陵辱(1)

「八戒サンってば働きものだよねぇ」
 悟浄の声が薄汚れた安宿の壁に響く。
「昼はジープに俺らを乗せてくれて……夜は」
 声が心なし意味ありげに小さくなり、忍び笑いが混じる。
「……『自分』に俺らを乗せてくれるなんてねぇ」
 悟浄の傍らに立つ金の髪をした男も低い声で笑った。
「違いないな」
「な、三ちゃんもそう思うデショー? 」
 くっくっと傷のある男前と評していい顔を歪めて悟浄は笑い、足元に落ちたタバコの吸殻を投げやりな動作でもみ消した。
「っは……」
 そんな、勝手なふたりの男の言葉を八戒は背中で聞いている。裸に剥かれた背は、既にじっとりとした汗を浮かべ、安宿の裸電球の下で惨めにも白い肌をさらしていた。
「お返事は? 」
 悟浄がその背筋に人差し指を走らせる。
「うっ……」
「淫乱が。気持ちよさそうな声だしてんじゃねぇ」
 三蔵が苛立ったように呟き舌打ちをする。
「ちが……う」
 たどたどしい上擦った声をあげ、首を左右に振った。さらさらと艶やかな黒髪がシーツの上で揺れる。スプリングが嫌な音を立てる壊れかけのベッドの上で、八戒は尻をふたりの男にさらす形で犬のように四つん這いになっている。
 左の手は左の足首に縄でひと括りにされ、同じく右の手は同じ右の足首と一緒に縄で括られている。ちょうど尻を突き出して悟浄と三蔵の眼前に秘所を丸出しにしていた。
「ちがわねーだろが」
 悟浄がその白い背に唾を吐いた。
「く……」
 八戒の目尻に涙が浮かぶ。いつからだろう。八戒は同じ旅の仲間である三蔵と悟浄から凄惨な強姦――――というより輪姦――――を受けていた。閉塞した男だけの旅。その間の性処理係。何故か八戒はそんな不名誉で理不尽な扱いに追いやられていたのだった。
「誘ったのはオマエだろうが」
 三蔵などはそういうが、八戒にはさっぱり分からない。
「やめて……下さい……も……今日は」
 無駄と知りつつ、八戒はシーツに埋もれた顔を上げ苦しげな息を吐きつつ抵抗した。
「うるせえ」
 三蔵が哀れな懇願を退ける。その震える小さな尻に平手を放った。高い肉を打つ音が部屋に響く。
「あうッ」
 八戒は奥歯を噛み締めた。容赦が無かった。強く打たれて尻に紅く三蔵の手の跡がつく。
「は……」
 屈辱的だった。どうして自分がこんな目に仲間からあうのか、さっぱり分からなかった。
「そうそう。んなつまんねぇこと言わないでさぁ」
 悟浄がことさら軽薄に言ってのけた。上半身は裸で、下にはジーンズだけ着けている。その目は八戒の淫らな窪まりに釘付けになっている。
「昼間、敵サンの相手してさ。むちゃくちゃ殺しまくったじゃん? 俺ら」
 傍らで三蔵も静かに聞いている。三蔵も上は脱いでいるが、下は身につけたままだ。八戒ひとりが、この陰惨で淫らな部屋で丸裸にされている。
「なんかこー眠れなくって。ムラムラしちゃって駄目なんだよねー。血の匂いでアッチも勃っちゃって興奮してるってヤツ? オマエもそうだろ? 」
「…………! 」
 八戒は無言で首を振った。ベッドに押さえつけられ、尻を掲げさせられた屈辱的な格好のまま、それでも首を横に振った。
「すましてんじゃねぇよ」
「ひっ」
 三蔵が、いつの間にかローションで潤した指で八戒の尻を撫でまわした。小さい丸みを帯びた尻は粘質なローションで濡れて光った。三蔵が打った紅い跡も艶めいて淫らに輝いた。
「あっ……」
 三蔵の骨ばった指が、後ろの孔へと這わされ八戒は息を詰めた。
「や……」
 縄で固定され、どうにもならぬ手で固定された自分の足首をがりりと引っかいた。
 くちゅ。
 ぐち。ぐぷ。くぽ。
 生々しい音を立てて、三蔵の中指が八戒の肉筒を出入りした。媚肉を掻き分けて侵入した指が容赦なく八戒の感じるところへと探るように蠢いて責めたてる。
「あ……」
 筒の前側、前立腺の走る方の敏感な粘膜を三蔵が指でこすりあげる。
「ぐぅ……」
 思わず、甘い鼻に抜けるような声が出た。八戒は何度も何度もこの旅の間というもの、情欲にはやったこのふたりの仲間から犯され続けていた。何度もその身を若い男ふたりの蹂躙にまかせ、好き放題にされていたのだ。
 最初は死にもの狂いで抵抗したが、三蔵が魔を封じる札をどこからか取り出して八戒から抵抗を奪い、結局、蜜を躰から垂らすようになるまで毎晩輪姦されまくったのだ。
 それからは、ふたりの性交奴隷にも似た毎日を送らされている八戒だった。
 八戒が目を閉じて悪夢のような自分の状況を振り払おうと首を振っていると、悟浄の声が耳に届いた。
「感じてんじゃん」
 揶揄(やゆ)されるが、もうそれに応ずる余裕はない。
「はぁ……ッ」
 快楽に濡れた瞳を硬く閉じて、とうとう三蔵の残酷だが手馴れた指の蠢きにあわせて腰を揺らめかせた。抑えられない。
「すっげぇヤラシイ」
 紅い髪をかきあげ、悟浄が三蔵のもてあそぶ粘膜の入り口を興味津々といった仕草で覗き込んだ。舌なめずりまでしている。
 言葉のとおり、八戒のそこは紅く充血しはじめており、快楽でわなないてひくつきだしていた。
「や……」
 素直でない反応に、責める金髪の男が再び打ち据えた。既に内部で暴れ回る指の数は二本に増やされ、激しく擦りあげているのに、同時に尻を激しく揉まれ打たれる。
「ぐッ……」
 八戒のまなじりから涙が溢れた。頬を伝いシーツを濡らす。
「素直じゃねぇな。犬が」
 三蔵がことさら冷ややかな声を出した。調教の悪い雌犬でも評するときに似た口調だった。冷酷な態度なのに、指で八戒を追い詰め穿つ動作はやめない。
「犬ねぇ。ま、犬ッつーより」
 次第に高くあがる嬌声を聞きながら、悟浄がジーンズの懐をまさぐった。タバコでも探しているのだろう。
「……エロ奴隷とか、俺ら専用の便所ってカンジじゃねぇ? 」
 こちらも、どうかしているのだろう。異様な性臭が漂う淫夢にも似た状況で何かが麻痺しているとしか思えない。悟浄にしては鬼畜な笑みをその男らしい顔立ちに浮かべた。
「便所か」
 三蔵のもてあそんでいる肉体は、じっとりと汗を浮かせ、その横腹は引き締まり綺麗な肉が線を結びベッドに影を落としている。
 それが、三蔵が指で焦らすように弄るとひくひくと淫らに痙攣する。肉の快楽に慣れ始めた、感じやすい躰だった。確かに八戒は性交奴隷の素質十分というところだった。
「あ……やで……す」
 喘ぐ唇にはかまわず、三蔵が指を抜くと高く上げさせている尻に息を吹きかけた。ひくひくと肉襞がわななく。
 肉の環が欲しがって窄まったり拡がったりする淫猥な光景を眺めていた男ふたりだったが、そのうち淫靡な笑い声を立てて八戒を侮辱しだした。
「……嫌だと言ってるぞ。聞いたか河童」
「んー。なんか寝言みたいだったケド。しょうがないね。俺らのカワイイ便所は」
「全くだ。こんなに欲しがってる癖に何がイヤなんだ。イライラする」
 三蔵は舌打ちして唾を吐いた。八戒のふたつの双丘の狭間にそれは落ち滴り窪まりに留まった。
「おい、河童。この躾の悪いのに書いとけ。『肉便器』ってな」
「マジックで? 」
「明日くらいじゃ消えないようにしといてやれ。その方がこいつも忘れずにすむだろう。自分の立場ってヤツがな」
「…………! 」
 ふたりの言葉を声もなく聞いていた八戒だったが、囁かれている言葉の非情さに目を剥いた。このふたりは本気だ。
「はいはいっと」
 悟浄が部屋の机の中から油性マジックを取り出した。きゅ、と摩擦音を立ててプラスチック製の蓋が抜かれる。
「どのへんに書く? 」
「手はじめに尻にでも書いとくか」
 まるで、『この辺は雑草が多いから抜いておくか』みたいな日常茶飯事の調子で交わされる言葉に、八戒がたまらず抵抗した。
「な……」
 手首と足首をいっぺんに括られ縛られている。それでも膝を使って逃げようとした。狭いベッドだったが、せずにいられなかった。
「おっと」
 八戒の意図に気がついた悟浄がその脚をつかんだ。
「逃げんなって」
「……! 」
 八戒が無言で首を振る。シーツに顔を押さえつけて首を振った。その頭を無造作につかまれた。黒髪をわしづかみにされて引き上げられる。無理な姿勢だった。
「嘘ばっかり言いやがって」
 三蔵だった。
「……この方が感じるんだろうが」
「違……」
「違わねぇな。そんなエロい顔しやがって。てめぇが悪い」
「あ……」
 八戒の顔は苦渋に塗れ、汗と涎と涙でひどい有様だった。でも八戒の陵辱はまだまだ序の口だった。そのうちもっと白い体液で徹底的に汚されてしまうに違いなかった。
 三蔵は慈悲の一片もない仕草で、八戒の顔をシーツに押さえつけた。暴れようとする躰を悟浄が押さえ込む。
「書け。悟浄」
「OK」
 冷ややかなフェルトのペン先が熱い肌を走る感触に八戒は耐えた。きゅ、きゅとぬめる白い肌の上を滑ってゆく。油性マジックのシンナーの匂いが立ち、八戒の肌はインクで汚された。
「どうだ」
「……笑える」
 残酷にも尻の上、背と繋がる腰の部分にかけてくっきりと下卑た三文字が記された。
「ぷっ…………」
「くっく……くっ」
 ふたりの男は笑い出した。
「こりゃいいや」
「傑作だな」
 無残だった。すっきりとした細腰と誘惑的な小さな尻の部分にかけて、黒いマジックで『肉便器』と書かれてしまった。
「いいねぇ。こんなの書かれちゃって。いつもみたいに『まぁまぁ』とか『しょうがない人たちですねぇ』とか口うるさく説教してみてよ。八戒サン」
「まったくだ。こんなの書かれて、いつもみたいに澄ましてられるなら、褒めてやる」
 エロ河童と鬼畜坊主は口々に勝手なことを言って大笑いしている。
「どお? 八戒サン。肉便器って書かれた感想は」
「馬鹿。尻に書いたから本人は見えんだろうが」
「あ、そっかごめんねー」
 屈辱だった。あまりのことに呆然としている八戒の躰をとらえ、ふたりの男はジーンズの前を開け、それぞれ自分の熱い怒張をあてがった。
「……あ」
 後ろから三蔵、前から悟浄。順番は変わるが、これから交互に犯されるのだ。八戒の瞳に諦めたような色が浮かんだ。
 特に労わりもせずに、後ろから三蔵の性器を挿入される。ぐぼ、とローションで濡らされた後孔に太くて硬い肉塊を押し込められた。
「うッ……」
 思わず太腿の筋がぴんと張った。どうしても衝撃でうめいてしまう。
「狭いな」
 三蔵はまるで馬に乗るかのように律動を刻んで八戒の肉筒を犯した。突いては抜く淫らな動作を 繰り返す。
「あ、あっ……」
 八戒が眉根を寄せる。長大なものを奥まで突っ込まれる苦しさに耐える。腰を高くしてるため、尻を捧げるようにして犯されていた。
 三蔵の先走りの液と馴染ませるためにつかった多量のローションがぐちょぐちょと狭間で鳴った。それに覆い被さるように尻肉を肉が穿つ乾いた音が立つ。
「ひぃッ……」
 八戒が歯を食いしばって耐えていると、その口元に悟浄が自分の怒張を突きつけてきた。
「イイ顔してるぜ。ホント。……エロくて最高」
 口元を淫猥に歪めて八戒の頬に肉塊を擦り付ける。涙の跡の残る八戒の頬につらつらと粘凋な悟浄の透明な液がついた。
「ガマン汁で濡れてる顔も……すっげぇヤラシイ」
 その間も、三蔵の容赦ない責めは続いている。肉筒をえぐりまわされ、敏感なところを立て続けに穿たれて、八戒は顔を歪ませた。
「あ……あっ」
 ひくんひくんと尻を、腰をくねらす。
「こっちも……っていいたいケド」
 悟浄は眉を顰めた。
「これじゃ無理か」
 八戒の体勢は、うつ伏せになって腰を突き出し、顔をベッドにつけた格好だった。手首が足首で固定されているので、上半身を上手く支えられない。
「ま、いっか。……ヤれるだけヤッてみっか」
「! 」
 八戒の背には三蔵が覆い被さり、その上で腰を振っている。腰を回し捏ねるようにして、的確に穿った。思わず犯されている八戒の唇から悲鳴が漏れる。
 その前からは透明な涙にも似た体液を溢して残酷な陵辱に耐えた。そんな八戒の顔の前に悟浄は強引に割り込んだ。口の奥の奥まで自分を咥えさせる。
「……! 」
 八戒が目を開いた。涙が飛び散った。
「ぐ、ぐぅッ」
「は……すげ、気持ちイイ」
 無理な体勢だった。悟浄のを喉をつくほどに咥えさせられ、後ろには三蔵のをねじ込まれている。前から後ろから犯された。
 悟浄が強引にフェラチオさせると、顔が前にあがり、不自然な体勢のまま八戒は後ろで三蔵とより深く繋がってしまう。
「動きにくいだろうが」
 三蔵が八戒の細い腰を支えなおして呟いた。手首と足首を繋がれている八戒には自由はない。ふたりの男の間で突きあうビリヤードの玉のようになっている。
「ん……んんッ」
 まるで悟浄と三蔵が動きを合わせるように躰を進めると、どちらからも押し込まれる動きを加えられて八戒が苦しげな声をあげる。しなやかな肉体に加えられる蹂躙と陵辱は度を越していた。
「あ……ぐ……ぐぅ」
 後ろから激しいピストン運動を加えられながら、後ろの髪をわしづかみにした悟浄に勝手に口腔を犯される。もう限界だった。
「……たまんねぇ」
「とりあえず、イッとく? 」
 八戒の躰の上で、ふたりの陵辱者は囁きあった。話は決まったらしく、八戒を前から後ろから貫く動きが細かく速くなってゆく。激しい交合に八戒が声を立てずに泣き出した。
「んむ……むぐ」
 苦しいのだろう。哀れにも両の目から涙を流しながら、八戒はふたりの男にぐちゃぐちゃにされている。
「イクぞ」
「あ……俺も」
「……! 」
 悟浄と三蔵は同時に八戒の内部へ自分を放った。どろどろとした精液を躰の奥に注ぎ込まれる。
「飲めよ……八戒。ホラ」
「ん……」
 悟浄が涙と涎と体液で汚れた八戒の唇から一度ペニスを引き抜いた。ぐぽ、と音を立てて八戒の口元との間に白い汁が滴りつらつらと糸を引いた。
「ホラ……ちゃんと吸って」
「は……むぐ……ッ」
 尿道に残った分も残らず吸い出せと悟浄に求められ、八戒は頬をすぼめてそれを舐め取った。
「くすぐってぇ……でも気持ちイイ。オマエの口……」
 悟浄が陶然とした口調で呟いた。
「どうする。このままヤルか」
 いまだに猛ったものを抜いてない三蔵が乾いた口調で告げた。このまま拘束して縛った格好のまま犯すかと訊いているのだ。
「あ、気持ちイイけどよ。ふたりでヤルと上手く動けなくねぇ? 」
「……なら、仰向けにさせるか」
 汚されて力の抜けた八戒の躰を悟浄と三蔵は裏返した。しなやかな腹部に走る痛ましい傷跡が印象的な躰を眺めていた悟浄だったが、すっとんきょうな声をあげた。
「あれぇ」
 八戒の薄い茂みへと手を伸ばす。
「……触らない……で……くださ」
 荒い息が収まらず、胸を上下させて悟浄の手を払おうとするのを三蔵が羽交い絞めにする。
 八戒の屹立は白い快楽の徴を吐き出したらしく、鈴口から体液を滴らせていた。
「八戒サンもイッちゃってたんだ」
「前、触ってねぇのに」
「犯されて感じてやがる」
「淫乱」
「肉便器だな。本当に」
 嬲るような言葉を悟浄と交わしていた三蔵の唇が嗜虐的に歪んだ。
「……本当にどこかの公衆便所に吊るしてさらしてやろうか。『肉便器』って書いたままな」
 悟浄と三蔵に犯された肉体を、外の公衆トイレの便器へ縛りつけその惨めな有様をさらしてやろうかと言われて八戒が青ざめた。
「入ってきたヤツが『使って』くれるかもしれんぞ」
 酷薄な唇がいっそう冷ややかになった。
「本当の公衆便所にしてやろうか……俺ら以外の男にもそうやって腰を振るのか確かめてやる」
 冷たく美しい紫水晶の瞳が剣呑な光りを帯びて煌めいた。八戒の縋るような目にも動じるふうがない。
「まぁまぁ三ちゃん」
 やりかねないと思った悟浄が助け舟を出した。
「八戒は俺と三ちゃんだけのオモチャじゃん。それでいいんじゃね? 」
「……まあな」
 気勢をそがれた三蔵が我に返ったように小さく呟いた。その表情には確かな嫉妬が浮かんでいたが、三蔵にも自分の身のうちに巣食う暗い熱病にも似た気持ちを上手く表現することはできなかった。
「……それより」
 悟浄はそんな三蔵にかまわず、傍らに置いてあったマジックに手を伸ばして言った。
「これで『一回』? 」
「……ふたり分だから二回だろう」
「そっか、そっか」
しなやかで綺麗に整った八戒の裸体にふたりは手を伸ばし押さえつけた。
「な……」
八戒が抵抗する間もあらばこそ。ふたりは八戒を羽交い絞めにするとその痛ましい傷跡の残る腹部に棒を二本書いた。
「二回っと」
「うれしいか。何回ヤったか記しておいてやる」
 金の髪で縁取られ整った顔が嗜虐的な笑みに歪んだ。非道な仕打ちだった。ふたりがかりで輪姦した回数を八戒の躰にわざわざ書き残す気なのだ。
「これから、せっかくだから八戒の手帳にも書き写しとけば? 」
「そうだな。今夜は9回とかな」
「『少なくって僕、満足できませんでした、もっと犯りまくられたいです』 とか感想つきで手帳に書いとくといいじゃん」
「違いねぇ」
 げらげらと男ふたりは八戒の気も知らずに笑った。仰向けにされたとはいえ、手首と足首の拘束が解けたわけではない。無残にも相変わらず、今度は脚を大きく開いた格好で三蔵と悟浄の目の前に躰をさらしていた。
 ところどころ背には三蔵の噛み跡がつき、狭間からはとろとろと男の白濁した汁を滴らせている。
「もう……」
 喘ぐ唇が音を綴った。ふたりの男は瞬間笑うのを止めた。
「もう……やめて下さい」
 紡がれた悲壮な懇願に、悟浄と三蔵、ふたりの鬼畜は冷ややかな笑みで答えた。



「陵辱(2)」に続く