玄宗皇帝×八戒(1)

 こちらの話は唐の玄宗皇帝×八戒です。

 日頃から八戒>>>楊貴妃とかわけのわからんことを血走った目で主張している書き手による 司馬遷も噴飯ものの、おつむてんてんな話になります。
 しかも八戒は月琴が弾けるとか、八戒は絶世の美人とか、八戒の美しさは国を滅ぼすとか 主張する書き手によってマイ設定もいいとこトリップ気味です。

 それでも読んで下さる勇気ある方はスクロールしてご覧下さい。

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 頃は唐、天下泰平にして隆盛極まりし玄宗皇帝の御世の話である。
 もともと玄奘三蔵の随身として西域へ赴く途中であった八戒を、ときの皇帝が目に留めたところから物語は始まる。
 皇帝が攫うようにして長安へ連れ戻したのである。王者の気まぐれであった。
  
 艶やかな黒髪、翡翠色の瞳。しなやかな痩躯。白皙の美貌。
 そんな八戒を連れ去ってからは自らの後宮にとめおき、食事の際や会議の後などにはその美しい花の貌を愛でるかのように傍においた。

 八戒は美しい月を連想させるような男だった。
 
 美しいものが好きな玄宗皇帝はそのまま八戒を召し使い、何事も無く日々が過ぎたのだった。
 
 月の美しい夜などよく八戒は帝の為に手遊びに琴を奏でたものだった。半月の月に合った曲を奏でよと帝が酔いにまかせて言いつけると、八戒は暫くの思案の後、黙って美しい樂の音を奏で始めるのだった。
「見事だ」
 帝は言い、八戒を褒めた。八戒はトルファンあたりの血を引いたような、コーカソイド系を思わせる整った顔立ちを慎ましげに伏せ、皇帝のお褒めに預かった。

 
 そんな平和な日々のある春の昼下がりのことだった。玄宗皇帝は書斎でまどろんでいた。勇猛さで知られるが、聡明な君主でもある玄宗は、日頃から書に親しむのを好み、日常では静かに過ごすのを喜びとしていたのだ。
 確かに狩りの腕などは並み居る諸侯を唸らせたが、外出するよりも、平和な日はその穏やかな静寂に身をおくのを好んだのである。
 うららかな日差しが降り注ぎ、春の美しい花木が咲き乱れ、盛りを過ぎた花が散りかかっていた。
 
 そんな穏やかな空気を切り裂いて、帝はどこかで悲鳴を聞いたような気がした。しかし、すぐにくぐもって聞こえなくなる。
――――何事だ。
 
 声は思いのほか近くから聞こえたようだった。透かし彫りを施し、窓と庭への入り口を広く取った開放的な書斎から歩み出て声のした方へと帝は近づいた。物音はどうも楽器を所蔵する蔵からのようであった。それは庭を隔てた向かい側にあった。

――――賊か?
 
 わが後宮で大胆なことよと腰につけた大刀を握り締め、蔵へ近づく。蔵の入り口は細く開いている。中を伺って帝は驚いた。
 
 武官の中でも、節度使として名高い安禄山将軍が、八戒を羽交い絞めにしているのである。これはどうしたことと、思っていると二人の会話が耳に飛び込んできた。
「やめ……やめなさい、ばかなことを将軍! 」
 見れば、薄絹を纏った八戒の懐に将軍が手を差し込んでいる。痩躯の細腰が揺れ、淫らなところをまさぐられているのが知れた。
「さっきのように叫んで困るのは八戒どのですぞ。他の者にこのようなところを見られたらどうなさるおつもりですかな。男でありながらこんなふうに男を咥え込んで」
「ああっ……そ、それはあなたが無理矢理……あっ……」
 懐に入れた手を無造作に左右に広げて、八戒の前を寛げてしまった。細い裸体が剥き出しになり、薄紅の乳首が艶めかしく屹立して振るえている。
「綺麗な肌だ。男に抱かれるためにあるみたいに……そんな顔をしていて、初めてなどではないでしょう。玄奘三蔵とかいう坊主の供をなさっておいでだったとのことですが、どうせここも使ってご奉仕なさっておられたのでしょうが。ここに」
「ひっ……! 」
 無造作に無骨な武官の手で後孔に触れられ、八戒が細身を震わせて抗う。その抵抗する手をやすやすと封じ、八戒を脱がした時の腰紐で両腕を括ってしまった。
「やめっ! あぁっ……! 」
 黒い艶のあるさらさらとした髪が打ち振られる。激しきった将軍の力はもの凄く、抵抗することができない。そのうち獣のようにうつぶせられ、剥き出しになった尻に将軍の舌がつっと走った。
「ああっ! 」
 涙を滲ませるが、唇を噛み締めて声を出すのを耐えている。将軍はなおもぴちゃぴちゃという音を立てて八戒の後ろをなめすすってた。
「何が厭です。やはり初めてなどではないようですな」
 後孔に指を突き立て、舐めまわしている将軍には、八戒の淫らな肉体の反応がわかるのだろう。淫蕩な笑いを浮かべて八戒を犯す。
「ほうら、ひくついてきた。もう挿れて欲しいのではないですかな。」
「お願いです。やめて下さい。やめ……」
 哀願も無視して、将軍は獣の交合で八戒に自分の怒張を突き立てた。
「ひっ! あぐぅ……っ! 」
 美しい翡翠色の瞳が見開かれて、涙が飛び散るが、それを意にも介せず、将軍は八戒を苛み続けた。腰を揺すって突きまくる。
「ああっああぅ……っ……くっうっ! 」
「いい締りだ、八戒どの。あなたは樂の音もいいですが、ココもとびきりですね・・。素晴らしい。なんていやらしい躰だ」
 男に床に引きずり倒され、貫かれ、突きまくられ、何度も何度もオスの怒張を受け入れさせられる。もはや八戒は口も閉じられず、その口元からは唾液が伝い落ちる。美しい瞳は潤み、屈辱か、快楽か分からなくなった涙が頬を伝う。
「よせ……ああっ……もうやめ」
「そうはいきませんぞ。ずっとこうしてやろうと思って貴方を見つめ続けてきたのですからな」
 男に犯され、踏みにじられ、ぐちゃぐちゃにされながらも哀願は聞いてもらえない。永劫に感じられる責め苦。そのうち、将軍の腰を打ち付ける動きが速くなった。もう絶頂が近い。
「ああ……ああ……」
 躰の奥に男の精液を大量に出されて、八戒はおぞましさにその痩躯を振るわせた。

 助けようと思わぬでもなかった。
 しかし、帝は躰が動かなかった。
 帝は八戒をまるで、ペルシアの珍しい螺鈿細工の月琴のように思っていた。如何に美しくあろうと、自らの情欲をぶつける相手と思ってはいなかった。
 翡翠色の目と黒髪に青い服が似合うと、上等の青い絹で服を誂えさせた。八戒の細身にそれはよく似合った。
 生真面目で、礼儀正しい八戒。そのくせ哀愁の漂う曲を月琴で奏でるときなど、はっとするほど官能的な表情を浮かべる。
 しかし、帝は八戒をその寝所へ侍らそうなどとは考えたことはなかった。彼にとって八戒は美術品に近しいものだったのである。自分への密かな褒美。ちょっとした西域土産。帝はそのように考え、八戒の端麗な佇まいを愛した。
 彼が奏でる樂の音をひとたび聞けば、心は月夜の夢幻境へ飛ぶようだった。硬質な美貌は情欲を喚起させるには整いすぎて人形のようでもあった。
 しかし、今他の男に陵辱された八戒を見て、湧き上がるのはまぎれも無い情欲であった。
 帝はひどく興奮していた。後宮の美女どもも、ここまで自分を高ぶらせはしまい。
 確かに自分は迂闊であったと皇帝は思った。あの八戒をこのように性的な相手として考えたことがなかったからである。
 ひとたびその身を男が貫けば、その硬質な美貌は跡形もなく溶け、躰を男の思うがままに、蕩かせている。そのあまりの落差に帝は鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
 ギッ。
 思わず蔵の戸に手をかけていたらしい。古い戸が軋んで音を立てた。
「! 誰だ! 」
 安禄山将軍が険しい声で肌蹴た前を合わせながら誰何した。躰から急に男を引き抜かれて、八戒はかすかに呻き、精に汚れたその身を震わせた。
「私だ将軍」
「陛下! 」
 あまりのことに将軍が立ち尽くす。侍従かとでも思っていたのだろう。そして侍従であったなら、その剣にものを言わせて脅すか切り殺すかしただろう。
 しかし、戸の陰から現れたのは玄宗皇帝であった。将軍の男らしい顔に驚愕が走る。
「これは陛下……! 」
「どうしたことだ、これは」
 逃れられぬ事態と将軍は思ったのだろうか。
「陛下! お許し下さいませ! 」
 突然帝の足元に平伏すると頭を打ち付けるように懇願し始めた。
「わたくしにこの八戒どのを下さいませ! 」
「何っ! 」
 突然の将軍の言葉に皇帝が驚く。
「臣を哀れと思い、八戒どのを御下賜下さいませ! 」
「将軍……」
「陛下、ご覧になって、何と卑しき奴と思われましたでしょう。しかし、私はこの八戒どのを陛下の御 命で西域から連れ帰ったときから憎からず思っておりました。日ごと思いは募るばかり。夜毎、八戒どのを掻き抱く夢ばかり見る始末。何としても埒を開けずにはいられぬとばかりに今日は……。陛下、この麗人を賜りましたならば、今後如何なる戦功あろうとも、恩賞も領土もいりませぬ。ただ、ただこの八戒どのを自由にすることをどうかこの愚かな臣にお許しくださいませ! 」
 傍らに脱がされた衣服を震える指で引き寄せて、八戒は雷に打たれたように硬直していた。自分を犯した男が、自分をこの先も自由にしたいと陛下に直訴しているのだ。悪夢のような話である。
 しかも、男に犯されたところを陛下にみられてしまっていた。八戒はこの場で消え失せたいような気分になっていた。
「ならぬ」
 帝は無意識に口走っていた。
「ならぬぞ安禄山将軍。無限の勝景があり、朕の信用厚いのをいいことに、このような無体を我が後宮で働き、しかも朕の随身である八戒を望むとは」
「陛下! どうか! 」
 床に額を打ち付けんばかりに将軍が懇願する。帝の足元に縋りつく勢いだ。
「私はずっと八戒どののことを……! 」
「聞かぬ」
 帝は邪険に縋りつく将軍を払いのけ、冷たく言った。
「追って沙汰をだそう。それまで自宅で蟄居せよ。将軍。ふたたび西域へ行ってもらわねばならぬ」
「陛下! 」
「立てるか? 」
 八戒は、帝の言葉が自分に向けられたものだと知って、言葉もなく肯いた。貌が蒼白で長い睫毛が震えている。
「もし立てぬときは女官でも呼んで……」
「後生です。陛下どうか……人は……」
 八戒は囁くような声で人を呼ばないで欲しいと哀願する。
 ところどころ破かれた服を着込み、逃れるようにふらふらと蔵から八戒は出ようとした。早く汚れた躰を清めたくてしょうがなかった。
 そんな八戒の腕を帝はすれ違いざま掴んだ。
「陛下……? 」
 何かいつもと違う帝の目の色に八戒は不吉な予感がした。
「今宵から我が寝所へ侍ることを許す」
「陛下! 」
 抗おうと、掴まれた腕を思わず跳ね除けようとした。それを許さず玄宗は片手で抵抗する八戒の両手をいっぺんに掴み、抵抗を抑えた。
「朕の命がきけぬと申すか」
「後生です! 陛下、そのような……! 」
 悪い夢なのではないかと八戒は思った。
 今までこのような目つきで、このような用途に自分を使うなど想像もしてなかった玄宗皇帝が、自分をまるで後宮の女のように扱おうとしているのだ。将軍に抱かれるところをみられてしまったせいに違いない。
「やめ……! 陛下! どうかお戯れを! 」
 無理矢理、皇帝の寝所まで引きずっていかれる。将軍と違い、帝は堂々としたものだ。確かにこの天下に彼を妨げることのできるものなど居はしないのだ。
庭を通りすぎ、書斎を抜け、奥の奥にある部屋を抜け、薄絹を幾重にも掛けた寝所に辿り着く。八戒はがっしりとした腕に無理矢理引きずり込まれた。
「っ……! 陛下! 無体な……。なにをなさるんですか! おやめ下さい! 」
「服が破れているな、ええい、もっと良いのを誂えさせよう」
 言うなり、帝は八戒の申し訳程度に着ていた服をびりびりに破いた。もともと男に陵辱された後で、ところどころ肌が見え隠れするほどほつれた無残な姿ではあった。
「絹でも綾錦でも絽でも紗でもよいわ。糸目はつけぬ。上等の布でそちを飾ってやろう」
「陛下……お許し下さい! 僕……わたしは単なる随身ではないですか。このようなお役目は向きません・・しかも汚れています。お許しを。清めとうございます。哀れに思いになってお聞き届け下さい! どうかどうか……」
 八戒の哀願も帝は聞き入れなかった。
 寝所の柔らかい高価な敷物の上で、八戒はなおも逃れようと身をもがいていた。帝はまるで狩りに行ったときに捕らえた美しい鹿でも相手にするように押さえつけた。
 先に男の陵辱で濡れ、精液の伝う秘所を構いもせずに帝は堅い切っ先を突き入れた。
「くうっ……!あぐぅっ・・・!」
 既に散々に男に貫かれた場所は、帝の熱くて太いものも抵抗せずに呑みこんでいった。
「いやぁっ……いやっ」
「将軍がそちに懸想しておったとはな。忘れてしまえ、あんな男に抱かれたことは忘れよ。朕がそのほうを清めてやろう」
「ああっ……ん……っつっ……め……へ……か」
 その夜は八戒の月琴の代わりに、啜り鳴きが聞こえ、それは夜明けまで続いた。







――――八戒殿はどうも、月琴で陛下をお慰めするのをおやめになり、あの可愛らしい紅唇でお慰めなさっておられるらしい。
――――最近は月琴を奏でさせるよりも、啼いたり囀ったりする方が陛下のお好みにかなうようだ。
 口がさない宮廷人達はそのような噂をひそひそと囁きあった。
 玄宗皇帝の八戒に対する寵愛は過ぎたものとなり、夜毎夜毎その細身を抱き、眠らせなかったため、八戒は憔悴するようになった。
 もともと壮健な帝と違い、八戒は蒲柳の質とでもいうべき男だった。目に見えるようにやつれ、しかもそのやつれ方が凄艶とでも表現するしかない婀娜っぽさであり、宮廷の文武百官にもきつい寵愛ぶりと自然と知れるほどであった。
 しかし、一方当の八戒といえば、三蔵の供の立場から二転も三転もした挙句、このような愛妾の一人のような身分になってしまったことを恥じ、悩み、鬱々として日々楽しまずというような有様であった。
 なんといっても相手が玄宗皇帝とはいえ、傷が癒える間もなく犯され続けているのである。精神的におかしくなってもしかたのないところではあった。そのうち八戒は食事もまともに摂らなくなった。食欲がないのだという。
 とはいえ、毎夜のように、下の粘膜から上の口から帝のお情けを注ぎ込まれ、例え何も食べずともあのように男の白濁液に塗れるように過ごしていては死ぬことはないだろうと下男達は下卑た勝手なことを言い合った。
 無理矢理に八戒を自分の寝所へ侍らせてからしばらくして、八戒の食の細るのを、ともかく心配した皇帝はあわてて薬師と医師と料理人を呼び寄せたりしたのだった。

 そんな風に日々は行き過ぎ、寵愛は日増しに重くなり、八戒は後宮から一歩も出られなくなったのである。





「玄宗皇帝×八戒(2)」に続く