依存症(10)

 城が燃える。


 空を焦がす炎が向かって東側から立ち上る。天高くそびえる高楼が炎の柱となっていた。火は凶暴に何もかもをなめつくし、貪欲に燃やしてゆく。いやな乾いた音をたてて柱が崩れ、外扉が焼け落ち窓枠が燃えて、次々と炭となって落下する。
 そのとき、天高く横切る影があった。
「悟能! 」
 一色だった。飛竜を駆って空を滑空しながらいつも細めている眼を見開いている。熱風で屋上からは城に近づけもしなかった。
  城はひどく焼け焦げ、食堂も書斎も炭の残骸と化している。召使たちが少しは火を消そうとしたらしく、あたりは水びだしだった。清一色は青ざめた顔色で黙って飛竜から降りた。木の爆ぜる音や燃える音が聞こえてくる。
「悟能、どこです!」
 もう観音開きの巨大な玄関扉も見つからない。焼け崩れてひどいありさまだった。一色は血相を変えて燃え盛る廊下を過ぎ、崩れる火の柱を避けて奥へ奥へと進んだ。いつも一色を出迎える召使たちもこの火事でどうかしたのかひとりも現れない。焦げた匂いとひどい煙であたりはいっぱいだった。
「悟能! 返事をしてください」
 喉も枯れるほど大声で叫ぶと、寝室の入り口に来た。もうドアも燃え落ちて跡形もない。焼きつくされた後の焼け跡だ。
 しかし不思議なことに寝台はまったくの無傷のままそこにあった。天蓋づきの優雅な寝台。天井から吊られた布もそのまま少しもこげてもいない。部屋や廊下、城の何もかもが焼け崩れているのに、この寝台だけが魔法でもかかっているようにそのままだった。
「悟能! 」
 一色はあわてて天蓋の中を覗きこんだ。貴族的な薄い紗で囲まれた覆いの布を除けて中をのぞくと、はたして人影があった。
「悟能っ」
 確かにそれは悟能だった。思わず一色はベッドの柱へ手をやると崩れるようにしてよろけた。安堵の深いため息をつく。若君の愛した黒髪の天才少年は無事だった。おそらく召使たちが死力をつくして運びこんだのだろう。
 少し煙を吸ってしまったのか、横になってもうろうとしている。しかしその艶のある黒髪も怖いくらいに整った美貌にも何のかわりもなくケガもない。無傷だった。心底ほっとしたように一色は手を伸ばした。悟能の黒い絹糸のような髪を優しく撫でた。
「手紙を出しましたよね? 我が今日、帰るって」
 しばらく無言で頭を撫でる。すごく小さい子供に施すような愛撫だ。よしよしと抱きしめ、ぽんぽんと背を優しく軽く叩いた。
「愛してますよ。我の猪悟能」
 一色のいない間、患った不眠のためにやつれた顔が哀れだった。痩せたために顎がとがりただでさえ細い面がより細くなっている。よしよし、と優しく一色はその頭を撫でた。愛おしくてならなかった。
 悟能はその動きで気がついたらしい。その緑の双眸がすっと見開かれる。
「僕を捨てたんでしょう? どうして戻ってきたんですか? 」
 果たして、可憐な小さい唇がつむいだのは一色が思ってもみない言葉だった。
「僕のことを娼婦の息子だと思ってるくせに」
 起きたばかりだというのに、悟能はとんでもないことを言った。
「何を言ってるんですか」
「本当に? 」
 疑わしそうな瞳がまっすぐに一色を見つめる。その目は必死だ。愛を知らない瞳だ。愛を求めて得られなかった瞳だった。
「貴方が王子様だろうと乞食だろうとなんだろうと好きですよ愛してます」
 一色はきっぱりと宣言した。
 火事なのに焼けない不思議な寝台。炎除けの護符でも貼られているかのようだ。そんな寝台の上で一色はきつく悟能を抱きしめた。
「僕が」
 悟能は言いよどんでいたが、思いきったように言った。
「テストや成績が悪くても? 」
「もちろんですよ。貴方がおバカさんだったらもうちょっとかわいいかもって思うことすらありますよ」
 真剣な口調だった。それは一色の本心だった。別に悟能が賢いから惚れたわけではなかった。理由などうまく説明できなかった。魂から惹かれていたのだ。
「貴方のためなら死ねますよ」
 抱きしめながら耳元へささやいた。それでも悟能はしつこくくりかえした。
「――――もし僕がそれほどアタマもよくなくてダメな子だったら」
 愛してなどくれないに違いない。あの母親のように。
 悟能少年はずっとよくわからない繰り言を呟いている。自分がテストがよく出来て価値があるからこそ養い親の関心をひいていると思っているらしい。
 一色はいっそう抱きしめる腕の力を強くした。
「我を疑うんですか」
 はっきりとした強い語調だった。いつもどこかひとを喰ったようなはぐらかすような調子なのとは天と地ほども違う真剣さだった。
「貴方に対してのこの想いが執着なのか愛なのか、よく我自身にもわかりません」
 きつく細い少年の身体を抱きしめた。
「でも」
 一色はそこで言葉を切ると思わずといった様子で口元を緩めた。苦笑するように唇をゆがめる。
「我は自分自身の命より貴方に執着してますよ……」
 そこまでいうと、黒髪に隠れたその白い額にキスをした。
「我の気持ちなど知ってるくせに」
「一色さん」
 その綺麗な緑色の瞳を大きく見開いた。悟能を抱きしめる白い中国服、その肩先が震えている。一色は大事すぎる存在をひょんな行き違いから失うかもしれなかったことにぞっとしていた。
「貴方が無事で良かった……! 」
 しみじみとした口調で言った。失いたくないとでもいうかのように悟能の細い肩を抱きしめる。
「城なんかどうでもいいです。貴方さえ無事なら……悟能」
 それは真剣な声だった。世界のなによりも愛しているとそう信じているもののみがささやける声音だ。愛の奴隷のみが使える言語だ。
「なかなか帰ってこれなかったのはずっと親父殿を説得していたからですよ。人間の子供など犯すか食うかしか考えてませんからね。苦労したんです」
「一色さん」
 悟能は自分を抱きしめる清の背へおずおずと腕を回した。拾われた当時は小さくで胸元へしがみつくしかなかったが、いまやずいぶん背が伸びて腕も一色の背へ回せるほどになっている。悟能の指に一色の背で束ねた長い髪が触れた。艶のある銀糸のような髪だ。
「ごめんなさい。一色さん」
 悟能がしがみついてくる感触に一色は微笑みを深くした。悟能の体温と髪の匂い。それはひどく官能的でそのくせ甘かった。
「悟能」
 悟能の左手首の傷跡が夜着の袖から見え隠れしている。一色は尊い誓いのごとく少年の腕をとると、手首へ――――自傷の跡へくちづけた。
「誓います。貴方のことを命かけて愛している。お願いですから我と一生一緒にいてください」
 どんなことになろうと愛していた。





 何度もくりかえしキスをして、お互いを抱きしめあって……いつの間にか少年は一色の手で寝台の上へ押し倒されていた。
「んんっ」
 ねぶるようになめられて悟能が身体の芯をふるわせる。
「はぁっ……だめ」
 ちろちろ、と一色の舌が下肢で踊る。悟能の可憐な尻のうす赤い孔をなめまわした。ひどく淫らな愛撫だ。
「あっあっ……そこ」
「ダメですか? 気持ちいいんですよね」
 ねっとりとした声でささやく。もう悟能は陶然としたふうで身体も心も酔ってしまって身動きもできない。
「我にどうされたいですか悟能」
「いや……」
 清一色の下で仰け反るしなやかな身体が美しい。悟能は拾われたときよりも、ずっとおとなになっていた。すんなりとした腰つきなんか目の毒だ。細い腰が男を誘ってやまない。
「ああ悟能。抱きたい」
 舌でなめまわすと、きゅぅきゅうに収縮しひくついている。淫ら過ぎる孔だった。確実に一色の男が欲しいのだ。いやらしい孔だ。挿れて欲しいとその痙攣がいっている。甘く甘くバラ色の吐息をつむぎながら犯されるのを待っている。
「ここが」
 一色が指を挿入する。一本、人さし指一本できつきつな狭い感覚。悟能が背筋をすくめてふるわせる。
「イイんでしょう? 」
「あう……っ」
 中でかき混ぜられると惑乱するような感覚に襲われた。思わず熱い喘ぎを漏らしてしまう。
「もっと……奥にいれてもいいですか? 」
「あっくぅっ……」
「ああ、いい。指がとろけそうですよ」
「愛してます……愛してます猪悟能」
 やさしくささやきながら一色は後ろをほぐしてゆく。いままで散々オスに慣れさせ、むさぼっていた身体だった。決定的な一線は越えていないとはいえ、身体の奥底から蜜を垂れながして一色に抱かれてるのを待っている。
「ごの……」
 指に蹂躙されナカでばらばらに動かされて口も閉じられなくなる。口はしから艶かしく唾液をたらして喘ぎぬいた。いやらしい声がとめようもない。闇夜に甘く響いて漏れてしまう。
「うぐぅっ」
 太ももを震わせた。足を抱えこまれて腰を逃げられないようにひきつけられた。帆掛け舟のような体位にされる。そしてそのまま。
「ああっああ……あっあっあああ」
 貫かれた。陶然とした高い声、甘い喘ぎが喉の奥からほとばしった。
 自ら火をかけた城。燃え残った豪奢な部屋で大切な保護者に犯される。父親のような存在だった。パパと呼んでも違和感のない相手だ。その相手は淫らな欲望のままに悟能を蹂躙し犯した。背徳的な関係だった。
「ああうっああっ」
 飲みこまされた孔がひくついた。いっぱいいっぱいだった。ぎちぎちに埋められた場所がぱくぱくと悲鳴をあげている。一色のモノは確かに人間のものとは違い変幻自在だった。悟能のような初心な身体さえ狂わせるに十分な技巧で精神をぐずぐずに蕩かせる。
「ああっああっ熱い」
「悟能。このくらいの太さがイイですか? 」
 指くらい。指の2、3本の大きさ。そのくらいの細さへ、悟能の慣れない可憐な肉筒の大きさにあわせて一色の性器は太さを変えた。
「ああっああっ」
 思わず打ちこまれて口はしから涎が流れ落ちた。よくてよくてたまらなかった。痛いという感覚がじりじりと広げられるためにほとんどなかった。
「ああ……一色さんの……熱い」
 口説くときの熱い言葉に似て悩ましい響きを悟能のセリフは持っていた。腰をくねらせふるわせて一色へすがりつく。
「悟能……もっと太いほうが好きですか」
 一色が甘い口調でささやく。目をやや伏せて悩ましげな視線を送る。悟能の肉筒に締めつけられて一色も腰がしびれたようになっていた。
「どうです。このくらいは」
「ああっ……」
 びく、と身体の下でしなやかな痩躯が仰け反る。白い太ももが淫らにふるえた。ひくひくと痙攣している。一色のモノは少し大きくなった。少しずつ太くなってゆく。
「悟能」
「ああっ……ん」
 変化自在に性器の形状を変えられるだけに、細くすると長くなる。奥の奥に一色の淫らに長い性器があたって悟能はがくがくと痙攣した。
「あっあっあっあっ」
 ひどく感じるイイところに当たってしまったらしい。目の焦点があっていない。揺すられるままに身体を震わせている。
「ああ……深い……奥にあたって……ぇ」
 悩ましい声でよがる。ひどく淫猥な仕草だった。腰をよじり太ももを閉じたいような仕草をするが、身体の奥底に一色をうちこまれていてそれはかなわない。腰をよじると一色の性器をかえって締めつけるような動きをしてしまって、悟能は喘いだ。きれいに肉のついた腹腔。腹の筋肉が上下に動く。薄い汗をまとったそれはなまめかしい艶を放っていた。
「あひぃっ」
 細く長い性器が奥をさいなむ。
「ああ、わかりますよ悟能。ここですね。ここの奥のひだひだが」
「あうっあうっああっああぅっ」
「イイんですね。わかります。我のに……絡みついてくる」
 執拗に打ちこまれて悟能が痙攣する。ひどく淫らな場所を蹂躙されていた。
「ああっああぅ……一色さん」
「イイ。イイですよ悟能。一回貴方の奥を我のでいっぱいにしてあげます」
「いや……っ」
「何がイヤですか。こんなにひくついてますよ。いっぱい欲しいんでしょう」
 一色は淫らにささやいた。上気してしまって理性が飛びそうになっている悟能の耳元へささやいている。
「ああっああーっああっあーーーっ」
 ナカに熱いものが滴る感触が走った。背筋を焼いて腰奥の神経を麻痺させてゆく。ひどく甘い感覚だった。
「悟能……悟能」
 一色はささやきながら腰を使った。引いて抜けそうなぎりぎりまで引き出すと次の瞬間深く埋めこんだ。
「ああああぅっ」
 悟能は背を弓形にきれいにそらす。打ちこまれている場所が熱い。淫らに沸騰する体液で蕩かされている。興奮しすぎて胸の乳首までもがぷっくりとぴんと尖っている。恥ずかしかった。
「おっき……いおっきい」
 甘い舌たらずな口調で何かを訴えている。乱されきって蕩けた緑色の瞳は潤んでなまめかしい。ぶる、と男を飲みこんだままの太ももが震えている。
「あ……っ」
 ナカに白濁液を吐きだされたまま、かき混ぜられる。そのいやらしい感覚に悶絶した。まわすようにされて内壁に一色の性器があたりこすりあげられてその感覚に狂いそうになる。
「きつい……いっ……そさ……ん」
 上下に腰を打ち付けられて悟能が喘ぐ。一色の細かったモノはいつのまにかたくましく太くなっていた。弾力のある肉の感触が犯す肉体を狂わせてゆく。
「ああっ……そこだめ」
 孔いっぱいになったそれが悟能を限界まで追いつめる。
「もっと……大きくしても……いいですか」
 一色がささやく淫らごとに悟能は首を横へふった。
「だめ……だめで……」
 懇願にもかかわらずじりじりと太く大きくなってゆくそれに絶望的な声をあげる。
「ああっあっ太……いっ……」
「ああ、貴方のナカ狭くて……きつくて……素敵です」
 指何本分だろう。抜き差しのはずみに白い体液がつらつらとシーツににじみでるが、太すぎるほどに大きくなった性器で栓をするようにされ、オスで泡立てられるような蠢きに翻弄されている。
「いやらしい孔だ……」
 一色のを飲みこんだまま、ひくつきわななく軟体動物のような動きが卑猥すぎて思わずといったふうに呟く。
「あっあっ……も……ムリ……っ」
「無理じゃないでしょう。もっと太くて硬いのがイイですか? 」
 グン、といっそう大きくなった凶器みたいな性器に貫かれ、悟能はひたすら身体を震わせた。
「どのくらいの太さがイイですか」
 抱かれたまま耳へささやかれる。その間も抜き差しは止められない。抜かれるときの内壁の粘膜をこすり、身体の奥底に埋めこまれた肉棒を引きだされる感触に悟能が獣のようにうめいた。
「ひぃっ」
「このくらいですか。それとも」
 悟能が絶叫した。『それとも』 と言ったときに、一色は太さはそのままで、あろうことか性器の先端を細く伸ばすように変形させた。奥まで穿ってなめまわされるような卑猥な感覚に耐えられない。
「いっ……そ……さ……! 」
 ぐねぐねと粘膜がよじり収縮して痙攣し、悟能は前から白濁液をしとどに放った。前へ触れられず、後ろの孔の感触だけで達してしまった。それほどに強烈な感覚だった。
「ああっああっ……一色……さ」
「イキましたね。悟能……」
 それから、一度達した身体はこらえしょうがなかった。一色が腰をふって穿つのにあわせてみずから腰をくねらせ腰をふってよがった。
「ああっああ……んっ」
 甘い甘い声だった。達して本当に逐情しているときの悩ましい声だ。
「また……イクんですね。悟能」
「あ……も……」
「後ろだけでこんなに……なんてかわいい。感じやすいひとですね」
「あっ……ん。イッちゃう……熱い……太くて……硬い」
「また、イッちゃうんですね。もっと焦らしてみたいのに」
「あ……あ」
 もう視線も虚ろだ。目の焦点があってない。
「悟能……」
 一突き穿つたびに悟能が仰け反って一色の腕の中で痙攣した。太くて硬いものでかきまぜるようにされて、悦楽の声を放った。
「イク……またイク……僕……ああ、僕っ」
 引き抜いてはまた身体をあわせて内部をかきまわす。そんな動きに耐え切れなくなってきたらしい。間断なく細い身体を痙攣させて喘いだ。限界だ。細身ながらきれいについた筋肉が震えて快楽の汗と精液で濡れ光る。
「はぁっあっあっ」
 吐き出した悟能の欲望は萎えたりはしていない。強引に快楽を与えられて泡のようなものが尿道口に浮かんでいる。
「愛してます。愛してますよ悟能」
 唇を重ねあわされて悟能の目じりに涙がひとすじ浮かんだ。艶かしい表情だった。キスしてくる王子様の唇の端からは鋭い妖怪の牙がのぞく。傷つけないように、悟能のしなやかな身体を甘く噛んだ。愛おしくてならないのが伝わってくるような愛撫だ。
「いっ……そ……さ」
 悟能が長い腕をまわして一色へしがみついたとき。腰をふるわせて粘膜の奥へ奥へと注ぎこまれた。
「ああっああーーっあーー」
 思わずそのいやらしい感触に仰け反った。抵抗できなかった。粘膜が肌が身体が一色でいっぱいにされぐちゃぐちゃになる。自分のと一色の白濁液でぐしょぐしょだった。
「悟能っ」
 何度も何度も肉筒へ身体を震わせて注ぎこまれた。注がれるたびに感じるのだろう。眉根を寄せた悩ましい表情で悟能は尻肉を小刻みに震わせた。
「お尻のナカで……感じるんですね。本当にいやらしい身体だ」
「言わない……で」
「褒めてるんですよ。悟能愛してます」
 一色は悟能の手をとると、うやうやしい調子でそっとその甲へくちづけた。騎士がお姫さまに神聖な何かを誓うような仕草だった。
「僕を……もっと犯して……一色さん」
「悟能」
 一度、緩めた愛撫の手を、再び一色は激しいものにしていった。突き入れたままの性器はいまだ抜きもせず穿ったままだった。
「悪い子ですね。煽ったりして。覚悟できてるんでしょうね。今夜は寝かしてあげませんよ」
「一色……さ」
 眩暈がするほど鮮やかなおねだりだった。もう理性が麻痺して脳髄から溶けだし、自分でも何を言っているかわからないに違いない。
「愛してます。愛してますよ悟能」
 ひくつく淫らな身体を引き寄せ、思い切り腰を前後にふって穿った。狭間に飲み込ませた一色の肉欲の徴が、いきり立った肉塊が、悟能の悩ましい媚肉できゅうきゅうに絞られ締めつけられる。
「ごの……」
 長い舌先で悟能の可憐な上唇をなめまわす。
「くふぅっ……」
 そのまま唇を重ねあわせられた。思い切り生臭い声が漏れるが一色は気にしない。舌と舌を絡め合わせられ口腔内を蹂躙される。下肢も指と指も絡め合わせられ、卑猥な孔は突き入れられ穿たれ、粘膜のあらゆるところで繋がりつづけていた。まるで離れたくないかのように。
「ああっいっ……そさ……」
 悟能が長い手足を思わずまわしてしがみついた瞬間、一色もきつく悟能を抱きしめかえした。







 「依存症(11)」に続く