日記


2020年08月03日:今日は83の日か!
 逆カプの日です。
……え?
だっからー逆のカップリングの日ですよおおお。
八戒がーかっこよくって
三蔵がはかなげ(!)でえええ
そういう日なんですよ誰かなんとかして。

 ちなみに自分は八戒がかっこよかったら何でも
読む&買います! 真剣にアホです。

 とはいえ、自分ギャグで昔こんなアホ文章書いてたのを
思い出しました。
お暇でしたらおつきあいくださいね。


83day


2020年08月02日:ある夏の日
  ジープのエンジン音が灼熱の大地に響く。その四輪は砂ぼこりを立て弾丸のように先を急ぐ。左右は切り立った険しい峡谷で飛ぶ鳥の影すら見えなかった。四輪駆動車の規則的な機械音。
 しかし、忠実なその音は心なしかいつもより少し小さくなったようだった。
「あれ」
 運転席の八戒が目を細めた。空高く昇った太陽は強烈な光を無慈悲に投げつけてくる。
えりあしのすっきりとした艶やかな黒髪が風にそよぎ、座席に背の高い影が映る。
「大丈夫ですか。ジープ」
 運転しながらジープの運転音がかすかに違うのに聞き耳を立てる。長めの前髪が風で煽られ、額を覆う緑のバンダナに影を落とした。
 それに呼応するように後部座席から声があがる。
「ん? 」
 悟空の金鈷が額で光った。
「なになにナーニ」
 悟浄が体を前に倒す。
「いえね。なんだかジープが苦しそうな感じがするんですよ」
 八戒が困ったように首を傾げた。緑のバンダナにかかった黒い前髪が揺れる。
「マジで」
「そーなの? 何か違う? 」
 金色の目と赤い目が後ろから運転席をのぞき込み、いっしょにエンジン音を聞いている。
「あはは。いえ。僕は運転してますから。特によく気がつくんだと思います」
 右目にはまったモノクルが夏の日差しを浴びてきらめき、緑色の袖が風を受けてひるがえる。

 そのときだった。

「フン」
 低い不満げな声が漏れた。助手席からだ。
 美しい金髪。美しい顔立ち。
 白い僧衣が夏の狂暴な陽の光を超然として跳ね返す。金色の袈裟がまた、まぶしい。
 しかしそれ以上にまぶしいのは、この男の容貌かもしれない。
「どうしたんです。三蔵」
 八戒は運転席から隣を横目で流し見ると、優しく微笑んだ。
「もちろん。僕は貴方のことだって気がつきますよ」
 緑の柔和な目が細められる。いかにもひとのよさそうな笑顔で黒髪の男はにっこりと言った。
「……!」 
 三蔵の紫色の瞳が大きく見開かれた。まるで珠を刻んでつくったような整った貌だ。
 くすっと笑って八戒がなおも告げる。
「だから」
 まぶしそうにモノクルを長い指先で押さえ、まるで心の底の秘密を告げるかのような口調でささやく。
「やきもち焼いちゃダメです」
「てめぇ」
 助手席の三蔵はうなるが、どうにもならない。心なしか白い頬は少し朱を刷いたように染まっている。
「ははは」
 ジープのハンドルを握ったまま、幸せそうに八戒は笑った。白い肩布が揺れる。
「今日は暑いですよねぇ。確かに貴方にもジープにも休憩が必要ですよ」
「…………」
 紫色の瞳が剣呑な調子で細められるが、間髪を入れずに後部座席から声が上がった。
「そーそ! 」
「休憩、きゅーけい」
「だよなぁ。暑い。あちーって」
「俺、かき氷食べたい」
「バカザル。どこにあんだよ氷とかよ。バーカ」
「うっせーよ悟浄」
「まぁまぁ。氷はなくても冷たい泉とかありますよ、きっと。探しましょうよ」
「フン」
「ねぇ。三蔵」
 八戒は幸福そうにほほ笑んだ。
――――また、西域にも夏が来る。