アルコール(2)

「すげぇいい」
 金糸の髪をした男が呟く。
「そんなにイイ? 」
 それに応じるように赤い髪の男が言葉を返す。
「すげぇぞ、コイツの穴」
 淫ら事を男たちが、頭上でささやきあっているのが聞こえる。部屋の空気は淫猥に煮凝って不透明になってしまった。
「じゃあ」
 悟浄が言った。
「次は俺の番」
 悟浄のその言葉に応じるように、三蔵は僕から離れた。マルボロに火をつけたのだろう、紫煙が部屋にたなびきだした。三蔵はズボンだけを身につけた姿で、そのまま床に座り込む。ライターか何か軽い物が木の床に置かれる物音が立つ。
「ご……ごじょ、もう……」
 身体がもたない。男ふたりに挟まれるようにして、繰りかえし犯されていた。それなのに、ベッドの上に悟浄は横たわり、僕を自分の上に乗せた。騎乗位だ。
「むり……で」
 腰が崩れてしまって身体を支えられなかった。下にいる悟浄へ身体を倒して、しがみついた。
「大丈夫。こうやって」
 悟浄は、倒れてきた僕を抱きしめたまま、自分の怒張をそっと僕の淫らな孔へ添えた。
「あ……」
 僕は目元を染めた。上体を倒しているので、尻が少し浮いている。そこを、
「大丈夫。ホラ、最初は入り口だけでしばらくヤってやるから」
 ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ。入り口のあたり、肉の環からほんの少し入ったところを悟浄は肉棒で浅くゆるく穿った。僕を抱きしめたまま、自分の腰を下から揺らめかせ、ゆっくり突き上げる動きをする。
「ああっ」
 悟浄のカリ首が肉の環にひっかかり、ずぼずぼと恥ずかしい音を立てる。すれすれのところを悟浄は穿ってきた。下手をすると外れそうなくらい浅い。でも、その浅いところが、
「この浅い入り口のトコって……八戒、好きでしょ」
「くぅッ」
 震える腕で悟浄にきつくしがみついた。背筋が快楽でびりびりと焼かれるようだった。悟浄がぬぷぬぷと出たり入ったりしているところから、ひどく淫らな感覚が生まれ、悲鳴を上げてしまう。
「ああッあああッ」
「八戒の身体やらしすぎ。俺のこの先端だけでイケちゃうんじゃね」
 悟浄の手が、僕の屹立まで、恥知らずに震える性器にまで伸ばされる。
「こうやって」
「あああッ」
「シコられながら、ハメられるってどう? イケそう?」
 ぐちゅぐちゅと悟浄の手で扱かれる。皮の少し寄った裏筋に悟浄の指が当たると、もう狂ったように喘ぎまくりたくなった。同時に後ろの入り口をゆっくりと穿たれる。
「すっげぇ、前べったべた。ガマン汁の量すげぇな八戒」
「いわな……い……で」
 ぐっちゅぐちゅぐっちゅ……。悟浄の空いている片手で、尻の肉を揉むようにされた。入り口で抜き挿しされている感覚が、より鮮明になって僕は身体を震わせた。快楽のあまり狂ってしまいそうだった。
「もっと奥まで欲しいでしョ。言って八戒、奥もシテって」
「……あ」
 僕は首を振った。もう脳が白く焼けて何も考えられない。
「あ、もう。八戒サンったら。俺とシタイって言ってよ」
 僕はもう一度首を横に振った。恥ずかしくて無理だった。
「……そんな可愛くないコにはお仕置きだな」
「…………!」
 悟浄は、僕の腰を両手で支えると、ぬぷ、と生々しい音を立てて僕から怒張を抜いた。
「…………あッ」
 一瞬、悟浄のペニスが抜かれる感覚だけで、達してしまいそうになった。
 そして、悟浄を失った後ろがぱくぱくとはしたなく震えてわななくのがわかった。
「ご、ごじょ」
 いままで、後ろに埋められていた感覚を失って身体全体が震えた。
「なんて、ウソ」
 目の前の、頬に赤い傷のある男はいたずらたっぷりに微笑むと、ふたたび怒張を埋め込んできた。今度は浅くない。やや深いところで揺するようにされる。
「あッ ああッ あッ ……あああッ」
 もう、気持ちよくてしょうがない。一度失ったものを再び味あわされて、感覚が敏感になってしまう。立て続けに声が出てしまった。
「あっ、あああっ、あああッ」
 悟浄が上体を起こしたので、騎乗位というよりは座位に近くなった。そのまま首筋を舐め上げられる。
「ひぃッひッ……あああッああッ」
 舐め上げながら、胸をもてあそばれる。ピンク色をした乳首を指先で撫でまわされる。
「俺とシタイって言って。もっと奥にイれてって言って」
 耳元へささやかれながら、耳たぶをぺろりと舐められる。そこはさっき三蔵も舐めていたところだ。今度は悟浄にカフスごと唾液でべたべたにされる。
「あっあっ」
 下肢を性器で埋められ、耳を愛撫され、指で乳首を摘まれる。
「ひぃッひぃひっ……あっ……だめ」
 同時に施される淫らな行為に、神経が焼ききれそうになる。全ての感覚が腰奥の神経に集まり、背筋を駆け上って脳を白く焼く。びくひくっと悟浄を咥えさせられているところがひくついて淫らにわなないた。
 がくがくと膝が、腰が痙攣する。絶頂が近い。もう何も考えられない。自分の身体を貫く悟浄の熱い怒張がもう全てになってしまっている。
「シタイって言って八戒、俺とシタイって……ホラ、そこにいる三ちゃんにも聞こえるように」
「ああっ」
 三蔵はベッドのすぐ傍の床に座り、僕らを背にするようにしてマルボロを吸っている。紫煙がたなびき、タバコの香りが漂う。三蔵が唇に挟んで吸うと赤いタバコの火が指の間で強くなり薄闇の中で揺らめく。
 ただでさえ、三蔵にこんな声や様子をつぶさに見られ、聞かれてしまっているのに。
「俺とシテんのに考えごと、すんなよ」
 悟浄の声がやや暗さを帯びた。そして
「―――――!」
 悟浄の手が僕の腰骨をつかんで自分の肉棒の上へと深く引き降ろした、合わせるようにして、下から激しく穿たれる。
「あああッあああッああ――――ッ」
 いきなり、いままでないくらい深く奥を犯された。奥がきゅうっと締まるのが自分でも分かる。
「すげぇ、襞が……吸いついてくる」
「あっ……あっ」
 痙攣してしまって、腰ががくがくする。悟浄に突き入れられた瞬間、発光するような快楽の火で、僕はまた達してしまっていた。身体が崩れてしまう僕を腕で支えるようにして抱きながら悟浄がささやく。
「イッたばっかで痙攣してる孔……イイ。すげぇイイ」
「はぁッ」
「すげぇ、八戒やらしい。やらしい身体してるぜ最高」
 敏感になって、全身が性器のように感じやすくなってしまっているのに、悟浄はさらに動きを激しくしていった。
「だめ……だめで」
「うそつけ、イイんだろが」
「ああッ」
 浅く、くちゅくちゅと入り口を遊んでいたかと思うと深く深く犯される。ねっとりと円を描くように尻を回して打ち込まれて、悶絶した。肉筒が悟浄の肉棒を軸にしてすりまわされる。粘膜が悲鳴をあげた。
「ああッまたイクッ」
 もう、正気なんか戻ってこないかもしれない。それほどの強烈な快感だった。浅いところでは悟浄の雁首が僕の前立腺に当たってひっかかる心地がし、深いところでは奥の奥まで埋められて、腰奥の神経まで犯される。胸の乳首が尖って痛いほどだ、それを舌でこねてそっと吸われる。吸われるたびに、快楽で全身が痙攣した。肉の環が狂ったようにひくつくのを止められない。
「はっか……い」
 入り口の浅いところを穿っている回数と、深いところを穿つ回数が逆転しだしている。抽送が激しくなって、動きが直線的になってきた。立て続けに深く抉るように貫かれて、僕は身体を仰け反らせた。
「ああっ」
 首をそらせると、打ち込んだまま、悟浄に首の付け根を軽く噛まれた。
「んんッ」
 涙がにじんで、悟浄の表情がうまく見えない。ひどく恥ずかしい音が悟浄とつながっているところが立てていて、耳をふさぎたくなるくらい恥ずかしい。この音を三蔵は聞いているのだ。
「ああああッ」
「はっかいッ」
 悟浄が白濁液を僕の中に吐き出した。粘膜が白い体液でじわりと焼かれる。
「ああッ」
 何度もこすりつけらえて、僕はそのまま悟浄の腕の中で崩れ落ちた。もう、腰から下がぐずぐずにとろけて無くなってしまうくらい強烈な快楽だった。




「次は俺か」
 いつの間にか、マルボロの煙は消えていた。
「とうとう言ってもらえなかったな、悟浄」
 三蔵が人の悪い笑みを口端に上らせる。
「俺とシタイ……ってな」
 くっくっくっと三蔵の低音の笑いが部屋の薄闇に響く。
「うるせぇよ」
 悟浄はふて腐れたように言葉を吐き捨てた。
「じゃあ、三ちゃんのお手並み拝見な」
「けっ」

 もう、悟浄と三蔵の会話も耳に入ってこない。僕はベッドの上でひくひくと身体を震わせていた。もう、耐え切れない。はぁはぁと息が上がって苦しい。身体がひたすら熱かった。
 そんな僕の膝頭に手がかかる。銃を扱いなれた男の手、三蔵だ。
「やめ……もう無理……お願い……で……さん」
 下肢を両手で割られた。とろりと自分の内部から淫らな液体が零れ落ちるのが自分でも分かった。
「すげぇトロトロだ」
 三蔵の節の立った指が、達したばかりの孔の中に入ってくる。
「あ……」
「河童のと俺のと」
 ぬちゅ、ぬちゅと恥ずかしい音がする。三蔵がかきまわしている音だ。びくんと僕は背筋を震わせた。
「混ざってぐちゃぐちゃだな」
 指が引きぬかれる。つっと太ももに暖かい体液のかかる感触があった。三蔵の指から垂れ落ちた、悟浄と三蔵の混じりあった精液で脚が濡れる。
「んッああッ」
 三蔵が身体の上に覆いかぶさってくる。ベッドに両の腕で縫い付けるようにして押さえつけられた。
「さんッ……」
 首筋を舐め上げられる。ぴちゃ、と三蔵の暖かい舌が肌を這う感覚が生々しい。つっと舌先で触れるようにされるとめまいがするほど感じてしまう。
「首の付け根に噛み跡がついてる。悟浄のか」
「へいへい。そりゃ俺のでしょーよ」
 床に座って見物を決め込んでいたはずの悟浄が言葉を挟んだ。ハイライトをふかしている。タバコを口にしたまま、悟浄がふて腐れたように軽口をたたく。
「消してやる」
 三蔵は肌に刻まれた悟浄の歯の跡の上に、突然、自分の唇を重ねた。そして、
「くぅッ」
 かなり強く噛まれた。びりびりとした刺激が肌に食い込む。食べられてしまいそうだ。
「さんッ……ぞ」
 そのまま、無数のくちづけの雨を肌に落とされた。鎖骨を舌先でなぞるようにされる。
 脚は三蔵の両腕で抱えられたままだ。三蔵の身体で強引に脚を開かされ、もう閉じられない。
肌を吸われ、もてあそばれていると、下肢に三蔵の熱い怒張が当たる感触がした。その存在を主張するかのように強く押しつけられた。入り口に当てられ……軽く抜き挿しされる。
「くぅッ……ああっ」
 もうゆるんだそこは、三蔵のを嬉々として先っぽでしゃぶっている。ひくひくと蠢く淫らな孔。もう三蔵には伝わっているに違いない。腰をゆっくりと揺すられた。入り口に肉棒が当たる、甘くてひどく淫蕩な感覚に、僕は陶然とした。もう正気が戻ってこない。ダメだ。
「いや……」
 肌を舐めていた三蔵の唇は鎖骨から、わきの下へと這っていた。
「やだ……やだッ」
 ふたたび、涙をこぼし始めた前の屹立も節の立った指で握りこまれる。
「ここ、お前の匂いがする」
「やッ」
 わきの下まで舌を這わせられた。やわらい皮膚を舌先で舐められて悶絶する。足の爪先まで痺れたようになった。先ほどからの行為で汗をかいている。それごと舐めすすられて、腰を震わせた。そうするとかえって先で触れている三蔵の肉冠をきゅっと締めてしまう。
 ぐちゃっ、ぐちゅっ……三蔵の指の間で、まだ中に残っていた精液なのか、先走りの液なのか、分からない僕の淫らな汁が性器ごと音を立てている。同時に首筋や鎖骨を舐められ、吸われ、肉の環はそっと三蔵の先端でいじり続けられ……もう、限界だった。
「やめて……だめ……ほんとうにもうッ」
 泣き出したくなった。狂ってしまいそうだった。
「すげぇ、下の口がぱくぱくしてるぞ」
「あ……ッ」
「カンジ過ぎてぎゅうぎゅうにナカ締めまくってんのか、せっかく俺と悟浄が出した精液、漏れてきてんじゃねぇか」
 そうだった。ふたりに注ぎ込まれて肉筒の中は精液でいっぱいになっていた。でも、感じて肉筒がぐちゃぐちゃに絞るような動きをして蠢いてしまう。そうすると、中の白い淫液をぎゅ、ぎゅと外へ吐き出してしまうのだ。
「淫乱。すげぇスケベな身体してんな」
「ああ……」
「もっと欲しいんだろうが」
「くうッ」
「言え。俺が欲しいんだろうが」
 耳元でささやきながら、三蔵が体液でべたべたになった指を僕の胸へと這わせた。三蔵の怒張は僕の入り口に押しつけられて、熱く息づいている。
「ひっ」
 身体が震える。ぬめりを帯びた指が僕の乳首をこねまわす。すでにそこは感じすぎて痛いくらいに尖ってしまっている。肉の環はつるつるした肉冠で撫でるように捏ねられ、ぱくぱくと妖しい軟体動物みたいにくねった。
「ああッああッ」
「淫乱が」
 もう、下肢はべたべたしていてひどかった。今まで2回も三蔵と悟浄に中で出されていたし、自分自身も何回も達してしまっていた。濡れに濡れた身体、棹も袋も白い汁でぐちょぐちょだった。それを三蔵が指ですくうようにする。その手つきにも感じて、僕は喘ぎ狂った。
「――――ッ!」
 唇へ、その白い汁にまみれた指を突っ込まれる。
「味わえ淫乱。こんなにしてて欲しくねぇのか。垂れ流しやがって。うそつきが」
 僕のと、悟浄のと三蔵のが混じりあった……淫液。とろとろしていて粘りがあって……それで唇を汚され、舌にすりこまれた。白い百合のような、栗の花のような青味のある匂いが鼻腔に抜ける。
「言え。俺は悟浄みたいに優しくねぇぞ」
 下の粘膜の入り口を、三蔵ので突かれる。僕は思わず唾を、……三蔵の指に滴っていた淫液ごと飲み込んだ。喉が鳴る。身体の芯が激しく疼いていた。
「さん……」
 身体の上にいる、三蔵に手を伸ばしてしがみついた。人を見透かすような、紫色の鋭い瞳が怖かった。見つめられるとひたすら恥ずかしかった。三蔵の顔を見ないようにして、その金糸のかかった耳元へそっとささやいた。
「さんぞ……抱いて」
 男ふたりにずっと長い間、身体をもてあそばれ続けていた。もう、理性だとか常識だとかはどこにも残っていなかった。はやくこの身体の疼きを熱い三蔵で埋めて欲しかった。
「抱いて欲しいのか」
 僕はうなずいた。もうどうしようもなかった。
「それなら、俺を誘ってみろ」
「さんッ……ッ」
 僕はどうしていいか分からず、腰をよじりまわした。当たってる三蔵のそれを肉の環をより広げるようにして、飲み込もうとあえぐ。
「ああッさんぞッ……もう」
 腰をゆらめかせる。ちゅっと下の口で三蔵の肉冠をやわらかい襞で……吸った。
「あっあっあっ」
 びりびりした快感が走り抜け背筋が震えてしまう。僕は下から、自分の腰を上へあげるようにして……尻肉を自分の手で割り広げて三蔵とつながった。
「あうッ」
 肉の環を三蔵のつるつるした肉冠がくぐり抜け、雁首まで通ると……もう後は、
「あああああッ」
 ずっぷりと三蔵ので身体を埋めた。恥知らずにも自分で腰を振って。……我慢できなかった。
 とうとう、三蔵が僕の粘膜を擦るような動きで押し込んできた。前立腺が悲鳴を上げる。
「淫乱が勝手に咥えやがって。……俺は誘えっていっただろうが」
 三蔵が舌打ちするのが聞こえる。でももう、僕には何もかも無理だった。
「ああっああっ」
「気持ちいいのか」
「あっあっイイっイイっ」
 身体を穿つ三蔵の肉が気持ちいい。眉根を寄せて顔を歪めて……霞みのかかった頭で、三蔵の背にしがみついた。その裸の背にはうっすらと汗が浮いているらしく、回した手がつる、と滑った。
「くうッ」
 三蔵のが僕の弱いところを立て続けに擦り上げた。やめてと言っても許してもらえない。もう、足先までそらして尻を浮かして身体全体を震わせた。背へ、しがみついた指に力が入ってしまう。爪も立ててしまったかもしれない。
「ああッあああッもッああッ」
 肉棒をまわすようにして粘膜を攻め立てられる。三蔵とつながってるあそこが熱くて熱くて気持ちよくて蕩けてしまう。
「イイッイイッ……イク」
 僕は悲鳴のような声を上げた。悟浄がいるのに、すぐそばに悟浄がいるのに。三蔵に犯されて、 もう、気持ちよくてしょうがなかった。
「あっあっああああああッ」
 僕は意識を手放した。下肢に濡れた感触が走り、三蔵の沸騰するような精液の感触で粘膜が潤い濡れに濡れた。
「…………! 」
 意識に白いもやがかかり、激しすぎる行為のせいか神経が焼き切れる心地がした。
 次の瞬間、とたんに、目の前の世界は暗転して消え失せ、僕は身体ごとベッドに崩れ落ちた。


 そうやって、どのくらい気を失っていただろう。

 そんなに長い時間ではなかった気がする。

 誰かの声が聞こえる。
「……どんなふうに誘って欲しかったのよ。おたく」
「るせぇ」
「言葉で言って欲しかった? 無理無理。八戒、もうこんなんだぜ」
 ささやきあうような小声だ。

「じゃ、次、俺の番な……あちゃー。無理かなコレ」
「悟浄、気つけ薬がわりだ。飲ませろ」
「……だめだわ。意識がないからこぼしちまうわ」
「上の口が飲めないなら、下の口はどうだ」

 瞬間。

 身体の後ろに何かあてがわれる感覚が走った。

 
「……う」
 身体に加えられる異質な感覚に、僕は目が覚めた、思わず悲鳴を上げてしまう。
「やめ……やめてくださいッ……こんな……ああっ」
 とたんにベッドに突っ伏した。強烈な、身を焼くような感覚が後ろの粘膜から伝わってくる。何かを身体の中に強引に流し込まれていた。
 硬いモノで身体を貫かれている。
「下の口で飲む酒の味はどうだ」
 三蔵にねっとりと耳元でささやかれた。いやらしい口調だ。酒の瓶を後ろに挿入されているのだとようやく分かった。ひどい行為だ。
 媚薬のようなアルコールが粘膜からどくどくと染み渡ってくる。三蔵と悟浄ふたりに注ぎ込まれた精液と濃いアルコールが混じりあう匂いが部屋に強くただよう。
「いや……ッ」
 僕はあえいだ。死んでしまいそうだ。身体が熱くて頭が回らない。
「俺と悟浄、どっちにヤられたい。選べ」
 金の髪をした男が目を細め、その嗜虐性を隠しもせずにささやいてくる。
「っていうか、どっちのチンポが好き? 」
 恥知らずな質問を赤毛の髪の男が卑猥な口調でする。
「僕は……」
 アルコールで、麻痺した僕は唇をわななきながら開いた。舌は獣じみた淫らな言葉を紡いだ。
「お願い。いっぺんに下さい。三蔵、悟浄。一緒に……僕を犯して」


 脚を開かされ、身体を三蔵や悟浄の下に敷きこまれながら、ふたりへそっと秘密のようにささやいた。
「どっちも……好き」





 了