旅の途中

 説明) マルチエンディング方式8受小説。

 5×8基本(選択によって3×8)
 お好きな選択肢によってお進み下さい。









 西へ向かう旅の途中のこと。

「すみません。4人相部屋しか空いてないそうです」
 宿の帳場で八戒が皆にすまなそうに言った。
「まぁ、野宿よりはマシだろ。しょうがねぇ」
 三蔵が仏頂面で答えるが、八戒はそれよりも紅い髪の男の機嫌が気になる。
「悟浄もいいですよね。今日はゆっくり蒲団で休めそうじゃないですか」
「……ああ、しょうがねぇ。いいぜ俺もそれで」
 悟浄の方は三蔵の比ではない。もの凄く機嫌が悪い。
 飯だ飯だと騒ぎまくる悟空の相手をしつつ、八戒は困ったことになったと内心ため息を吐いた。


 悟浄の我慢が限界にきていることは良く分かっていた。最近野宿が続き過ぎたのだ。
 昨日、ジープを止めてしかたなしに森の中で野宿した夜、とうとう我慢できなくなった悟浄は八戒を誘った。後ろから抱きしめ、首筋にくちづけて悟浄は強引に八戒をねだったのだった。
 それでも。
「月が明るすぎますよ。悟浄。どうせ明日には街に着きますし、そのときでもいいでしょう?」
 無情にも八戒は例の笑顔で断ったのだ。

 絶対だな明日は絶対だな絶対の絶対だかんな。

 まるで子供みたいにムキになって八戒に約束させると、なんとか悟浄は納得し引き下がったのだった。

 それが。

 男4人相部屋で雑魚寝。

 悟浄の機嫌が悪くなるのも道理だった。





「えーとお蒲団はこれですね。悟空、敷くの手伝って下さい」
「おう! 」
 悟浄もこのくらい素直ならいいのになどと思いながら八戒は悟空と蒲団を敷いていった。
「エロ河童もいい加減手伝えよな! 」
 悟空がすね気味の悟浄に枕をぶつけた。悟空に悟浄の悶々とした気持ちを理解しろといっても無理というものだ。
「役にたたねーな! 河童! 今に八戒に本当に嫌われるぞ! 」
「うるせー! このお子様サルが! お前なんかに俺の大人の事情なんざ分かってたまっか! 」
 三蔵が二人の頭を思い切りハリセンで叩いた。
「うるせぇ。もう寝ろ馬鹿ども。それとも俺が永遠に眠らせてやろうか」
 眠くて機嫌の悪い三蔵が懐から銃を取り出した。こんなもの乱射されたら宿から追い出されかねない。
「寝ましょう! 三蔵の言うとおりですよ! もう寝ましょう! ああ! それがいい! そうしましょう! 」
 八戒はその場を収めようと必死でとりなした。

 消灯。

「じゃぁ電気消すぞ」
「ハイハイおやすみっと」
「お休みなさい」
「ふぁ・・・おやふみ・・・」

 八戒は結構あっさりと悟浄が引き下がったなと思いながらも、蒲団に潜り込み躰を伸ばした。久しぶりの柔らかい寝具の感触が気持ちいい。
(悟浄には申し訳ないですけれど、こんなふかふかのお蒲団でゆっくり休めるなんてやっぱり悪くないですよね)
 八戒がこっそりと微笑み、もう一度躰を伸ばしそうとしたその時。

 脚を
 
 つかまれた。

「……悟浄」
 こんなことをするのは誰かなんて決まっている。
 次の瞬間、八戒は躰ごと攫われるように男の躰の下へと敷きこまれた。
「あなたって人は……! 」
 悟浄は可愛くないことを言われる前に、恋人の唇を自分のそれでふさいだ。




 くちゅ。くちゅくちゅ。
 散々口腔を貪られ、今まで気がつかないようにしていた情欲に火をつけられる。
「ん……」
 感じやすい躰を弄られて、八戒は声を殺そうと息を詰めた。
「しようがない人ですね・・・ちょっとだけですよ」
 八戒がため息まじりの小声で諦めたように囁いた。
「ちょっとだけ? 俺いっぱいしたいんだけど」
「…………」
 この男は他の二人が起きても構わないのだろうか。
 三蔵あたりは確かに薄々自分達のことに気がついているようでもある。とはいえ、自分がこんなふうに悟浄に抱かれているところを他人に見られたくない。
「分かった」
 悟浄が八戒の耳元で囁いた。
「早く済ませる。早く……だから……。ね、八戒。お願い俺の顔跨いで」
「……! いや、です」
 何が 『だから』 なのだろう。八戒は顔を赤らめ抵抗した。シックスナインは八戒にとって抵抗のある体位なのだ。
「俺、多分そうしたら早くイケると思う」
 八戒の耳元に赤い髪の獣が欲情した声で訴える。
「だから……お願い」
 八戒は周囲をそっと見渡した。三蔵も悟空も良く寝ている。当分の間、起きることはなさそうだ。
この場を早く治めるには、とりあえず悟浄の言うことを聞くしかない。
 八戒は折れた。


「ん……もう……やっぱりこれは……」
 他の二人を起こさないようにとできるだけ小声で八戒が訴える。
 八戒は悟浄の躰の上で顔を跨ぎ、淫らなところをしゃぶられている。
 自分のしている行為をまともに認識できない。いや、したくない。なにしろ居たたまれなくなるような恥ずかしい格好なのだ。
「咥えてくれないと俺、イケないんだけれど」
 八戒は仕方がなしに目の前にある悟浄の屹立に舌を伸ばした。
 八戒の淫らなところを眺めながら愛撫の手を加えている悟浄のそれは何もしなくとも、八戒の痴態で充分すぎるほど堅く張り詰めていた。
 自分の恥ずかしい格好を忘れたいとばかりに八戒が首を振りながら悟浄のそれを口いっぱいに頬張る。充実した質量とともにそれは悟浄の興奮をあますことなく伝えた。
 悟浄の興奮が八戒に伝わり、それによって励起された八戒の欲情が更に悟浄に伝わる。情欲の尽きない連鎖反応のような行為の連続に八戒の躰が限界を示しだした。
「悟浄……もう駄目許して」
 かは、と悟浄を咥えきれず、口元から外してしまった。
 弾力があるのに堅くて熱いそれが八戒の口から外れると、そのものが生き物のように跳ね、八戒の端麗な顔を弾いた。八戒は許しを請うようにそれに頬擦りをする。
 悟浄はそんな八戒に返事もせずに、後ろに指を這わせた。
 思わず叫びそうになって八戒は自分の手を噛んで必死に悲鳴を押し殺した。
 悟浄の長い節立った男らしい指が八戒の淫らな孔に弄るように差し入れられる。
「ひ……! 」
 完全に八戒の口はお留守になっていた。もう、悟浄のものを舐め啜るなどという芸当をする余裕はどこにも残ってなどいないようだ。
 なおも悟浄は八戒の前立腺を確かめるかのように八戒の感じやすいところを穿ち、指を増やしていく。
「……! 」
 思わず、焼けるような快楽から逃れるように腰を浮かしてしまう。躰が疼いて疼いて脳が痺れるようだ。
 腰奥から這い上がる淫らな感覚に耐えられない、叫び出しそうになる。
 甘く悩ましい拘束から逃れようと八戒が腰を捻ると、もの凄い力でそうはさせじとばかりに悟浄が固定し、押さえ込んだ。
 快楽の拷問のような行為に、八戒の理性も何もかもが焼き切れる。もう、既に悟浄にしどけない躰を捧げるだけの情欲の獣に還っていた。
 うつ伏せで男の顔の前に脚を開き、淫らなところを曝け出す恥ずかしい格好で八戒は身も世もない快楽に身を捻った。
「あぐ……んんあっ……」
 声を殺すために自分の手を噛み締めるが、腰奥から疼くようにして立ち昇る淫らな感覚の方が強烈すぎて、手の痛みなど全く感じない。
 悟浄が指を更に増やし、ピンク色の粘膜を露出させるとそれに舌を伸ばして舐め啜った。
 強烈すぎる快楽に八戒が躰を弓なりに仰け反らせる。押さえようとしても腰がうねるように揺らいでしまっていた。
 限界に近い快楽が白い粒子となって脳の中を舞いはじめる。

(欲しくて、今まで欲しくてたまらなかったのは悟浄だけじゃない)
(僕も)

 指を三本に増やした悟浄が八戒の感じやすい淫らなところを擦りあげ、同時に育てた前を咥え込んで舐め啜り吸い上げる。
 悟浄に咥えられた前から、そして後ろの八戒の淫らな孔から、じゅぶじゅぶという淫音が立ち、周りの空気を淫猥に染め上げていった。
「あ・・・あっ・・・ん、んんっ」
 思わず咄嗟に八戒は傍の敷布の端を口に咥えた。自分の手ではもう既に抑えになどならない。
快楽のあまり、ひくんひくんと内股が生理的に断続的に痙攣しだした。
「…………!」
 暴力的なくらいの圧倒的で淫らな快感に八戒は流され、そのまま自失した。




「ん……ぐ……ふ」
 艶やかな声を放って乱れる八戒も美しいが、こうやって声を殺し、口に敷布を咥えて身をよじり全身で快感に喘ぐ姿はまさに凄艶と表現するしかない。
 八戒は、快楽の証拠である白く半透明な液体を我慢できずに悟浄の口に放ってしまっていた。
過ぎた快楽のために、力が抜けたようになっている八戒の手に悟浄が目を留めた。
「ごめん。八戒。こんなにさせちまって」
 見れば、声を上げまいと自分で力一杯噛み締めてしまったのだろう。手には八戒自身による綺麗な歯列の跡が血の滲むほどありありとついていた。
 悟浄は優しい仕草で手をとり、その傷に舌を這わせた。
「あ……や……ごじょ……」
 もう、全身が何をやっても快感になってしまうほど高められた八戒が悩ましげに眉を顰める。
一度情欲を焚き付けられた敏感な躰は、本当に聞き分けがなかった。

「なぁ、八戒場所変える? 」
 悟浄が言った。



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