蝶々(1)




 こちらの話は爺×八戒です!
 オリジナルキャラが出てきます。苦手な方はご注意下さい。

 書いてる本人はこの「ヤッてるだけエロ」をノリノリで書いてますが(死)
 嫌いな方はご覧にならないことをおすすめします。
 すみません。

 怖いものみたさの方はどうぞ↓






「あっ……ああっんうっ……そこは……駄目」
 甘く濡れた喘ぎで八戒が懇願すると無情で淫靡ないらえがあった。
「ここが駄目ならどこならいいんだ? こっちか? 」
 手慣れた様子で太腿の内側を舐められる。途端に敏感な躰が引き攣り、回りきらぬ舌で男に縋りつく。
「いやぁっ……お願いッ……く……ぁっ……何でもする。何でもいう……こと……あっ……聞くからぁ……あうっ……」
 閉じようとする足をきつく押さえつけられて、下肢を舐められ続け、八戒は意味をなさないような哀願を可憐に繰り返した。
 腰へ容赦ない快感が走り抜け、とても耐え切れない。
 正気を失いつつある八戒は厭々をするように首を振り、内股を舐め続ける客の頭を引き戻そうとするように手で引いた。
「いいから一回イッとけ」
 甘い悲鳴を細くあげて、八戒は男の躰の下で啼き狂い、達した。


 

 女衒の手に高額の紙幣が何枚も渡された。裕福で初老にさしかかろうという年齢の男が、八戒を見初めたのだ。
 紙幣は束になるほどあり、それは最近の八戒の稼ぎ一ヶ月分は優に超える金額で、一夜の情交にはあまりにも高額な金額であった。
 客の年齢を聞いて一瞬のためらいがないとは言えなかった。八戒はそのように年齢が高い男に抱かれたことはないのだ。
「ヒヒ爺が」
 女衒は思わず呟いたが、もはや金額の問題以外にも断れない状況になっていた。街の有力者でもあるその男は、裏から裏へと手を回していた。この話を断れば、この街で商売ができないかもしれないようなことを、仲間うちから告げられたのだ。


「あっ……はぁ……んんっ……」
 そして今八戒は初老の客とベッドの上にいる。達した後を拭われ、脇腹に音を立ててなだめるように口付けられていた。
 腹部の傷のあたりを舐めまわす客の白髪交じりの頭が見えた。
 男は長年、歓楽街で鳴らしただけあって、遊び慣れていた。八戒のような若く美しい男の躰を知り尽くした愛撫で翻弄する。
 八戒が甘やかな声を上げるたび、その声の強弱で性感帯を素早く一度で見抜いた。
 この男が長年好色に過ごしてきた日々が伊達ではないことを、八戒は身をもって思い知らされていた。
 若い男相手ではありえないような、濃やかなねっとりした愛撫に翻弄される。何よりも一つ一つの愛撫が長く粘っこい。
「ここがイイみたいだな。お前さん、内股弱いねぇ」
 内に含むような笑いと共に、ねっとりとした口調で言われる。
「は……じ、自分でも知りま……せんでした。」
 余りにも初心初心しい八戒の返答に、客は頬を緩ませた。
「なんだ、他の奴にされたことないのか。俺もまだまだ捨てたもんじゃないな。」
 八戒の躰を引き寄せながら、淫らに囁いた。
「他にも、いっぱい見つけてやるからな、安心してたくさん啼いていいぞ。」
「ふ……うっ……」
 耳朶を甘噛みされて、躰を震わせる。今までの人生で、この客は数え切れぬほど何人もの男も女も抱いたに違いない。その経験の全ての成果を自分の躰で証明されるような行為に八戒は慄いた。
「本当に敏感でイヤラシイ躰だな。いや、褒めてんだけどよ。感度良好ってのか、凄い反応がいいな。ついつい俺も年甲斐も無く頑張っちまうよ」
 経験豊富な客から、こう言われると、自分がとんでもなく淫乱だと言われているようで、身の置き所がない気分にさせられる。
「さ……、あんたは俺に全部任せとけばいいんだよ。たっぷり可愛がってやる」
 客の体の下に敷きこまれ、八戒は熱を持ち始めた白く、闇夜に溶ける魅惑的な肢体を震わせた。淫らな夜はまだ始まったばかりだった。

「あ……いやっ、お客さんっ……」
 指で解されて、挿入されそうになって八戒は客の体を押し返した。
「なんだ」
 不機嫌そうな返答があった後、客の舌打ちする音が聞こえてきた。
「つ……おい、萎えちまったじゃねぇか」
 八戒の思いもよらぬ抵抗に気をとられ、客の性器は力を失いつつあった。若い男とは微妙に異なる反応に、八戒は驚くと同時に多少ほっとする。
「く……口で、僕、口でしますから」
「口ィ? 」
 客の返答を聞く前に、八戒はやや力を失ったそれに唇をつけた。キスするような可憐な様子で、つつっと滑らしてカリのところまで、飲み込む。
 その淫猥な仕草に、客の男が思わず呻いた。カリを引っ掛けるように、唇で絞る。飲み込むときは緩く、抜くときは絞って口淫を施した。
 女衒の仕込みどおりの舌捌きに、客の賞賛代わりの荒い息が響く。いつしか、客の力を失っていたものは、八戒の口の中で、はっきりと形を取り始め、硬度と体積を増しつつあった。
 一度口から離して、サオを横から咥えるようにして甘噛みして愛撫を加える。
 最後まで追い込もうと、八戒は女衒に仕込まれたとおり、スロートを深くした。ぐじゅぐじゅという音と先走りの塩気のある味が口に広がる。
 目元を潤ませて男に奉仕する姿に客も興奮を隠せない。イカせようと、八戒の動きが速くなった。
 先日、女衒から散々、前回とった客に突っ込まれすぎだと叱られ、淫靡なお仕置きを受け、感じやすい躰を責め立てられた。
 その際に調教されたことは、『まず、客を口で達せさせること』 だった。
 躰で受け止めるよりも、口で一度受けて回数を減らしたほうが、消耗しないし、疲れが少ない。
 口淫をやることは、客も喜ぶが、自分のためでもあるんだと、やり方を教えながら、女衒は咽て涙ぐむ八戒の口に自分の肉塊を押し込め揺さぶったのだ。
 しかし、八戒から丁寧な口での愛撫を受けていた客は、自分の下肢に踊る八戒の艶やかな黒髪を鷲掴み、無理やり自分の下肢から引き剥がした。
 淫らな音を立てて、八戒の口が性器から離れる。目元を朱に染め、上気させて潤ませている八戒の表情はとてつもなく淫らだ。
 突然行為を力づくで止められて、訳が分からないようなそぶりをする八戒に諭すように客が言った。
「年を取るとよ、口だけじゃイケないんだ。な、お前は若いからよ、直ぐイッちまうけど」
 そう言いながら、八戒の股間を慣れた手つきで撫で上げる。一度達していたのに、男の雄を口で咥えて感じていた八戒はやすやすと勃ち上がってしまった。
「……な、だから可愛いお前さんの中に挿れさせてくれよ」
 誑し込むように耳元に囁かれて、びくびくと震えながら頷くしかなかった。

「いい子だ。ほら……な、いい具合だろ」
 後ろ向きにベッドに横たえられ、そのまま背後から貫かれる。緩い抜き差しが繰り返された。
 ゆったりとした、相手の様子を伺いながらの緩急をつけた交合に、八戒が身悶える。
 ゆっくりと八戒の躰を味わうように客は抜き差しする。若いつややかな肌、引き締まった肉体の発散する青い色香を全て掬って味わい尽くそうとしている抱き方だ。
 優しいくせに、どこか真綿で締められるような逃れがたい快楽に、八戒が喘ぐ。
 八戒を横抱きにしている客の手が、前に回され、八戒の性器をやんわりと握り締めた。
「やっ……あ……ん……っ」
 途端に、挿し貫いている後ろがきゅっと締まる。反応の良さに、後ろから抱く客も思わず笑みをこぼした。
「ああ、気持ちいい。お前とずっとこうしていたい。ずっとお前の中に突っ込んでいたい」
 後ろ抱きにされたまま、耳元で卑猥に囁かれて、八戒が躰を震わせる。
 下半身を支配する酔うような快楽が全身を浸しつつあり、力が抜けてしまう。
 がっくりと無防備な首筋を晒して頭を垂れた。とろとろと低温の火で炙られるような交わりに躰の皮膚と言う皮膚が蕩けてしまったようだ。
 客の男からは見えないが、眉根を寄せてじりじりとした快楽に耐える八戒の表情はひどく淫らでなまめかしい。
 やんわりとした抱き方は、若い男がとても真似のできない手練れた技量を感じさせた。ゆっくりと、美味しいものを少しずつ。がつがつとしない余裕のようなものすら伺える。
 美味な山海の珍味は、ゆったりと時間をかけて楽しむべきものだ。初老の男にとって、今夜の八戒はそういう存在だった。
 人生において、本当に楽しい時間というのは実は数少ない。その数少ない楽しい時間をなるべく引き延ばして楽しむのが遊び上手というものだ・・。
 背筋を震わせて八戒が甘い緩やかな責め苦に耐える。
 耐え切れない訳でもない、追い詰められるような無理な快楽を押し付けられるでもない。ただ、燻されるように、とろ火で炙られるように永遠に続くかのような甘い、ひたすら甘い快楽が腰を麻痺させるように続くだけだ。
「あ……お願い……」
「何だ」
「躰が……躰が変に、なっちゃう……っ」
 既に、挿入されてから長い時間が経っていた。若い男と違って、性的な快楽に多少鈍磨している年配の男のセックスは、達するのが比較にならないほど長い。
 このまま、この炙られるような快楽に長時間浸されていては、この快楽を躰が味わうのが常態となりはしまいか。そんな心配が湧き上がってくる。
「変になっちまえばいいだろうが。ずっと可愛がってやる。ほら」
 項垂れて無防備になっていた首筋を、背後から丁寧に舌先で舐め上げる。
 途端に、八戒が激しい嬌声を上げて跳ねた。男を咥えこんだ後ろが、感じ入って引き絞られ、客を呻かせた。
「つ……あんまり締めんな。イッちまうだろうが」
 慌てて、八戒を可愛がっていた愛撫の手を止めた。ひどく淫らで感じやすい淫蕩な躰だった。
「ふ……っぁ。だっ……て」
 こんな、甘い拷問のような低温の快楽を与え続けられていては、全身が過敏になってしまう。
 自分でも目を背けたくなる恥ずかしい自らの腰の蠢きも止められない。
 全身で男を咥え込み、快楽を取り込もうとする自分を抑え切れない。
「俺はお前の躰をもっと楽しみたいんだよ。な、いい子だから、力抜け。な、今度力入れて俺を放り出そうとしたら承知しねぇぞ」
 感じやすい躰には、酷な注文だった。
 確かに、ひどく感じてしまうと、八戒の後孔は、引き絞られすぎ、中に咥え込んだ男を反動で吐き出してしまうことがあるのだ。
 弾力のある、引き締まった筋肉を持つならではの、若い躰特有の働きだが、客にしてみれば、拒まれているような気がするのであろう。
「しようのない奴だ。・・・抜く時、イイのは分かるが、締めるんじゃない。俺が挿って来た時に……締めりゃいいんだ。分かったな……覚えたか? ん? 」
 こくこくと素直に頷く八戒のうなじを舐めながら、口元に淫猥な笑みを滲ませ、男が低く甘く情欲でかすれた声で八戒の耳元に囁く。
「可愛い奴だ。じゃぁ、早速やってみせろ。そら……」
 客の怒張が八戒の淫らな奥を貫くと、粘膜の擦れ合う淫猥なぐじゅ、ぐぷという水音が立つ。
「ああっ……ん……っ……く……はっ」
「ほら……今だ、締めてみろ」
 淫らな恥ずかしい行為を強いられる。
「こ……こう……ですか? 」
 自分で腰を淫らによじり回しながら、客のいうとおり、挿入された圧迫感のあるときに、けなげにも、引き絞りのタイミングを合わせる。
「ああ……気持ちいい。前さんのナカは本当に気持ちいいよ。こんなにズボズボズップリした×××は本当に久しぶりだ」
 褒美だとばかりに、客の硬い性器が八戒の急所を擦り上げ、一瞬息を詰まらせる。
「いやぁぁ……っ。許し……てぇ……っ! 」
 そんな感じ易く、しどけない八戒の反応を楽しみながら、客は低く喉で笑った。敏感なその躰に 腕を回して抱き取って犯す。
「許すも何も、お前さんは何回でもイッていいんだ。そら……」
「あっあっああ……」
 理性など疾うに手放し、八戒は淫らな獣となってのたうち回るが、その淫らな孔からは男の怒張した性器を抜いてもらえそうに無い。
 際限のない性交に、八戒は男を咥え込んだ躰を震わせた。

 長く長く、やわやわとゆっくりとした抜き差しが繰り返される。
 じりじりとした低温の情交に八戒は自分の躰が蕩けてなくなってゆくのを感じている。
 若い男相手のセックスと全然違う。若い男が、ご飯茶碗いっぱいに飯を盛り付け、飢えたように喰らうのに比べると、今自分を抱く客の場合は、懐石で、器から季節から凝って目で楽しみ、同席者と会話を楽しみ、少しずつゆっくりと箸を進めるのに似ている。
 上品な癖に楽しみ方としては実に貪欲だ。八戒の何もかもを味わい尽くそうとしているのだ。
 経験のないゆっくりとしたセックスに八戒は限界を覚え始めた。
「お願い、お願い……っ」
「何だ? 」
 緩慢な動きで、八戒の中を挿しては抜いていた客はやはりゆったりと余裕の滲んだ口調で応えた。
「達かせて……。そしてお客さんもイって下さい」
 しどけなく甘い口調で、じわりとした快楽の汗を浮かせて八戒がねだる。
「駄目だ。」
 素気無く客は八戒の願いを却下した。快楽に耐性のなさそうなこの美しい男娼が、甘い拷問のような行為を早く終わらせたい気持ちはわかるが、客はこの甘美な時間をもっともっと楽しみたかった。
「もうな、俺くらいになると、このくらい……硬くなってお前さんみたいのを満足させてやれるかどうか不安になっちまうんだ。一回イッちまうとな、後また、できっかなって不安になる。だから駄目だ。俺はまだイッてやらねぇよ」
 初老の客は多少自嘲を込めた口調で言った。彼は何しろ八戒よりも30歳以上も年齢が開いているのだ。
 自分も若い頃はこうだったろうかと、軽い笑みを浮かべて、八戒の乱れる様子を愛しげに眺める。
「ああっ……っん……っ」
 抜き差しする間合いが会話しながらわざと外され八戒を予測不可能な快楽へと突き落とす。
「でも、まぁ……」
 後ろ抱きにした八戒の手を取り、そのまま口付けた。その様子はどこか貴人に対する異国の騎士の挨拶を思わせた。
「お前さんはイカせてやるよ」



「蝶々(2)」に続く