依存症(番外編)(4)


「余にこの者を譲れ」
「な……」
「愛妾にしたい」
 聞きたくない言葉だった。思ったとおりだった。悟能は百眼魔王のお眼鏡にかなってしまったのだ。こうなるとこの魔王は頑固だった。仮にも王なのだ人の指図など受けるはずもないし聞きわけなどしない。そういう習慣が元々ないのだ。
「ものすごく敏感な身体をしておる。お前が調教したのか」
「父上」
 絶望的な調子で一色が呟いた。
「こう、抜こうとすると」
 魔王が悟能から腰を引いた。一色の目には体液で濡れて光る父の性器や棹が見えるはずだ。愛する恋人を目の前で他の男に犯されている。思わずぎりぎりと歯を食いしばった。
「あっ」
 悟能が可憐にあえいだ。後背位で他に何も見えない分、後ろの感覚に集中してしまうのだ。おまけに一色の目も注がれていると知って、淫らな身体はよけいに敏感になった。
「……絡みついてくる。なんていやらしい身体だ……魔羅が蕩けそうだ」
 それは一色にも分かった。抜こうとするとき、悟能の肉の環はひくついて父王の棹やくびれを締めつけていた。腰もそれにつられて前後に動く。これでは抱いている男はたまったものではあるまい。無上の快楽だ。
「名器だ。もの凄い締めつけだ……こんなのは滅多におらぬ。余に献上せよ」
「父上」
 皇帝に楊貴妃を奪われる王太子の気分だった。いつの世も父と息子の間で佳人は奪い合いになる運命なのだ。父とも息子とも肉体関係を結ぶ傾国の麗人。ウサギみたいにおぞましい。
「美童も悪くない……いやもう女はよいわ。飽きた」
 百眼魔王はしみじみと呟いた。美女に飽きれば食い殺す。そんな悪業をこの男はずっと続けてきたのだ。
「お前にあの地下牢の女は全部やる。だからこの者を譲れ」
 一色が目をむいた。迷惑な話だった。
「一色さん……」
 甘い声で悟能が一色を呼んだ。何かを察したのだろう。もう理性は粉みじんになって、若君と魔王の間で何が会話されているのか、わかるような精神状態ではないはずだ。それでも父王に尻を犯され、後ろから抱きつぶされたまま、苦しい息の下から必死で一色に向かって腕を伸ばしている。
「悟能」
 思わず、一色は悟能の手をつかんだ。指と指を絡めあわせる。そしてそのまま。悟能は一色の指を自分の唇へと引き寄せた。
「ん……」
 いかにも育ちのよさをうかがわせる優美な若君の指。それを悟能は吸った。ぺろ、と一色の爪のはまった指先を舌先でちろちろと舐める。
「一色さん……もっと」
 他の男に犯されているのではなく、一色に抱かれていると思いたいのだろう。悟能の気持ちがよくわかった。もう惨めで身体の快楽だけが悟能を慰めている。父王の妾となれば悟能は心の平安が得られるのだろうか。もう愛してくれるひとがいないと手首を切らないだろうか。いや安心などできない。父は悟能の身体が欲しいだけなのだ。
「愛してます。悟能」
 悟能の腕に逆らわず、一色はするままにまかせた。悟能はいつ覚えたのか、一色の前をくつろげようとしている。
「……淫蕩だな。男がひとりでは足りぬか」
 百眼魔王は喉で笑った。そんな笑い方は一色に良く似ている。一色は父に何か言いかえそうとした。口ごたえしようとした。
「く……」
 できなかった。思わず身体を折ってうずくまりそうになった。
 悟能がその口へ一色のをくわえたのだ。そのままキャンディーみたいにしゃぶってきた。口淫はあまり上手ではないはずだ。一色がそんなに熱心には教えなかったのだ。それなのに裏筋から亀頭に強烈な快感が走りぬけた。一色は顔を快楽でゆがめ、悟能の頭を抱えた。黒髪がその指の間でサラサラと鳴った。
「お前のをくわえたら……とたんにココがうれしそうだ」
 父王が悟能を深くつらぬく。一色を頬張ったまま、悟能は声にならぬ声でうめいた。
「そんなに一色のをくわえただけで……感じるとはな。妬けるのう」
 尻を抱えると浅く深く変則的な動きで悟能を翻弄する。肉棒が粘膜のなかで暴れまわる感触に悟能が眉をひそめた。
「ぐうっ」
「悟能……苦しいですか? 」
 一色が優しく髪をなでる。もう、頬張りきれないくらい凶暴に大きくなってしまっていた。
「許してください。貴方を見ていたら」
 こんなに淫らな悟能を見るのは初めてに近かった。父に尻を差し出し、一色のペニスに自分から舌を絡め……整った鼻先と棹の間で白い糸が引いている。口をすぼめて一色のを吸っている。淫らなしぐさだ。ときおり裏筋へ丹念に舌を這わされ一色は悶絶した。
「ごの……! 」
「あ……」
 無理な姿勢だった。一瞬はずれ、噴出した精液が悟能の顔を濡らす。
「ごの……すいませ」
 一色がなんとか漏れだす自分のそれを拭おうとベッドに用意されている幾つもの布を手にした。悟能は白濁液を漏らすそれに再び顔を寄せると
「……ごのっ」
 またうれしそうに咥えこんだ。達している途中で舌を絡ませられて一色が思わず絶句する。強烈な感覚だった。
「あ……ああっごのっ悟能っ」
「……男の精液を飲むのもスキなのだな。本当にいやらしい子だ」
 ナカで穿っている百眼魔王には、悟能の興奮が如実に伝わってしまったらしい。尻を上げ下げして、父王の肉棒をゆすりあげた。一色のが口中にほとばしる感覚に、思わず後ろの孔もきゅっと締まった。ナカでオスをくわえてしゃぶるような動きをしてしまう。前の口でも後ろの口でも男の性器をしゃぶりなめまわした。
「いやらしい子だ。後ろの口にも精液を飲ませてやる。そら」
「んぅっ」
 一色のを口にくわえ、最後の残滓まで吸い出そうとしていたときに、後ろに弾ける感触が走った。なまめかしい粘膜が白い体液でいっぱいになる。変幻自在な先端で塗りこめられ舐めまわされ、そのまま何度もこすりあげられて、悟能は狂った。
「ぐふぅっくぅっ」
 口に性器をくわえさせられたまま、後ろでも精液を注がれる。口の中でえぐみのある液体がいっぱいになり、後ろの孔も別の男の青臭い体液でいっぱいだった。ナカも外も精液で塗れる。前から後ろから串刺しになったまま悟能は身体を震わせた。
「あっあっあっ」
 そのまま痙攣して悟能も達した。白濁液がシーツにたっぷりと滴る。
「後ろだけでイけましたね悟能。いい子ですね」
 一色はそう呟くと、悟能の髪を優しくなでた。両手で頬をはさむようにして顔をあげさせる。涙と涎でぐちゃぐちゃに乱れているのに……蕩けて美しい。
「すいません。今度は我が貴方にシてあげたい……」
 やさしく養い子に口づけた。
 



 それから、
――――父親と息子はかわるがわる悟能を犯した。

 悟能のなまめかしさに何かのタガが外れてしまったとしか思えない。親も子も少年のその狭間へ誘われるようにして腰を打ちつけ、達しては白い体液を注ぎこむ。親子で輪姦。そうとしか呼べない爛れた行為だ。
 焚かれている麝脳の性的な香り。ムカデである百眼魔王の精液には性交する相手を狂わす媚薬のような成分が混じっている。脳や理性が麻痺するおそろしい毒だ。悟能はすっかりそれに浸され尻をふって狂った。そんな悟能の淫らさにあてられたようにふたりの親子は飽きることなく少年を犯した。
「悟能……悟能」
 悟能をひざへあげて後ろ抱きにし、そのまま腰を下ろさせ貫いた。背面座位だ。一色の突きいれているものが悟能の自重でより深くつながる。
「はぁっ……あっ」
 突きいれている間から、つらつらと含みきれない白濁液が漏れた。清一色と百眼魔王の体液が混じりあっている。父と息子ふたり分の精液を注がれる器か何かにでもなってしまったかのようだ。耐えきれずに可憐な声で啼いた。
「くぅぅっ」
 父王が悟能の両脚の間に顔を伏せ、そのまま生え育った屹立をなめすする。
「ああっ……めぇっ……ぇ」
 甘い泣き声が一色の耳朶を打つ。思わず口元をほころばせた。
「悟能……」
 若君はひざの上に悟能を抱きあげた姿勢のまま、悟能の両脚を左右から腕で大きく広げた。
「ああっあっやぁっ」
 より深く悟能の屹立を口に含める姿勢になり、魔王が少年の性器をまるで笛でも奏でるかのごとく吸った。
「いやぁっやぁつっあああっ」
 がくがくと一色に支えられた脚が震える。ひくっひくっとペニスが跳ねた。父王の舌先が、つっと裏筋に走る。悟能は仰け反って悶絶した。
「ひぃっ……! 」
「父上の……舌はどうですか……悟能」
 仰け反ったところへ一色が背後から抱きかかえてささやく。当然、悟能のはざまへ突きいれたままだ。父の舌が這うたびに、悟能の粘膜が悩ましく収縮して締めつけてくる。一色は目を閉じてその感覚をあじわっている。
「ああ……すごくイイですよ悟能」
 父王が悟能の前を慰めているので、ゆるゆるとしか動くことはできない。それでも悟能の粘膜に包まれている感触は格別だった。優しくやわらかいのにきつい。なんともいえない淫靡な感覚に脳髄まで焼かれそうだった。
「あ……んっ」
 背後から抱きつらぬきながら一色は首筋に優しくキスを繰りかえした。優美な指が胸元へも這い、悟能はゆっくりと穿たれながら乳首をこねまわされる。
「あうっああっああっ」
 ダメ押しに、亀頭を吸われ肉冠を唇で扱かれた。胸も首筋も性器にも男の手や舌が這いまわり、後ろの淫らな孔には太い怒張をくわえさせられている。前から後ろから愛撫され犯され、4つの腕に4つの手、2枚の舌に2つのオスの性器に追い詰められる。
「いやぁっいやぁっ」
 加えられる淫虐が激しくより淫らになってゆく。悟能を犯すこの親子からは段々と手加減というものがなくなってきていた。
 悟能の性器のくびれを父王が唇で扱くのと一色が首筋を噛み、ナカで太いものをイイところで揺らすのが同時だった。
「………………っ! 」
 声にならない悲鳴をあげ、悟能は身体を前に折って痙攣させた。その腰を胸を一色の腕が支える。
「ああ……イキましたか」
 ぐったりと力の抜けた身体。父王に精液を飲まれ、吸われて悟能が悩ましい声をあげ続けている。
「はぁ……あっ」
 そのまま、一色は悟能の身体をうつぶせにした。体位を変える途中で、抜けて外れそうになる。
「あうっ」
「抜くときがイイのか、そんなに孔をひくつかせて……もっと奥が疼いておるのだろう」
 魔王はじっと乱れる悟能の痴態を見つめている。おぞましい視線にさらされて悟能は身をよじったが、隠れる場所などない。
「あうあぅっんっっあっ」
 立て続けになまめかしい声を放ってよがった。小づくりで肉の薄い尻を左右に思わず振った。いやらしい動きだ。
「そんなにすると……外れちゃいますよ。我のが」
 背後から腰を両手でわしづかみにされる。おとなの男の腕で尻を抱えられ引き寄せされた。
「あぐぅっ」
 深く挿入される。奥の奥にペニスがあたる感触に悟能は狂った。
「深いっ……あっあっ深いっそれぇ……ああっ」
 快楽にあえぐ美貌を、父王の太い性器で叩かれる。吐き出された精液で濡れたそれが、ぴたぴたと鼻筋へ頬へあてられる。顔をペニスで舐めまわされた。残滓で悟能の顔が淫らに濡れる。
「んぐぅっ」
 そのまま、鼻をつまむようにして強引に顔をあげさせられた。四つんばいに身体を這わせられ尻は息子に犯され、口は父親のペニスを受けいれさせられている。
「ぐぅっくうっ」
 激しい口淫を求められた。太くて硬くて……あごが外れそうだ。弾力のある肉塊が口中の粘膜を犯す。えづくようにされて、苦しくなった。
「父上、悟能が苦しそうですよ」
 一色は苦笑した。父王は悟能に夢中になりすぎていた。確かに今日の悟能は一色から見ても淫らで美しい。敏感で蕩けるような身体だ。素質だろう。
「淫乱な。いやらしい子だ」
「父上、我の愛し子を辱しめるのは……やめてください」
 一色は尻で円を描くようにしてまわして穿った。抽送はひどく淫らな動きでやむことがない。突きいれながら片腕を悟能の前へまわし、そのままそっと悟能の性器を手にとった。散々吐き出して、先端からいまだに白い体液を漏らし続けている。生暖かい精液の感触が愛おしい。そのまま前後に扱いた。
「んんんっ!! 」
 強烈な反応があった。穿ちながら前を愛撫される。凄まじい性感が悟能の腰奥を焼いた。一瞬、真っ白になって何も考えられなくなるが、父王が倒れそうになる悟能の黒髪をわしづかんだ。
「ぐぅっ」
 そのまま、強引な仕草でフェラチオを求めてきた。悟能の唇でまるで自慰でもするかのように少年の口を犯していた。
「悟能」
 一色は身体を倒した。その間も悟能のはざまを突き、前を扱くのをやめない。そのまま前傾するとぺろり、と悟能の首の後ろを舐めた。
「ふぐっぅっ」
 ペニスを口いっぱいに頬張らされているので、あえぐこともできない。内攻する快楽の炎にひたすらに焼かれる。
「んんっ」
 身体の芯までつらぬかれて思わず眉を寄せた。ぐちゅ、ぐちゅと注ぎ込まれた白濁液をかきまぜる動きで一色が腰をつかった。こねまわしている。
「……クリーム……みたいに……泡だって……」
 一色の声もうわずった。繋がったところが泡をふいている。長時間の性交で、精液がクリーム状になってきた。……いやらしい眺めだ。泡をこぼしながら、一色のを喰い締める淫らな悟能の孔。思いっきり欲望を叩き込んだ。上気した少年の身体が熱い。
「…………! 」
 また悟能はしとどに精液を放ってしまった。何度も……何度もびくびくと身体の律動と同じくして白い淫液を吐きだして快楽にわなないている。
「ごの……! 」
 ぶるっ、と穿っていた一色の尻が震える。
 一拍遅れて、その熱い粘膜へ熱い白濁をほとばらせた。何度も何度も細腰を腕でひきよせ、深く深く奥へ奥へと精液を注ぎこむ。
「んぐぅっ!! 」
 亀頭で身体の奥底を舐めまわされる感触に悟能が尻肉を太ももを痙攣させる。弓なりになって反った背がなまめかしい。背筋を電撃のような快楽が走り抜ける。ぎゅっと、その手でシーツを握り締めた。脳を焼くような激しい快楽に耐え切れない。
「ぐ…………! 」
 舌で父王の亀頭と棹のくびれをなめまわしてしまったとき、射精前の緊張が棹に走り、次の瞬間、弾けるように白い体液が口中にあふれでた。
「ぐぅっ」
 飲みきれない。思わずむせそうになる。大量だった。口の端から白い液体がつらつらと滴り落ちた。
「ああふ……」
 顔にもかけられた。悟能の美貌が精液まみれになった。飲みきれない罰なのかもしれない。父王は淫らなしぐさで、ペニスで悟能の顔中へ白濁液を広げるようにかけた。
「ああ、悟能。目にはいらなかったでしょうね? 上を向いてください。ふいてあげましょう」
 愛おしい手つきで、一色が助けをさしのべる。腕でうつぶせだった身体を上へ向けようとした。
「やぁっ」
 上へ向けられて、あらわになった胸の乳首へ、父王の唇が這った。女を愛撫することに慣れた指や唇が悟能の肉体を這いまわる。
「ああっああっ」
 喘ぐと、飲みきれなかった白濁が涎とまじって白く口はしから滴った。上からも下からも男たちの精液を飲まされている。いっぱいだった。
「いやぁっいやぁっ」
 胸をいたずらするだけですまなくなったらしい。そのまま、父王は自分の身体の上へ悟能を抱えてあげると、そのまま怒張の上へその可憐な尻を下ろさせた。いままで息子をさんざん頬張っていたそこは、たいした抵抗もなくずぶずぶと淫らな音をたてて凶暴な欲望を飲みこんでゆく。
「ああぅんっああっああっ」
「尻が動いておるぞ……」
 前後に悟能の腰は動いた。棹を咥えてはゆるめるような蠢きを粘膜が自然にしてしまう。変則的な対面座位で父王と繋がっている。太い腕で上体を支えられ良いようにつらぬかれた。
「余と息子、どっちの魔羅が好きか正直に言ってみよ」
「あっあっあっ一色……さん」
「父上、いじめるのはよしてください」
 一色は父に抱かれる悟能の背中を舐め上げた。悟能のが腹につくほどそそり立つ。
「ああっああっあーーーっ」
 限界だった。もうそれだけで達してしまう。
「悟能。じゃあこっちは」
 若君は父の腕を外させ、悟能の胸を舐めまわした。舌先で円を描くようにして乳首を舐める。ぷっくりとふくらんだ乳首をちろちろと舐めあげ、ときおり舌の先でそっと突いた。
「んっ……ぎっ……ぃっ」
 悟能が悶絶する。眉を寄せて苦悶の表情を浮かべる。つっ、と一色が長い舌を下へと走らせると、もうダメだった。悲鳴をあげた。
「あ、ああああっああっあーーーっ」
「喰いちぎる気か。そんなによいのか」
 めちゃくちゃに、ナカの百眼魔王をもみしだくようにしてしまう。父王の顔つきが変わった。悟能は達しているのに力強い腕でおさえつけられると、ぐちゃぐちゃにかきまわされた。そのまま激しく下から腰を突き出すようにして穿たれる。細い腰を太い両腕で持ちあげられ抜き差しされた。
「あぅっああっああっああぅっ」
「くっ……」
 悟能の性器は震えて、もう限界だった。泡のようなものを吐きだしている。そんな淫らな身体の奥へ、父王は何度目かも知れぬ精液を叩き込んだ。






依存症(番外編)(5)へ続く