。八戒の綺麗に浮いて線をつくっている鎖骨のあたりに舌を走らせた。
「あっあっ」
 身悶えした。昇り詰めようとしては落とされ続けて、必要以上に敏感になってしまう。
「ひっ……ぐ」
 鎖骨から、三蔵のキスが、胸で硬く震える乳首に落ちたとき、八戒は眉を苦しげにしかめた。同時に、また硬くしこったままだった前を触られる。そっとそっと、肉冠の上、鈴口の上を撫で愛されて、悶絶した。
「だ……め」
 れろ、と三蔵の舌で回すように乳首を舐められて、八戒が三蔵の頭へ手をやった。耐え切れない性感に、金の髪をつかんで引き剥がしたい衝動に駆られる。しかし、できなかった。三蔵の頭が、八戒の身体の上で上下している。喰われてしまうような情事だった。
「あ……あ」 
 また、ぎちぎちに、どうしようもなく勃ちあがってしまう。腹につくほど反り返った。
「あ……! 」
 三蔵は自分の硬く勃起したそれを八戒の腹へ押し付けた。ねと、と亀頭同士が先端から糸を吐いて絡みあう。
「ふうっ」
 そのまま、お互いのをひとまとめにして、三蔵にわしづかみにされ、八戒は思わず目を閉じた。腰の辺りに強烈な快感の火花が飛んで奥にある繊細な性感神経を焼く。
「ああ……さん」
 三蔵の太い性器と自分のがくっついた感触に八戒が悲鳴をあげる。
「んっああ……んっ」
 裏筋と裏筋をぴったりと重ね合わせられる淫らな感触に、もう脳が煮えてしまいそうだ。敏感な襞と襞がこすれあう。もう達してしまう。
「あ……イク。もう……」
 三蔵は、汗を浮かべた八戒のこめかみに、そっと唇を押し付けた。祝福のキスをしているように見える。
「や……! ああ」
 それなのに、三蔵はまた、その八戒から手を離した。止まらない、寸止めにされた快感が内攻して、狂うような感覚を伝えてくる。
「いや……やめない……で」
 喘ぎ喘ぎ、八戒が言う。快楽の沼に放り込まれては、無理やり引きずりあげられる。そんなことをされ続けていた。
「あ……! 」
 触れてもらえないなら、自分でしようと伸びてきた八戒の震える手を無情にも三蔵が押さえつけた。
「自分でスルんじゃねぇよ」
「ああっ」
 思わず、腰を上下に卑猥にくねらせて振った。熱い性器の感触を持て余していた。
「やっやぁっ」
 三蔵は、身悶える肉体を割り広げながら、その内股にくちづけた。もっと、奥に触れて欲しい。もっと直接的なところを犯して欲しい。言葉にしなくても震える身体がそう告げているが、三蔵はそれを無視した。
「あ……あ! 」
 腿へ這い、ひざ裏を舐め、そしてふくらはぎに音を立ててキスをした。そして、
「さ……! 」
 八戒が思わず腕を伸ばす。三蔵にしがみつこうとして失敗する。手元のシーツをきつくにぎりしめた。
「あぐ……」
 三蔵に足首を持たれ、足の指をひとつずつ口へ含まれた。足指の間と間へ三蔵の舌が這う悩ましい感触に、八戒が悶絶する。そのまま、つれない指が、勃起しすぎて痛いくらいな八戒のそれを爪で弾いた。
「あぐっ」
 目から火花が散るような衝撃だった。高まった身体は、もう息を吹きかけられるだけで達してしまいそうになっている。それなのに、ちゃんと触ってもらえないのだ。
「さんぞ……さんぞ! 」
 悩ましい口元がぱくぱく喘いで、三蔵の名を切なげに呼んだ。足指をひとつずつ舌で愛され、八戒が思わず尻を震わせた。もう耐え切れない。奥が、身体の奥底が煮えたように沸騰していた。
「さんぞ……さんぞして……してくださ」
 卑猥なおねだりを漏らしてしまう。三蔵は、ふたたび、握っていた八戒の足首を捉えて、左右へ大きく広げるような動きをした。
「あ……」
 目に前に、ひくつく淫らな肉塊と、肉の孔が同時に目にはいる。黒い恥毛も震えて、淫液をこびりつかせてひどく卑猥な眺めだ。
「あ……! ああ」
 八戒は再び、身を大きく仰け反らせた。三蔵の口づけが、尻の肉へ、そして肉の環へとふり注ぎ、そして、その内、舌先が悪戯するように、ナカへと入り込んできた。
「ぐぅっ」
 思わず、叫んでしまいそうになって、八戒が首を横へねじるように向け、思わず口元のシーツを咥えた。身体が三蔵のもたらす感覚に耐えようと震える。もう、正気を保っている自信がなくなるほどの快美感だった。
「くぅ……っくぅっ」
 文字通り、啼き声を立てている。緑色をした目の端から、透明な涙がきらきらと零れ落ちて、シーツにシミをつくってゆく。
「あ……ぐ」
 三蔵の舌にぐるりと襞を舐めまわされて、悶絶してシーツを口から離しそうになってしまった。あわてて噛み締める。
「くぅっ……ぐっ」
 奥へ奥へと舌を伸ばされる。繊細な粘膜は、いまや悪戯されすぎてぷっくりと興奮で充血している。三蔵の舌に反応して、びくびくと八戒とは意思を別にする生物のようにわなないてひくついていた。
「あ……」
 三蔵の力強い腕で、無理やり拡げさせられている長い脚ががくがくと震えた。三蔵の手が再び、八戒の前へと愛撫を施しはじめる。
「くぅっ……くぅ……くぅっ」
 生殺しだ。何度も何度も絶頂から叩き落とされ、とろとろにされる。三蔵の舌が引き抜かれるとき、八戒は絶望的な甘い啼き声をあげた。狂ってしまいそうな前戯の連続だった。
「して……さんぞ……して」
 艶かしい言葉を切れ切れに紡いだ。八戒はつかんでいたシーツから手を離し、三蔵の身体を脚の間にはさんだまま、そのとろけきった身体を、自分の両足首をつかんでより拡げ、甘い声で三蔵にねだった。
「お願い……さんぞ……抱いて……抱いて」
 蕩けるようなお願いは聞き入れられなかった。三蔵は眉ひとつ動かさずに、のぞきこんでいた八戒の肉の環へ息を吹きかけた。びく、びくぴくぴくと、孔がひたすらわななく。卑猥だ。
「あっあっあっ」
 欲しがって、欲しがって、ひくついている。
つかんでいた足首ががくがくと揺れた。もう、キリがなかった。
「ああああっ」
 触れてもいないのに、八戒は腰を何度か前後に痙攣させると、白濁液を噴出した。すごい勢いだった。塞き止められていたものがとうとう切れて決壊した。後ろに息を吹きかけられただけで達してしまったのだ。恥ずかしかったが、もう恥ずかしいと思うような理性など、とうに無くなっていた。
「ああ、ああっ」
 何度も何度も、白い淫らな体液を滴らせる。腰を前に押し出すような動きで、搾るように尻肉が動いた。三蔵はその様子を紫色の綺麗な瞳でずっと見下ろしている。
「ああっあああっ」
 もう、口も閉じられない。舌をだらしなく、震わせて、何度も何度も達している。
「ひぃっ」
 三蔵が、滴った八戒の白濁液を自分の怒張の先端で後ろの孔へ塗りこめ始めた。惑乱するような感触、三蔵の肉の熱い感触に八戒は狂った。
「挿れて。挿れてくだ……さ」
 もう、自分が何を言ってるのかも分かっていない。三蔵のを押し当てられて、八戒のそこは歓喜に喘ぐようにぱくぱくしている。三蔵のをもっとしっかり咥えたいと、欲しがって涎を垂らしているようだ。
「ああ……さんぞ……さんぞおねがい」
 甘いおねだりが繰り返される。ちゅっ、と後ろの襞で三蔵の肉冠を、鈴口から垂れ流されるカウパー腺液ごと吸った。ぐぷ、ぐぷと触れ合った場所から淫音が立つ。もの欲しげに吸い付いている。逃したくないように窄まり、その次にもっと奥へと誘うように緩んで蠕動してぱくぱくと開く動きを繰り返している。とても淫らだ。
「挿れて挿れておねが……」
 懇願が聞き入れられず、無情にも三蔵の腰が引かれたとき、八戒は思わず身体全体でとりすがった。
「さん……」
 逃げれないように、長い脚を三蔵の腰へ絡めてとりすがる。しかし既に、三蔵のは、もう後ろの孔から外れている。八戒の腹へと当たる、その感触だけでまた達してしまいそうだ。
「して……してして。おねがい……おねがいで」
 恥知らずに腰を揺らし、くねらして三蔵のオスを誘った。それでも三蔵は動いてくれない。
「あうっ」
 胸へ伸ばされた三蔵の手に、乳首をつままれて、八戒が仰け反った。
「あっあっ」
 口元へ、宥めるように寄せられた三蔵の手へ八戒が舌を伸ばした。そのまま、その指を舐めまわす。まるで、その指が男根か何かのように、自分の卑猥なピンク色の舌を這わせて吸っている。三蔵が止めずにいると、一本一本を口に咥えて、愛撫しだした。男が欲しい気持ちを隠しもしない仕草に、三蔵の目が情欲に揺らいだ。
「さ……ぞ」
 切なげに眉根が寄せられている。もう八戒はひとと呼ぶのも憚られるほど、乱れきっていた。
「あ……」
 粘膜の入り口に、三蔵の怒張が当たっている感触だけで射精してしまうほど感じてしまう。それなのに三蔵は動こうとしない。カフスの嵌った八戒の耳をゆっくりと焦らすように舐めまわす。そのまま、耳へ、首筋へ、キスの雨を降らせる。どれほど思っているのか、伝わってくるようなキスだ。
「は……」
 目元を赤く染めて、八戒が喘ぐ。生殺しだ。擦り付けられる、怒張の感触がよくてよくてしょうがない。ずちゅ、くちゅ、いやらしい音を八戒の狭間で立てている。思わず、三蔵の方を物欲しげな目で見てしまうが、返ってくる紫の高貴な視線は、下僕のお願いなど聞いてくれない強さを持っている。
 罰なのだろう。
 従者の立場もわきまえず勝手にヤキモチなど焼いた罰なのだ。
「さんぞ……さんぞ」
 大切な相手だけにする仕草で八戒が、三蔵の綺麗な金色の髪ごと頭を抱えて抱きしめた。もう、感じすぎて目の焦点も合ってない。無意識の行為だ。
「さんぞ……スキ」
 甘い言葉を綴る口元へ、何度目かも分からない三蔵の唇が優しく重なった。
「俺の何が好きだ。これか、それとも」
 これ、のところで三蔵が腰を前後に振る。怒張の先端が強弱をつけて押し当てられる動きに八戒が悶絶する。とろ、とまた八戒のが白濁液を吐き出している。もう、何回目かも分からない。まだ挿入されてもいないのに、前戯だけで何回も達してしまっていた。
「さんぞ……が」
 苦しい息の下で八戒がつれない三蔵へ睦言を綴る。
「さんぞ……の……ぜんぶ」
 ぜんぶがすき。ぜんぶすき。なにもかもすき。もう、何をされてもかまわない。三蔵がすき。壮絶な口説き文句を黒髪の男は口にしていた。長いしどけない腕を最高僧の背中へまわし、しなやかな脚をその腰へと絡み付かせている。抱いて抱いてもっと抱いて。壮絶なおねだりに、三蔵が耐え切れるのもここまでだった。
「……っあ」
 三蔵が腰を奥へと押し込める。ぐぷ、と卑猥な音とともにめりこみ、飲み込んでゆく淫らな孔は、ひくひくと喜びに打ち震えているようだ。
「はぁっあっあっ」
 粘膜で三蔵を感じる。手と手を重ね合わせ、正常位で三蔵と繋がった。尻肉が快感で痙攣する。内側に飲み込んだ三蔵のものが良くて良くてしょうがない。
「あうっ」
 微妙に穿たれる角度が変わる。三蔵が八戒のひざ裏に腕を回して肩へ足をかつぎあげた。
交合が深くなる。イイところを擦り上げられて、八戒が甘い仕草で悦楽の声を放つ。
「さん……ぞ」
 とたんに、激しく痙攣した。がくがくと腰が震える。そして、
「ああ……」
 八戒は顔を一層、赤らめた。また、放ってしまっていた。三蔵が突き入れるとほとんど同時に達してしまった。入り口より深くに、三蔵の弾力のあるたくましい肉の感触に、もう性感が極まって脳が白く蕩けてしまっていた。トコロテン。入れたら、出る。恥ずかしいくらい、敏感な身体だった。
「八戒」
 そんな艶かしい身体に、三蔵がキスの雨を降らせる。敏感すぎる。挿入しただけで達してしまっていた。長い蕩けるような前戯に、もうすっかり八戒は自意識も羞恥心も壊れてしまっていた。
「あ……」
 心の中にあるのは、ひたすら、三蔵ので奥まで埋めて欲しい。そんな淫らな気持ちだけだ。
「あ……イイ……僕……またイ……ク」
 これで、オモチャやバイブとか使ったらこの男はどうなってしまうのだろう。恐らく、おかしくなってしまうに違いない。
「すっげえ、べたべただ」
 下複部を白濁液まみれにされて、三蔵が呟く。
「そんなにイイのか」
 担いだ脚を、より前に倒すようにする。そうすると深く繋がることができるのだ。尻を回すようにして、黒髪の従者を抉り回す。穿つのに緩急をつけて奥底を穿ったかと思うと、入り口のところでカリ首をひっかけるようにして戯れた。
「あっ……あっ」
 浅く、深く穿った。まなじりからこぼれる、快楽の涙を三蔵は優しく唇で吸い取った。愛おしくて
しょうがない。
「ぁ……ああっ……あ」
 自分から、三蔵の動きに合わせて腰をふってくる。艶かしかった。抱えた脚を左右に割り拡げる。もっともっと奥の奥までひとつになりたかった。
「くぅっ」
 奥へ、奥へと擦り付けた。そうすると、カリ首が、三蔵の一番太いところが、イイところに当たるらしい。腕の中で八戒が痙攣しだした。
「ああああっ」
 八戒はまた身を捩って、達してしまう。もう、イキすぎてさらさらとした水みたいな精液がふたりの身体の間で滴っている。
「すっげぇ、お前の声、かわいいな」
 耳元へ注ぎ込まれる睦言が強烈で、八戒は耐えられない。
「俺の、どんな感じだ。言って見ろ。欲しかったんだろうが」
 ぺろり、と緑の目のはじを舐めた。綺麗な瞳からはきりも無く、涙があふれ落ち続けている。
「あ……」
 淫らな要求に八戒が顔を手で覆った。それを剥ぎ取るようにしてシーツに押さえつける。
「言え。気持ちいいんだな」
 腰をゆっくり引いてやる。ぶるぶるとそれに粘膜が絡み付いてくる。卑猥な動きだ。
「硬くて……太くて……気持ちイイ……イイ」
 いやらしい言葉を、端麗な唇が呟いている。もう、自分が何を言っているのかも分からないに違いない。
「イイ……僕の……さんぞので……いっぱい」
 喘ぎながら、三蔵のをきつくきつく締め付けてくる。快楽のあまり、三蔵は顔を歪ませた。三蔵が愛したのはひどく淫蕩な肉体だった。白い身体は上気して、真っ赤だ。
「あ……ん……あ……っ」
 粘膜の襞を震わせ、肉筒全体でよじるようにくねらせて、三蔵の怒張を味わっている。その硬さを感触を、粘膜と粘膜が擦れあい、惑乱するような快美感を生む。狂ってしまいそうだ。
「俺の、そんなにしゃぶって、うまいのか」
 くちづけながら、淫らごとを囁く。囁かれるたびに、八戒の内部が、肉が、粘膜が震える。きゅう、と締まった。本当に淫らでかわいい肉だ。
「さん……ぞ」
 また、際限もなく達してしまう。その瞬間、八戒は三蔵の背中へ腕をまわし、きつくきつくしがみついた。尻肉と尻肉の間。狭間ではきりもなく、三蔵の怒張と八戒の孔がいやらしい音を立て続けている。
「あ、ああ」
 三蔵の手が、達した八戒の前へ回される。すっかり周囲は精液の濃い匂いで満たされている。もう、あの清楚な石鹸の匂いはとうに消えていた。
 八戒が達すると、その生理的な現象のままに、粘膜も連動して、きつくきつくひきしぼられる。三蔵のを容も変えるいきおいでもみくちゃに絞って絡み付く。
「あっあっさんぞもさんぞも」
 自分ばかりが達していることが、後ろめたくなったのか、淫らな男が、犯す相手に懇願している。自分の孔の中でイッて欲しいと身体を震わせていた。
「ほし……さんぞのが」
 その粘膜という粘膜。淫らな孔を三蔵の精液で満たされたいと囁かれて、三蔵が八戒の腰を抱く腕の力を強くした。
「やらしい。てめぇ。やらしすぎる」
「あっ」
 お仕置きのように、一番奥を激しく穿たれた。がくがくと抱え込まれた脚がふるえ、脚の爪先までが内側まで折りたたまれる。イク。達してしまう。ナカでイカされてしまう。
「あああっ」
 八戒は再び、上体を跳ね上げるような動きを思わずした。もの凄い衝撃だった。粘膜から、腰骨の間で上下して擦りあげてくる三蔵のが、電撃のように甘い感覚を生み、それが腰奥の神経をやいて、背筋を這い登り、脳内に白い粒子の雨を降らせる。もう耐え切れない。
「八戒」
 三蔵も腰を震わせた。射精している。悩ましい従者の粘膜の奥、身体の奥の奥へと白い体液をこれでもかと注ぎ込んだ。とろとろとした粘液で膜という膜を焼いた。
「あああああっ」
 八戒は身をよじった。脚の間で自分を犯す三蔵ごと、脚をよじるようにして、全力で締め付ける。
「ぐ……!」
 強烈な快楽に三蔵は呻いた。甘美な身体だった。何度も何度も奥底から湧くようにしてほとばしる体液を、ふるえる八戒の粘膜へと搾るようにして擦り付けた。身体の下で悦がる八戒は淫らで愛おしい。
 ずちゅ、ずっ……ずっ。
 身体を引くようにすると、またイイらしい。甘い押し殺した声が八戒の口から漏れる。奥の奥、襞の間と間に、三蔵のが引っかかるのだろう。三蔵の亀頭で感じやすい奥をなぞりあげられ突かれ、太いカリ首で浅いところにある前立腺を擦られる。同時に施される快感に、肉筒は凄まじい勢いで揉みしだくようにして締まり絞ってくる。いやらしい身体だ。
「さん……ぞ」
 濡れたような緑の綺麗な瞳に見つめられる。もうダメ、もうこれ以上、快感が深かったら狂ってしまいます。その目はそう言っている。愛おしい。
「許して……許してください」
 甘い降参の声が漏れるが、三蔵は応える気がなかった。三蔵も達した。どぷどぷと白濁した精液を八戒の孔へ注ぎ込んでいた。何度も。達したのに。抜く気になれない。
「いやぁ……あ」
 敏感な身体には酷だった。くいくいと八戒のしこった乳首を三蔵の指がつまむ。びくんびくんと八戒が快感で身体をわななかせた。
「ああ……」
 ぐちゅ、三蔵ので八戒の粘膜は白く焼かれていた。淫らな快楽の液体で、肉筒が充満している。かまわず、三蔵はそのまま突き上げた。こぼ、と淫らな音が立つ。ゆるゆるとつながり続け、ときおり深く深く八戒を穿った。
「あぐ……」
 もう、八戒は目の焦点もあっていない。身体を喰われるように犯され続けていて正気が保てない。
 
 胸の乳首を舐めまわされながら、抜いてもらえない。八戒はもう限界だった。ちゅ、ちゅっと両方の乳首を交互にキスしながら、三蔵が腰を回す。とたんに、卑猥な感覚で粘膜がやかれるようだ。
 吐き出して、項垂れていたそれが、むくり、と頭をもたげる。ぴく、ぴくと蠢き揺れた。そして
「ああ……っ」
 八戒の身体の中で、三蔵が大きくなってゆく。いっぱいいっぱいに体内で育ち、粘膜を圧してゆく。捏ねるように、八戒も自分から腰を回した。蕩けるような感覚が内攻し、淫らな感覚を伝えてくる。放出された三蔵の精液が、ナカで音を立てているのも耐え切れない。卑猥だった。
「あ、ああ……ん」
 粘着質な音が接合部から漏れる。三蔵ので角度を変えて突きまわされると、思いもよらなかった新たな感じる場所を身体で教えられて、八戒が頬を染める。
「やぁ……」
 きゅっと、狭間を絞った。それでも三蔵ので突きまわされる。腰を下げるようにして浮かしたそこを逃さないとばかりに三蔵のが穿ち、手で腰骨を押さえつけて穿った。
 犯される。
「あっ……ああっ……あ……んっ」
 狭まった内壁を三蔵のが擦りあげる。三蔵を脚の間で、身体を開かされて抱かれている八戒の両脚が揺れた。狭間に三蔵を叩き込まれ、喘いでいる。
「あっああ」
 いやらしく腰をふった。思わず、上下左右に腰を上げ下げし、淫らにくねらせた。
「ひっ……」
 三蔵の肉が、三蔵の肉棒が内壁にぶつかるたびに、八戒を狂わせる肉感に圧倒される。蕩ける感覚を粘膜が伝え、八戒の口はしからとろとろと唾液が伝う。強烈な感覚に耐えられなかった。
 たわむ細い背、そしてそのしどけない首筋に、三蔵の唇が這った。宥めるようにくちづけられる。
「や……」
 しどけない首の付け根を噛んで、そのまま長い首筋へ歯を立てた。三蔵に噛まれて、八戒が甘い声を漏らす。
「あああっ」
 そのまま、その白い凶暴なまでに美しい歯は、カフスの嵌った耳たぶを愛しだした。とろとろと蕩けるように愛撫される。
「んっ」
 耳の中が、三蔵の舐め愛す音に犯される。ぴちゃ、ぴちゃ。八戒は身体を震わせた。耳の中で、三蔵が八戒を舐めて愛している音がこだまする。いやらしい……音だった。
 三蔵も達したが、抜いてもらえない。愛撫はとろとろとしていて、ゆっくりでもう我慢できない。煮られるようなセックスだった。
「さん……ぞ」
 焦れた八戒が喉を震わせてすすり泣く。精液を放出されても、飽くことなく三蔵は八戒を穿っていた。開放されず、許されない身体は引き攣って限界を迎えていた。
「あ……」
 三蔵が腰の動きを止めた。荒い息をひとつ吐くと、身体の下に敷きこんだ八戒をじっと見つめた。乱れきった緑の瞳は情欲に濡れてなまめかしい。
「んっ」
 動かすに身体と身体を繋いだままでいると、そのうち神経がそこへ集中してしまう。ぴく、三蔵のカリ首の下、棹に浮いた血管がうごめくのまで、密着した粘膜ごしに感じてしまい、八戒が悩ましげな表情で眉を寄せた。
「ぁ……」
 ひく、とナカの三蔵を締め付けながら、八戒が呻く。ひくっひくっと八戒の下の口がうごめくのが自分でも分かったらしい。まるで、内側から焦らされ炙られているようだ。
「や……」
 ひくん、ひくんひくん。淫らな孔は八戒を裏切っていやらしく収縮している。きゅうきゅうと三蔵を絞るように絡みつく。
「やで……す」
 身体はとろとろに蕩けているのに、恥ずかしくてたまらない。ゆるゆると八戒の羞恥を引きずりだすのを目的にしているような性交。限界だった。もっとちゃんと犯して欲しかった。孔の孔、奥の奥まで。
「ひ……ああ……ん」
 八戒は腰を三蔵に抱え込まれた。膝の上に尻をのせられる。より深く抱かれる体位になって、八戒が口も閉じられなくなって喘ぎ狂った。
「もっと……」
 甘い声で呟いてしまって、あわてて八戒が両手で口元を覆った。恥ずかしいことをねだりそうになっていた。
「もっと?」
 腰を直撃する低い低音の声に聴覚まで犯され尽くされていた。濡れた声色、三蔵も感じている。それなのに、こんなにゆるゆると情事を引き伸ばして、八戒を蕩けさせて狂わせているのだ。
「もっと……なんだ」
 クックックッと三蔵が喉で笑った。笑うたびに突き入れられている体内で三蔵のが角度が変わって八戒に眉根を寄せさせる。
「かわいいなお前」
 指の腹で、敏感な神経の集まる、性器のくびれ部分を集中的に扱かれた。
「分かった。飽きるくらい俺のをくれてやる」
「あああっあああっああ」
 もう、よがるしかない。身体を捩りまわして、三蔵の与えてくる肉感に耐える。ぐい、と三蔵に腰を突き出されて、喉をのけぞらして喘いだ。耐え切れない。
「あああああああっ」
 派手な嬌声が甘い。愉悦に歪む美貌にくちづけ、三蔵が腰を引くと、八戒の粘膜が卑猥な収縮を繰りかえした。逃がすまいと絡み付いてくる。それにかまわす抜き、狭いそこを抉るように穿つ。
「ふうっ」
 鼻に抜けるような生臭い声が八戒からあがる。相当、イイのだろう。腰が揺れ、三蔵の動きとあわせるように尻をふっている。
「ああっああああ」
 柔らかな下生に、当たるほど深く身体が重ね合わされる。吐き出されたそれで、入り口がぐちゅぐちゅと淫猥な音を立て、八戒が快楽で身も世もなくなって淫らに泣いている。
「イク……」
 何度目か分からない白い液体を、八戒は吐き出そうとしている。
「一緒にイクぞ。今度は一緒に」
 囁く金の髪をした美しい男の言葉に、ただただ、八戒はうなずいている。八戒の小ぶりの尻に、三蔵の腰がぶつかる淫音がひたすら響く。既に男を吐き出されて濡れている結合部がいやらしい音を立てて、八戒の聴覚までも犯してゆく。
「あっ……ひぃっ……あ」
 濡れた音に、聴覚からも交合の愉悦を味わう。もう、八戒など腰が立たない。がくがくと三蔵にむさぼられるままだ。
「イク……もうっ……」
 細い痩躯ががくがくと揺れる。快楽で痙攣し、三蔵のにむしゃぶりついてくる。思わず、三蔵がその秀麗な面を歪ませた。すごい快感だった。
「あ……さんぞ」
 身体の下から、八戒が腕を伸ばして悦楽の声を放っている。その細い身体を好き放題に穿って甘い声を上げさせていた。育ちきって、先端からくぷくぷと懲りずに白濁を溢れさせている、八戒のモノに手を伸ばす。腰の律動とリズムを同じくして擦りあげた。
「ああっんああああっ」
「一緒に……な」
 甘い律動に誘われるまま、三蔵も八戒もお互いを吐き出した。三蔵は八戒の柔らかい肉へと、八戒は三蔵のたくましい手の中へと淫らな体液を吐き出した。
「はっ……はぁ」
 お互い、抱き合うようにして、荒い息を整える。
「さ、さんぞ」
 抱き合ったまま、まだ狭間に、三蔵の猛々しい肉の感触を感じて、八戒が目元を染める。
「だ、だめです……も……抜いてくだ……やぁっ」
 もう、どのくらい抱き合っているのかも分からない。閨で特有の、蕩けるような時間。何もかも無視した艶かしい感覚が、三蔵と八戒を浸しつつあった。蕩けるように、ねっとりと抱かれ続けていて、感覚がもう麻痺していた。
「やっ……」
 三蔵の怒張が、放出したのに、いまだに硬さを保っている。それでまた続けざまに穿たれた。
「ひぃっ……う」
 ひくり、と尻肉がわなないて震える。抱かれすぎて、感じすぎて力の抜けた身体を、腕で支えるようにして、三蔵が崩れた肉を飽きずに穿っていた。
「やめて……許して……抜いて……抜いてください」
 涙声になった。三蔵と繋がっているあそこが疼いて甘い。きっとこれ以上犯されたら、狂ってしまうだろう。それなのに、言われたのは無情な言葉だった。
「抜けるわけ、ねぇだろ」
 甘い身体に、顔を歪めながら、最高僧は穿っていた。
「抜きたくねぇ。すげぇ」
 腰の上に八戒の尻を抱えあげたので、ものすごく奥までペニスが挿る。突き刺し、穿ちながら、三蔵は唸った。糖蜜のような甘くていやらしい身体だった。びくびくと三蔵のに優しく絡み付いてくるいやらしい襞と粘膜。奥の奥がまたことさらいやらしい。折れ曲がった粘膜の奥まで亀頭でこじあけるようにして突いてやる。
「ひぃ……っ! 」
 八戒が深すぎる交合に悲鳴をあげた。別種の生物のように、もみしだかれて、三蔵が苦痛とも快感ともつかぬ表情を浮かべる。奥の奥にある八戒の淫らな襞。粘膜の蠢きが実に淫猥だ。三蔵のをめちゃくちゃに締め付けてくる。
「あっ……」
 三蔵の膝の上で、犯されて尻を震わせている。三蔵のを奥の奥まで深く深く飲み込んだまま、淫らに腰をくねらせて喘いだ。
「ああっあああっ」
 うねる、いやらしい肉筒や粘膜が性悪に三蔵の硬い怒張の感触やつるつるした肉冠、一番太いカリ首の淫らな感触をあますことなく敏感な粘膜が伝えてくる。
「ああっ深いっ奥がっ奥がっ」
 もう必死で、自分がどんなに淫らなことを口走っているのかも自覚してない。前立腺を太いカリ首で擦られ、一番深い奥の奥を同時に三蔵の亀頭で舐め回され、連続でイキ狂って痙攣しだした。絶頂に達している。目の焦点があっていない。もう、前は先走りも精液も何もかも垂れ流してぐちょぐちょだ。
「さんぞ……さんぞ」
 縋るように腕を伸ばした。そんな八戒の手の甲へ三蔵が優しくくちづける。

「お前は俺だけのもので、俺はお前だけのものだ。いいな。もう二度とくだらねぇこと考えるなよ」

 八戒はその夜、三蔵の身体の下で密かに身体を開いて狂い咲いた。

 





 「今夜、俺の部屋に来い(14)」に続く