美しい名前
クリスマスなんて、自分には関係ないと思っていた。
どうせ他人事だと…本物のサンタに、出逢って恋に落ちるまでは。
コンビニのバイト、いつもの月曜日。あの人はやってくるだろうか?
名前も知らない、彼のあだ名は「マンデイさん」。
段々エスカレートしていく、チャット相手S氏との会話。
パソコン越しだから安全だ…なんて、思いがけない現実がおれを打ち破る。
彼氏と別れて寝苦しい夜、かかってきた真夜中の電話。
相手は何故、自分を知っている?確かにその声に、憶えはなくて…。
僕は確かに君を愛している。君は永遠に僕のもの。
僕たちの絆は永遠で、それは誰かに邪魔されるべきものではない。
その二人の幸せ、というものを考えてみたところで、私にはよくわからない。
ただ、きっと私のように、何もかも単純にはいかないのだろう。
憂鬱な犬の散歩の時間を、あの人がすっかり変えてしまった。
二人と一匹の、俺にとってはなんでもなくはない大切な朝の時間について。