温泉卓球(1)

説明)3×8、5×8総受けバカ話。複数プレイを笑って読める大人の方へ。





 一行は相も変わらず西を目指していた。そんなある日。

 悟浄「おい今度の町、温泉があるらしいぜ」
 悟空・八戒「マ・ジ・か・よー? 」
 三蔵「………フン」

 というわけで。

 唐突だが一行は温泉旅館に宿泊することになったのだった。

 食事も済ませ温泉からも出て、通りがかった娯楽室には卓球台があった。そんなに広くもない娯楽室だが、深い緑色の卓球台が古風にも人待ち顔してそこにある。
「あれ、レトロですよね。卓球台があるなんて」
 八戒が目ざとく見つけて指差した。
「卓球だぁ? 」
 三蔵が興味も無さそうに呟く。
「どっちかっつーとピンポンてゆーの? 」
 悟空が嬉しそうに、うきうきと顔を輝かせている。まだまだ無邪気さの抜けきらない愛すべき反応だった。遊び道具には元より目がないのだ。
「温泉といったらそりゃ卓球でしょ温泉卓球よ」
 悟浄といえばやる気満々だ。
「くっだらねぇ」
「あれ?  三ちゃん負けるのが怖いんだ? 」
 一度は背を向けた三蔵がそのまま固まった。振り返って悟浄を睨みつける。
 簡単に最高僧は悟浄の挑発に乗った。
「じゃぁ僕。審判しますね」
 八戒が目尻を下げて微笑む。
 悟浄と三蔵は卓球台を挟んで向き合った。お互い備え付けられていたラケットを握り締めて構える。ふたりとも表情は真剣だった。
 いや。
 真剣すぎた。





「ぜーっ、ぜーっ」
 悟浄と三蔵の温泉卓球。そう、たかが温泉卓球。
 しかし、それはいつの間にか、遊びの領域を越えていた。勝負がつかないのだ。
 三蔵と悟浄の卓球は気がつけば単なる娯楽や遊びの域を過ぎて死闘になっていた。悟浄がスマッシュを繰り出せば、三蔵は意地にかけてそれに追いつき、ギリギリのラインを狙って打ち返してくる。ラリーの連続になった。
 相手に対して消え失せろ!! 取るんじゃねぇよ死ね! と念を込めて繰り出すスマッシュ。ふざけんなボケが!! と切り込むカットの連続……。鬼気迫る凄い試合になった。
「あーっもう! 」
 悟浄と三蔵が同時に喚いた。
「キリがねえ! 」
 二人とも汗みずくになってその場に座り込む。
「少し休憩します? 」
 肩で息をする二人に八戒が笑ってフォローを入れた。眼鏡の奥の目が笑みで細くなる。そうやってるといかにも人のいいお兄さんという風情だ。
「二人とも休んでいて下さい。じゃあ、次は僕と悟空でしましょうか」
「おう! 」
 楽しそうに八戒と悟空が玉を打ち出した。三蔵と悟浄のが死闘なら、こっちはまさに懇親ピンポンというやつだ。極めてなごやかだった。笑い声なんか立てちゃっている。
 が、
 問題はここからだった。
 三蔵と悟浄が見ている目の前で、八戒の浴衣の合わせ目が緩んできたのだった。
「えい! 」
 八戒が手首を返して打ち返すと、手を上げたときの反動で、裾が割れ、白い肌がちらちらと見える。
「……」
 三蔵と悟浄は唾を飲んだ。
 見ている二人の男達の胸中は穏やかでない。澱のようにイケナイ気持ちが堪ってゆく。
 確かに悟浄も三蔵も、格好構わず卓球に興じていたのだから、二人とも一汗かいた頃には、胸元も裾もひどいことになっている。
 が、しかし。問題は八戒である。
 あんな歩くフェロモン発散色香噴霧器みたいな八戒は大問題である。しかも本人自覚なしであった。
 彼の肌が露わになっていくのは普通の野郎がそうなるのとわけが違った。
「……我慢できねぇ」
 三蔵が呻くように言った。悟浄も全く同意見だった。固唾を呑んで八戒を見つめる。
 そんな男達の視線の先で八戒は無邪気に悟空と卓球に興じている。しどけない腰の線と胸元が露わになるのを目にして、悟浄が喉を鳴らした。目に毒この上なかった。
 我慢しようと想像の範囲内で八戒の躰から浴衣を剥ぎ取ってみたりしたが、逆効果だった。返って火に油を注ぐようなものだった。

「あ、すいません。悟空。浴衣ちょっと直していいですか? 」
 ようやく自分の艶姿に気がついたらしい八戒が、悟空にのほほんと言ったが、もう時、既に遅し。
「もう、なおさなくったっていい」
 背後から三蔵が呟いた。
「! 」
 八戒は鬼畜坊主とエロ河童に羽交い絞めにされて卓球台に押さえつけられた。





「一体なに考えてるんですか! 」
 娯楽室に八戒の悲鳴が響く。
 三蔵と悟浄は卓球台の上に八戒を縛り付けた。ちょうどネットを張っていたところに浴衣の紐を通して、八戒の両手首を縛り上げる。
 そのまま、脚を開かせた。すっかり肌蹴た浴衣が艶めかしく男達を煽る。
「まーまー。いーからいーから。固いこと言いなさんなって」
「ぜんぜんよくありません! 悟浄の恥知らず!! 」
 八戒はなんとか逃れようと悪態をつきながら躰を捻った。
「往生際悪いなお前」
 三蔵が八戒の上半身を押さえつける。男二人がかりで押さえ込まれては八戒にも成す術がなかった。
「悟空ッ! 悟空お願いです! このバカな人たちをなんとかして下さい。助けて下さい! 」
 八戒は必死になって悟空に助けを求めた。ただならぬ事態にあっけにとられていた悟空だが八戒の必死の呼びかけで我に返った。
「おい! やめろよ二人とも! 嫌がってんじゃん八戒」
 悟空が止めようと口を挟んだ。
「ったくおサルちゃんはコレだから。こういうのはイヤよイヤよも好きよのうちってんだよ」
「そうだサル。こいつが嫌がるなんざ最初の内だけだ。そこで見てろ」
 勝手な二人の言いように八戒のコメカミに盛大に血管が浮き出てくる。
(この人達……人のことなんだと思ってるんですかッ!! もう絶対ただですませませんよ)
八戒は深く深く心に誓った。
 悟浄と三蔵をなんとか止めようとしていた悟空だったが、慌てていて足元には不注意だった。
「でもさ……わわっと!! 」
 突然、悟空がその場で体勢を崩した。

 ガン!!!

 転がっていた卓球の球を踏んで悟空は勢いよく後ろ向きに転んだ。後頭部をしたたか打ってその場にのびる。
「悟空! 悟空ッ!! 」
 八戒の絶叫が遊戯室に響き渡った。
「あっちゃーコレ脳震盪かも。どーする三ちゃん」
「そのうち起きるだろ。放っとけ。そんなにヤワじゃねぇだろ」
 鬼畜坊主とエロ河童は無情なことを言ってのけると、目を回してる悟空を傍らに担ぎ上げて、娯楽室に備え付けのソファにそっと横たえた。
 そして、それがまるで合図のように、そのままゆっくり舌なめずりしそうな表情で八戒の顔をふたりして覗き込んだ。
「さて……と」
「これで邪魔はなくなった……ってワケね」
 生臭坊主の紫暗の瞳とエロ河童の紅蓮の目が八戒を見つめている。その双眸には濃い情欲の色が浮かんでいた。
 八戒は、いまやまさに孤立無援であった。
「や、やめて下さいよ。本当に! 」
 八戒が、悟浄と三蔵に押さえつけられながらもがく。
 しかし、拘束された手首の紐はとれない。かえって食い込んでいった。もがけばもがくほど、浴衣の合わせ目から、白い裸身が見え隠れして、男達を煽ってしまうのだか、本人は気がついていない。
それでも、八戒なりに必死だった。こんなほとんど公共の場所で、卓球台の上なんかで、男ふたりに犯されるなんて冗談ではない。
「本当に嫌なわけ? 」
「当たり前でしょう! 」
 悟浄の言葉に八戒は即答した。遊んでくれなくて悲しいといったどこか無邪気さすら感じさせる悟浄の語調だったが、その「遊び」の内容は恐ろしく凶悪だ。何しろ八戒を三蔵とふたりで犯し、欲望の捌け口にしようとしている。
「嫌ですよ! こんなところで! なんだってあなた達と……! 」
「そんなに嫌なら」
 三蔵が口を開いた。
「てめぇがてめぇでヤルのを見せろ」
 最高僧はとんでもないことを言った。こんな卓球台の上で、自慰行為をしろというのだ。
「な……! 」
「ならいいだろうが」
 勝手な言いように、八戒の顔が紅潮する。
「何言ってるんですか、あなたは。嫌ですよそんな……」
「なら、河童と一緒に……抱く」
 悟浄も胡乱げな目つきでこちらを見ている。目が据わっている。完全に本気だ。
「二本挿しで突っ込まれたいか、四の五の言わずに大人しくやれ」
 同時に二本いっぺんに後ろに挿入してやると言われて、さすがの八戒も青ざめた。
「…………見るだけなんでしょうね? 」
 とうとう八戒は折れた。





「あっ……」
 恥ずかしいことこの上なかった。よりによって卓球台の上なんかで脚を開いて、自分で自分を慰めているなんて。
「見えねぇぞ。こっち向け」
 鬼畜坊主から容赦のない声がかかる。
「う……」
 気が進まないながらも、少し躰をずらして膝を立てる。
「いいねぇ。ホント。湯上りは八戒ちゃんのストリップショーに限るよねぇ」
 卑猥な声をかけた悟浄を睨む。片手で、自分の肌に手を滑らす。痛いほどに縛りつけられていた手首は解放されたといっても片方だけだった。左手の方は、未だに卓球台のネット台のところに縛りつけられていた。不自由な姿勢で、八戒は躰を捻った。
 幾らなんでもこんな場所で、こんな格好で悟浄や三蔵に穴が開くほど注視されていては、集中もなにもできなかった。
「さっさとヤレ。……じゃねぇと手伝うぞ」
 剣呑な口調で低く呟く鬼畜坊主の言葉が恐ろしい。「手伝われて」たまるかと、八戒がその右手を自分の屹立に添えた。
「あ……」
 そのまま、上下に扱く。硬く張りつめてゆく肉棒を右手の親指と人差し指、中指で挟むとゆっくりと動かした。ぞくりとするような感覚が腰の奥へと集まってくる。
「はぁ……」
 浴衣の裾をはだけさせて、見え隠れする屹立を慰める八戒の姿は本当に淫靡だった。
「くぅ……ッ」
 ぶるっと八戒が躰を震わせる。段々と躰の奥に快楽の火種がつきつつあった。
「ん……」
 弾力のある肉の冠を下から上へと扱く。カリのくびれに親指を添えてなぞりあげ、八戒は仰け反った。
「あ、あっ」
 ぶるっと躰を震わせる。肉冠の先端から先走りの淫液が滲み出る。鮮やかな肉色の小さな孔が涙のように透明な体液をこぼしている。
「くぅ……」
 唇を噛み締めながら、躰をふるわせている八戒は淫らで綺麗だ。その太腿に鬼畜坊主の手がかかった。
「もっと開け。後ろが見えねぇ」
「や……! 」
 後ろの孔まで見せろと言われて、八戒が首を横に振る。
「河童、そっち押さえてろ」
「OK。こーすっといい眺めv」
 男ふたりがかりで左右を押さえ込まれ大きく股を開かされた。
「…………! 」
 屈辱に八戒が眉を顰めて横を向いた。卓球台なんてふざけたところで受ける行為だったが、冗談ではなく脳が麻痺してくるほどいやらしい。
「ガマン汁がこっちにまで伝っちゃって……」
くっくっと悟浄が笑う。
「すっげぇ、やらしい」
 その言葉に八戒が居たたまれなくて目元を染める。
「やめて下さい。悟浄」
 覗き込む悟浄の息が後孔にかかって八戒は声を上擦らせながら縋った。
「こっちもひくひくしてきてるじゃん。なんだか紅くなってきちゃって……おいしそ」
 言葉が終わるか終わらないか。悟浄の舌が後ろへ差し込まれた。
「っ!……っあ! あ! 」
 瞬間。
 腰に痺れるような快楽が電撃のように伝わった。悟浄が触れた舌先から快美が走り躰を蕩かせる。かろうじて、自由になる右手を振り回すようにして悟浄の髪をつかんだ。
「いやです! 悟浄ッ後生で……」
 紅い髪を一束つかんで切なげにひっぱる。しかし、斟酌もなしに悟浄の舌は後ろを這いまわった。
「約束が……違います。見るだけって……」
 ぶる、と尻が震えてしまう。崩れそうな下肢を支えて、悟浄は馴れた手つきで愛撫を施し始めた。
「や……! 」
 抗う右腕を、三蔵がつかんだ。
「おとなしくしろ」
「さんぞ……! 」
 卓球台に無理やり縛りつけられている八戒に、三蔵が口づける。
「見てるだけ……って……いったのに」
 責めるような八戒の言葉には応えず、三蔵は八戒の上半身に唇を這わせはじめた。
「ああ……」
 しなやかな鎖骨のくぼみから、滑らかな胸へくちづける。時折、啄ばむようにくちづけ、鬱血の跡を散らしてゆくのも忘れない。三蔵の舌が胸の突起を這い回ったとき、後ろの孔にも悟浄の舌が強く差し入れられるのを感じた。
「ひっ……ぅ! 」
 八戒が仰け反る。もう喘ぎ声を殺すこともできない。ふたり分の舌技に酔わされる。二枚の舌が八戒の躰を這いまわった。
「あ、ああ……」
 ぴちゃぴちゃと淫靡な音が立つ。尻の双丘を広げるようにして嬲っていた悟浄が戯れのように、蟻の戸渡りと呼ばれる袋と後ろを繋ぐ狭間を舐った。
「ぐ……!」
 的確すぎる愛撫に八戒が痙攣する。三蔵の唇はどんどんと下の方へと落ちていって、八戒の腹の傷跡を舐めまわしていた。
 耐えられなくなった八戒が、痛いほどに張り詰めてしまっている自分の屹立をつかもうとあがいた。オスの本能的な行動だった。押さえつけられた腕をふりほどこうと暴れる。
「だめだ」
 三蔵が腕を押さえつける。悟浄が脚を抱え込んだ。男ふたりがかりで抵抗を封じられた。
「ああッ」
 びくびくと八戒の屹立が跳ねる。限界が近い。その表面には血管が走り、張り詰めきっている。
 そんな屹立の先端に、戯れな鬼畜坊主のキスが落ちた。
「ああ、ああッ……さんぞッ」
 ぺろりと舌先で愛撫されて、八戒が腰をくねらせる。
「おっと。あんまり動かないでくれるー? 後ろが舐めにくいんだよね」
 悟浄が力強い腕で、八戒の腰を押さえつけた。ぞくりとするような悟浄の舌の感覚が粘膜に伝わる。八戒は喘ぎ狂った。
「ああっ……あ! ああっ……ごじょッ! 」


「温泉卓球(2)」に続く