腐男子八戒さん(6)


act.6 catastrophe


「あ……あ、あっあ」
「すっげークるわ。オマエの声」
「気分が出てきたみてぇじゃねぇか」
 口腔内を三蔵のでめちゃくちゃに犯されている。うつろな目で八戒は上をみあげた。三蔵の肌や股が目に入る。現実とも思えない。
「ぐふ……」
 思い切り生臭い声が漏れた。
「うぐ……っ」
 つるつるとした感触のオスの肉冠は弾力があって八戒の舌をはじく。唇にぴく、とうごめくのは怒張に浮き出た血管だ。ひどく生々しい感触だった。ぬめりのある透明な体液が、その先端の鈴の口に似た小さな孔からつらつらと口中に広がる。塩気のある味が口端からこぼれ落ちる。
「んぐっ」
 三蔵が八戒の欲望をくわえてしごくと、そのまま腰を震わせた。もっと後ろの孔は、悟浄の指で犯されている。
「きっつ。指2本がやっとじゃね……おっと」
 悟浄が目を細めた。
「……もうイキそーなの? 八戒さんってば」
 卑猥な言葉をささやかれる。とはいえ三蔵の怒張を頬張らされ返事もできない。
「う、ぐ……ふ、ぅっ」
 三蔵の舌が裏筋のいちばん敏感な場所を舐めまわしたとき、八戒は太ももを震わせた。痙攣している。
「んぐっ……! ぐっ……! 」
 吐精してしまった。
 三蔵の唇と八戒の肉棒の隙間から白い精液がにじんでしたたり落ちる。腕をまわして三蔵の頭をとらえて力なくひきはがそうとあがくが、悟浄と三蔵に叩きつけるようにして手を押さえつけられた。
「早いんでないの」
「たまってんだろ」
 震える屹立に愛おしそうに舌を這わせていた三蔵が短く答えた。とろとろといまだ白濁液を垂れ流すそこへ、つっ、と舌先を走らせる。
「ああっああっああああっ」
 いつの間にか、愛撫に夢中になって腰が浮いていたらしい。三蔵の怒張を口から外して八戒が喘ぐ。
「すっげぇ……イイ声」
 悟浄が快楽で緩んだ後ろの孔を穿つ指を一本増やした。素直な白い肌が震えて限界を訴えている。
「誰がやめていいと言った」
 三蔵が整った眉をつりあげ、強引にもう一度、自分の怒張をくわえさせる。苦しげな息とうめきが八戒の唇から漏れた。
「あーあ。もっと聞きたかったなー八戒サンのアエギ声」
「うるせぇ。ゴタク言ってないで早くしろ」
「すっげぇアエギ声、ココにクるったら……も、挿れてイイ? 」
 官能的な声だった。体中の血が海綿状にはりめぐらされた肉塊全体に満ち、硬直させてゆく魔力のある甘い声だった。
「もー俺のガチガチすぎて、もーこれ以上ガマンとかできねーわ」
「だからって足、もちあげんじゃねーよ。俺のが外れるだろうが」
 悟浄が穿とうと、八戒の脚を抱えようとすると、三蔵が上から口を犯しているのでいささか無理だった。
「しょうがねぇ。えーと、八戒サンうつぶせにしてもイイ? 」
「早くしろ」
 逃れようとする細い腰を捕らえ、そのまま太ももを自らの身体で割った。そしてそのまま尻肉を開いて腰を強引に進める。
「ひぃっ……ひ……ぐっ! う、うぅっ」
 腰をあげさせてそのまま凶悪な自分の怒張で穿った。
「全然、気持ちよさそうな声じゃねぇーな。ヘタクソ河童」
 恐慌状態で、汗のにじむつややかな黒髪を三蔵はわしづかみにした。
「口がお留守になってんぞ。なんだ、そんなに河童のはヨくねぇのか」
「ぐふっ」
 うつぶせになったので、ベッドのシーツへ額からの汗が滴り落ちる。その後頭部を押さえつけるようにして、三蔵は八戒の整った唇を強引に自分の欲望でふたたび割った。
「もっと大きく口を開かねぇと俺のはくわえられねぇぞ」
 無理な行為にまなじりから生理的な涙が伝い落ちる。黒髪を手でつかむようにして、三蔵は八戒の頭を上げ下げさせた。まるで自分の自慰のための道具のように下僕を使っている。
「安心しろ。河童の次は俺が犯してやる。……死ぬほどな」
 宗教画の聖人めいた整った美貌なのに凶悪な微笑みを浮かべ、三蔵は自分に奉仕する八戒をあざけった。
「ぐ、う……うっ」
 悟浄は八戒のせまさに身体を進めきれずにいた。ひどく不慣れな肉体だった。
「きっつ……ちょっとは緩めろよ」
 悟浄の言葉が終わるか終わらまいかというときだった。
「ぐ……! 」
 口を犯している三蔵の手が胸まで這ってきた。尖ってしまって震えている乳首をこねるように触れてくる。
「くっ」
 敏感すぎて、痛みすら感じているらしい。眉を寄せていやがった。次の瞬間、先端だけをそっとつまむような動きに化けた。
「ふぅぅっ」
 口に三蔵の太いものをくわえさせられたまま、八戒は眉を寄せて背筋を震わせた。先ほどと似ているが、まったく違う反応に三蔵が唇をほころばせる。
「……イイみたいじゃねぇか」
「ふうっ」
 悟浄がその向こうで繰り返し穿っている。
「んぐぅっ」
 手を前にまわされ、根元から屹立をつかまれて八戒が背を震わせる。仰け反ろうとすると三蔵に尻を叩かれる。浅いところで怒張を遊ぶように穿たれ擦りまわされ、自分の欲望も悟浄の手でこすりあげられる。一度、達したばかりのそこはひどく敏感だった。
「くぅっ」
 腰を、背を痙攣させている。
「痛いくらい狭かったけど……今なら」
 悟浄が身体を倒して八戒の背を舐めた。びく、と尻が背筋が震える。ひどく淫蕩で敏感な身体だった。
「奥まで……挿入できそ……たまんね」
「ああっああっあっああ……っ」
 ぱちゅ、ぱちゅん。卑猥な音が肉欲で煮凝ったような部屋に響く。穿つ悟浄の腿が、八戒の尻に当たる音だ。深く浅く、悟浄は残酷な律動を繰りかえした。
「ああ、ひぃっあっひぃっ」
 三蔵のが唇から外れる。打ち付けられることに苦しくて外れてしまったのだ。八戒の唾液まみれの卑猥な怒張で顔中こすりまわされる。先端から垂れながされるカウパー液も淫らに混ざり合い、八戒の顔は濡れ光った。
「……イイみたいじゃねぇか。河童のチンポ、そんなにウマイのか」
 三蔵の声がうわずっている。男に犯されてヨがる八戒は淫らできれいだった。
「ああっああっあっ……んんっ」
「すっげ。ナカ、ひくひく……痙攣してる」
「あぅっああっ……あっ」
「イイんだ? そんな、イイ? 」
 悟浄の声もうわずった。ペニスを尻のはざまにくわえこみ、腰をふる八戒の姿はひどく卑猥だった。
「俺のもくわえろ。ちゃんとしゃぶれ……イキそうだ」
 たいして八戒は三蔵のにちゃんと奉仕できていない。むしろ三蔵によって強引にされるがままに口腔を犯されていただけだ……それなのに、三蔵はすっかり八戒の痴態で興奮していた。
「うぐ……」
 太くて硬いモノに喉近くまで深く突っ込まれる。卑猥な姿だ。それを目の当たりにした悟浄がうめく。
「クソ……もうもたねぇ……」
 力強い両腕で八戒の腰をつかんで引き寄せると、そのまま腰を震わせた。射精している。ナカへ精液を注ぎこんでいる。男特有の生理的な反応で一瞬、悟浄は動きを止めた。一拍おいて、再び白い体液を注ぎこむ。
「あ……あ」
 三蔵が抱えこんでいた腕の力をいっそう強くした。
「こっちもだ。こぼすなよ」
 口に注がれる透明なガマン汁が一瞬苦くなったと思う間もなく、三蔵に頭をつかまれ顔を固定されると、舌の上の三蔵の脈うつ肉が震えた。青く苦い体液で口中がいっぱいになる。
「ふぐぅ……ぐっ」
「チッ……」
 飲みきれない精液が、唇から漏れあごから滴り落ちる。上の口も下の口も男の精液でいっぱいにされた。ねばねばする白い粘液をどちらの孔もこぼしている。
「ちゃんと最後まで吸え。……そうだ」
 八戒の髪をわしづかんだまま、三蔵は強引に自分のを押しつけた。もう抵抗する気もないらしい整った顔に男の性器をこすりつけられ、それに応えるように舌を這わした。先端の肉冠に黙って整った唇を被せると、お望みどおり吸う動きを繰りかえした。
「っつ……」
 三蔵が眉間にしわを寄せる。ひどく甘美な感触だった。温かい八戒の舌の感触がたまらない。目を閉じた官能的な表情もひどく男心をそそった。
「……すっげぇ。よかった」
 悟浄がうめくように言った。
「あー、このイッた後に抜くの、たまんねぇな」
 細く整えた眉を寄せて吐息交じりの声で呟く。確かに悟浄の言葉どおり、ひくひくとわななく八戒のそこは達した悟浄のそれにからみつくようにして収縮していた。
「きっつ。狭くてサイコー」
 舌なめずりするしぐさで、今まで犯していた肉体を見下ろした。男ふたりの情欲で喰われるようにして辱められ、肌を汚され、抱かれてしまった親友へ熱い欲情の視線を送る。輪姦された八戒はひどくなまめかしかった。犬にも犯されそうなくらいだ。
「早く代われ。次は俺だ」
 三蔵が舌打ちしながら不機嫌な声で告げる。
「へいへい」
 軽薄な調子で悟浄が応じる。鬼畜だが、どんなに三蔵が八戒を愛しているのか知らないわけではなかった。激情のままに犯してしまったとはいえ、こんなヤリ方は不本意なのだろう。
「どーぞ。さんぞーサマ」
 ちゅぽん。淫猥な音を立てて性器が外れる。八戒が苦しげな表情になった。ぞくぞくとした快感が背を焼いたのだ。
「あ、イイ? 抜くとき……感じる? 」
 悟浄が耳元でいやらしくささやく。
「俺の身体をまたげ」
 三蔵が傲岸不遜な調子で命令する。
「自分で挿入しろ」
 震える身体にムチを打つようにして、八戒が身を起こす。いや身を起こすというよりも悟浄に抱えられた。このふたりは共犯なのだ。八戒という美肉を喰らうために組んだ野獣だ。
「まーったく。八戒ちゃんはじめてなのよん。そりゃ無理でショー。さんぞーサマ? 」
 悟浄がよろめく八戒の身体を支える。
「ホラ、ココ。ココに腰おろして……」
 精液で濡れた黒髪にキスをしながら、悟浄がささやく。
「あ……」
 八戒はわなないた。すんなりしたしなやかな身体をふるわせている。下腹部に走る傷が、もう誰のものともわからない体液で濡れて光っている。
「もう……オマエのアソコ、ぱっくりしちまってるから……三ちゃんのも……入るぜ」
 悟浄の息が荒い。この倒錯した行為にいつの間にか何もかも狂わされていた。いままで悟浄のを頬張っていた後孔は、今度は違う男の欲望をくわえこもうとひくついている。いやらしい眺めだった。……悟浄のが抜けた体積の分……緩んでぱくぱくしている淫らな……孔が卑猥だ。
「ホラ……な。入るだろ」
「ああっああっあっ」
 三蔵のが環をくぐるとき、八戒は思わず咆哮するように叫んだ。淫らな快感が三蔵のに触れた瞬間、火花のように走り抜けて神経を蕩かしたのだ。
「あうっ」
 悟浄の親友はひどくなまめかしく淫らだった。先ほどまで自分のをおいしそうにくわえていたのに、今度は違う男のを挿入されて感じて喘いでいる。いやらしい肉体だ。
「オマエがこんなに……エッチだなんてな」
「だれ……が」
 八戒は憎々しげに口をゆがめた。先ほどからの突然の行為で恐慌状態にあったのに、わずかにいつもの調子が戻ってきたようだった。
 三蔵が軽く、八戒の尻たぼを叩いた。
「すげぇ……俺のに……吸いついてきやがる」
 叩くと、内部に挿入された三蔵のが揺れて粘膜中に伝わって感じてしまう。
「あっ」
「すげぇ、やらしい身体してやがる。スケベが」
「違います……違う」
 苦しげな息の下から八戒がうめく。悟浄がかまわず、その腰を下へとおろした。
「あうっ」
「……いきなり、根元まではいっちゃった? 」
「あ、あああっ」
 三蔵のを挿入したまま身体の上へ座るような体位の卑猥さに、眩暈がしてきそうだった。
「八戒」
「あっああっ」
 悟浄の指で胸の乳首をつままれる。腰をくねらせてあえいだ。
「……すげぇ」
 三蔵が眉をしかめて目を閉じた。わななく内部の蠕動を味わっている。
「あぅっあっぁつっあっ」
 深く挿入したまま、三蔵は腰を回した。
「挿入したまま、掻きまぜてやる」
「いやぁっ……」
 ぐちゅぐちゅ。悟浄が放ったものが奥から垂れ落ちてくる。肛内で亀頭に熱い液体の絡まる感触があった。
「気色の悪ぃ。河童の白い汁でいっぱいじゃねぇか。気持ち悪ぃ」
 三蔵が口をへの字に曲げる。
「しょーがないでしょ。先にヤってイイって言ったじゃん」
「ナカに出してイイとは言ってない」
「ひっでぇ」
 鬼畜な言葉を交わしながら、三蔵と悟浄は八戒を辱め続けた。三蔵は穿ったまま腰をつきあげて八戒を狂わせ、悟浄はその白い背へ舌を走らせて淫らな悲鳴をあげさせた。
「やめ……やめて……ふたり……とも」
 悲痛なお願いの声は、獣になってしまった三蔵と悟浄には届かない。
「やめて欲しけりゃ、俺と悟浄、どっちか選べ」
「そーそ。それともやっぱサルのがイイ? 」
「ったくなんでバカザルなんだ」
「アイツのがデカいと思った? 男はデカさじゃないでショー。八戒サンのエッチ」
「胸クソ悪ぃ。死ぬほど犯してやるぞ。ヤリ殺されてぇらしいからな」
 正気とも思えぬ言葉を交わしながら、親友と最高僧が罵声を浴びせてくる。
「ナカ、かきまわされてる気分はどうだ」
 ひどくイイところに当たったのだろう、八戒が身体を折るようにして呻いた。ぴくん、と勃ち上がってしまった屹立が、身体の前で震えている。
「ああっああっああっあっ」
「ここか」
「やめぇっやめそこやめぇ……っ」
 集中して一点をピンポイントで突かれまくった。
「ああああっああ」
 悟浄が硬く張り詰めた八戒のモノを戯れに指で弾いた。その瞬間、
「あーっあーっああっあーっ」
 大量の白濁液をふたたび吐きだした。勢いよく宙を飛び、三蔵の腹や胸を汚す。白い飛沫は顔にまでかかった。
「あああっあっ」
 達した身体を揺するようにすると、甘い声が上がった。ひどく感じているらしい。
「いやぁっ」
 三蔵が支えているのを、さらに悟浄が背後から両手を回してかかえ、抜くように上へ腰を浮かせた。
「ひぃっ……や……ぁ……ん」
 ひどく淫らな声だった。完全に感じている声だ。
「きゅうきゅうに……締めつけてきやがる」
 三蔵の声がうわずった。ひどく甘美な感触だった。絡みつかれている粘膜が弾力があるくせにきつい。柔らかいくせに締めつけられる官能的なあじわいに、三蔵は奥歯を噛みしめた。油断すると自分まで達してしまいそうだった。
「ゆるし……て」
 八戒はうつろに言葉を繰りかえした。『許して』 想像を超えていた。こんなことになろうとは思ってもいなかった。自分は仲間たちの恋のキューピッド役をしたいだけだった。それなのに、実はこんなに凶暴な欲望をずっと向けられていたのだ。それを身体に叩き込むように思い知らされて、ショックだった。
「何を許すんだ。まだ俺はイッてねぇぞ」
 三蔵が愉しげに喉の奥で笑った。クックックッとひとの悪い笑いが響く。
「……やめて欲しく、ないでしょ八戒サン」
 身体を屈めると、悟浄は八戒のきれいに剃られたえりあしへ唇を走らせた。ぺろ、と舌を伸ばして舐める。
「アソコ、きゅうきゅうに……三ちゃんのを咥えて……悦んでるじゃん」
「やめ……」
 三蔵の低い声が情欲でかすれた。
「イッて震えている孔……すっげぇ気持ちイイ」
 性的な快楽におし流されるようにして、緊張と弛緩をくりかえす肉体に、八戒は振りまわされていた。感じやすい肉体に理性がついていけない。
「痙攣している孔からこうやって抜こうとすると」
 ぐぷぷ、と卑猥な音をだして肉棒が引き抜かれかかる。三蔵がゆっくり八戒を持ち上げていた腕をおろしてまた戻した。
「ああっ」
 ひくひくと痙攣する孔を穿たれて、八戒が仰け反る。
「尻、まわせ。お前がケツふってヨガるのが見たい」
 甘くささやかれる。三蔵は片手でなだめるように犯している尻を優しく撫でた。
「いやっ……」
 喘いで、腰をくねらせて、悶絶している。
「そうだ……やりゃ、できんじゃねーか」
「三ちゃん。こーゆーのは素質ジューブンってゆーのよ」
「ああ、ああっああぅ」
 自分から尻をふり、三蔵ので自分の内部を掻き混ぜるような動きに、精神や神経が焼き切れてきた。もう閉じられなくなってきた唇は、獣のような喘ぎしかつむがない。
「はぁ……ん」
 壮絶な色気だった。腹のひきつれてケロイド状になった傷あとを震わせるようにして、八戒は腹筋をつかって三蔵のをくわえこんでいた。
「イイっ……」
 八戒が思わず初めて発した快楽の言葉に、三蔵が顔をゆがめた。
「っつ……」
 うねるようにして絡みつく内部に誘われるようにして、三蔵も八戒のナカへ自分を放った。

「はぁっ……はぁっ」
 気がつけば、ふたたび八戒も達していた。身体の下の三蔵を精液でべたべたにしてよがり狂った。卑猥だ。
「あっあっ」
 もう肉筒はふたり分の精液で淫らに潤っている。三蔵がかまわず穿つと、内部がぐちゅぐちゅといやらしい音を立てた。腰を回して掻き混ぜるようにしてやる。そうすると八戒がわなないて乱れるのがわかったからだ。
「あ……そこだめ」
 腹側の粘膜を突かれると弱かった。悶絶して喘ぐしかなくなる。思わず八戒から降参するような声があがるが、鬼畜ふたりは許す気がないようだった。
「三ちゃん。次、俺の番な」
「俺はまだ萎えてねぇ」
「ちょっと、そりゃないんでない? 」
 獣ふたりは美肉をより喰らおうとあせっている。そのとき、
「あ……? 」
 八戒は目を剥いた。今までとは違う角度から太いモノを挿入された。
「ああ……くぅっ」
 思わず身体を折って悶絶する。その男根は後ろの方から穿ってきた。八戒の尻をちょっと後ろに向けるようにして。
「てめぇ」
 三蔵が不機嫌な声を上げている。八戒の腰を支え、悟浄から奪おうと必死だ。悟浄が八戒の尻を強引に両手で抱えて、背後から犯したのだ。
「あうっ」
 三蔵とは違う性器の感触に、八戒は狂った。淫靡な感覚だった。男ふたりに同時に穿たれている。
「交互にヤるってどう。三ちゃん」
「しょうがねぇな。待てねぇのか」
「ああっあああっ」
 まるで卑猥なオモチャにでもなったようだった。悟浄が背後から何度かつらぬくと、抜かれて、すかさず三蔵のが挿ってくる。
「いやぁっああっああっ」
 三蔵を両足でまたぎ、その上で尻を振りながら八戒は喘いだ。狂ってしまいそうな快美感だった。背筋が性的な快楽でぞくぞくする。
「俺のと河童のと違うか」
 三蔵が下から腰を突き上げて打ち込んでくるのに、粘膜を悦びに震わせて喘ぐしかなくなる。何度か三蔵に挿入され、名残惜しげに尻をまわすようにして掻き混ぜられると、痙攣する孔から引き抜かれた。三蔵の亀頭から、悟浄のとも三蔵のともわからない体液が糸を引いている。糸の先には淫らな八戒の孔がもの欲しそうにひくついている。
「あうっ」
 今度は背後から悟浄に穿たれた。尻をより突き出すようにあげさせられ、ケダモノのような体位で犯される。騎乗位と後背位を同時に味わわされるような背徳的な行為だ。
「俺と三ちゃんのどっちがイイ? 」
「言え、俺と悟浄のどっちが」
 男ふたりにもみくちゃに抱かれる。ふたり分の精液を口でもあそこでも受け止めさせられ、垂れ流したまま亀頭で掻き混ぜられ、ふたり同時に、交互に穿たれる。
「あぅっあぅぅっ」
 悟浄のは硬くて肉襞を広げてたくましく前立腺を苛み、三蔵のは長くて奥のイイところに届いて八戒をひどく狂わせる。
「ああっああっあっあっ」 
 粘膜でふたりの性器をかわるがわる突っ込まれくわえさせられ、震えながら包みこんだ。悟浄のは優しくて、三蔵のは激しいけど蕩けるようで……男ふたりの身体の間で、文字通りもみくちゃになった。
「はぁっムリ……ムリで……さ……ぞ」
 嫉妬にかられたのか、悟浄が背後から抱きしめてきた。そのまま穿ちながら、前へと手を回す。ふたたび上を向いて震えていた肉を、思い切りしごかれた。
「ああっ……だめ……ごじょ……」
 甘い吐息は媚薬のようだ。男ふたりに喰われながら、八戒は身体を震わせている。ひどい淫虐の犠牲になりながらも、その汚濁の底から快楽を拾い上げてしまう淫蕩な身体をもてあましていた。
「すっげぇオマエの身体……エッチすぎ」
「ああっんっああっん」
 もう啼き声しかあげられなくなった親友の頬を背後から舐めた。頬に幾筋も伝う涙をなだめるようなしぐさだ。
「選べ。俺と悟浄、どっちだ」
「ね。八戒えらんで? 俺と三ちゃんどっちが……気持ちイイ」
 交互に犯しながら三蔵と悟浄がささやく。八戒の孔を穿ちながら、今、挿入されているのは、どっちのか当ててみろとキスをしてくる。
「それともやっぱり悟空がイイっつーの? 」
「河童、サル呼んで来い。サルも混ぜろ」
「やめて……やめてください」
 喘ぎ喘ぎ、もうほとんど意味も聞き取れぬような苦しい息の下から八戒は言った。
「僕は……貴方たちみんな……好き……なのに」
 かすれ声で呟いた言葉は八戒の本心だったが
「ふざけんな」
「てめぇ、八方美人にもほどがある」
「そんなに誰にでもイイ顔したいわけ? 」
「男だったら誰でもいいのかこのインランが」
 罵られ、誹謗を全身に受けた。きつい抜き差しがはじまる。火のついたタバコがあったらこの恥知らずな肌でもみ消してやりたい、そんな光を紫色の瞳に浮かべたが、とりあえず、限界まで奥へ自分を打ち込むようにして犯すことでそのかわりにすることにしたらしい。
「ああっ……さん……ぞ」
 挿入する角度も動きも何もかも直線的になった。
「く……」
 三蔵が腰を震わせる。
「イク……ナカのナカまで汚してやる」
「あ、ああーっあっ」
 浅いところをゆっくりと揺すられ、ひときわ奥へと挿入された瞬間、三蔵が動きを止めた。
「ふ……」
 こんなに美しい男でも動物的な所作はかわらないらしい。生理的な欲求だ。一瞬の緊張の後、三蔵は白濁を八戒の身体の奥底に放った。
「ああああっ」
 亀頭で放った精液を奥の襞へ塗りこめるような動きを繰りかえされて、八戒が啼き狂う。
「ああぅっイイ……イイっ」
 卑猥だった。犯されているのに感じている。確かに淫らだ。自分から腰をふって三蔵の体液を自ら吸うように擦りつけていたが、
「ああっ……も……」
 また自分も前を弾けさせてしまった。
「何度目だ。インランが」
 ずる、といまだに硬度の落ちない怒張を三蔵が抜いたとき、
「三ちゃん。悪ぃ。俺も」
 背後からせっぱつまった声がした。散々、三蔵と八戒の達するところを見せつけられて、限界がきたらしい。三蔵を押しのけるようにして、八戒の身体に手をかけた。
「や……やめて……ごじょ」
 三蔵との行為で弛緩しかかっていた身体をふたたび開かれる。脚の間から三蔵の白濁がとろ、と伝った。肉の環がひくひくと男の精液にまみれて淫猥な生物のようにわなないている。
「いやぁっ……いや」
 嫌がっても無駄だった。三蔵にナカに出された身体を、今度は悟浄にむさぼられる。
「ああっああっ」
 腰を思い切り打ち付けられた。三蔵との間で糸を引いていた体液はいまだに糸を引いてつながっている。それなのに次の男に犯されている。
「いや……いやっ」
 今まで変則的な後背位だった悟浄との行為は、めちゃくちゃに脚を大きく開かされた正常位になった。むさぼるように喰われる。脚の付け根を、尻をかかえられて限界までふくれあがり、硬くなった怒張をねじいれられる。
「あああっああっ」
「すっげぇ。気持ちイイ」
 甘美な感触に頭が煮えたような気分になった。腰が震えて性的な甘さで蕩かされて使い物にならないくらいだ。
「ああっああっ」
 奥の奥に悟浄のが当たる。ここはさっきまで三蔵を受け入れていたばかりのところだ。三蔵の性器の感触もまだ生々しく残ってる、そんな粘膜に次の男を受け入れて抱かれている。
「ああっ……ごじょっ……も……」
 限界だった。もう限界を通り越していた。悟浄の胴体をふとももではさんだまま快楽で震えている。
「ああっああっあーっ」
 めちゃくちゃに穿たれた。上からつぶすようにオスを抜き差しされる。八戒は身を仰け反らせた。
「あ……」
 また、放ってしまった、と思った瞬間、
「く……」
 悟浄が呻いた。熱い体液が身体の奥にほとばしる、淫らな感覚に背が焼かれる。ぷ、ぐぷぷ。いやらしい排出の音が漏れて脳が蕩けそうになった。
「八戒」
 三蔵が屈みこんでその唇に愛おしそうにキスを繰りかえす。どれほど好きなのか伝わってくるような、優しいキスだ。
「さん……ぞ」
 とうとう、八戒は意識を手放した。







腐男子八戒さん(7)へ続く